「会計」と聞いた時に抱く第一印象は率直なところ、どのようなものでしょうか?
企業活動に必須かつ重要な業務と誰しも認識があると思いますが、自分とは関係のない世界、自分は知らなくても良い世界と思っている方も、実は多いのではないでしょうか。
また、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフローなどを基にした企業の決算書・IR情報などは数字と文字の羅列にしか見えず、なかなか目を通す気にならないというのが正直なところといった声もあるでしょう。
本書は、リアルな企業活動を決算書からどのようにして読み解くのか、そのプロセスを身近な企業を題材にしながら徹底解説します。
また、財務分析にあたっては、仮説をもとにした戦略思考により会計情報を捉えることで、本質的な経営分析ができることが本書を読めば体験できます。
生きた会計を学ぶには最適な一冊となっています。
【著書情報】
| タイトル |
ビジネススクールで身につける 会計×戦略思考 |
| 著者名 |
大津 広一 |
| 出版社 |
日本経済新聞出版 |
| ページ数 |
436ページ |
| 発売日 |
2021/1/7 |
【章立て】
第1部 会計力
第1章 損益計算書(PL)はマトリクスで読む
第2章 貸借対照表(BS)を読み解く3つの基本法則
第3章 企業名のみから決算書を読み解く仮説・検証のプロセス
第4章 決算書の数値から企業活動を読み解く仮説・検証のプロセス
第2部 戦略思考力
第5章 「5つの力」で業界の競争環境を理解する(導入編)
第6章 「5つの力」で業界の競争環境と会計数値を読み解く(応用編)
第7章 バリューチェーンで事業の内部環境を理解する(導入編)
第8章 バリューチェーンで同業2社の経営戦略と会計数値読み解く(応用編)
第9章 4つのPでマーケティング政策を理解する(導入編)
第10章 STPとマーケティングの4Pで同業2社のマーケティング戦略と会計数値を読み解く(応用編)
第3部 発展編
第11章 分析の有効なツールとなる会計指標の活用
第12章 トヨタ自動車の連結決算書と単体決算書を対比する
第13章 キヤノンの連結キャッシュ・フロー計算書を読む
第14章 損益分岐点分析により、利益を生み出す仕組みを作る
第15章 IFRS決算書を分析するための9つの着眼点
エピローグ 会計に向き合っていく
大局観をもって決算書を読み解く方法:仮説立案と検証

決算書に記載されている情報にはリアルな企業活動が数字に表れています。そして、その特徴は業種・企業によって千差万別です。
数字の細部を初めから終わりまで眺めるだけでは、なかなか企業の経営活動の本質が見えにくいものです。
BSを読み解くポイントとして、本書では「大局観をもって、BSは固まりで読む」「優先順位をつけて、BSは数値の大きいものから読む」「仮説思考を貫き、BSは考えてから読む」ことが挙げられています。
特に「仮説思考」は重要なポイントで、決算書を読み解く場合も、まずは企業・業界に関する情報から、仮説を立てた方が数段質の高い財務分析が可能になります。
フレームワークを意識することで、仮説思考のプロセスをスムーズに進めることができます。根幹にあるのは「WHY(なぜそう思うのか)」「SO WHAT(そこから導かれる経営上の意味合いは何か)」という思考の流れです。
「粗利は高いか?」「販管費は高いか?」「利益率が高いか?」といったような基本的な問いかけから、まずは分析を行います。
ニュースなどで目にする印象から、深く分析していくのも良いでしょう。
仮説思考を習得するのに有効な手段として、本書では企業名を伏せて決算書を眺めてみることが提案されています。
自分の立てた仮説から導きだした回答と正解を比較することで、仮説思考のプロセスがより精度の高いものになります。
本書の根底にあるのは、このようなインプットだけでなくアウトプットも合わせた財務分析によるロジカルな戦略思考の獲得です。
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業界の競争関係を理解するための5つの力
ビジネスのスタート地点は会計の数値ではありません。
まず押さえるべき重要なものは「常に経営の外部・内部環境を的確に把握すること」です。
内部・外部環境の理解は的確な戦略立案に繋がります。
そのうえで、「勝ち続ける仕組み」を変える柔軟性が求められます。また、仕組みの構築には、下記の勝ち続けることを阻害する5つの要因を抑えること(ファイブフォース分析)がポイントです。
既存業者間の脅威
既存業者(同業他社)との敵対関係が厳しいでしょうか?自社が他社と比較して差別化できるポイントがあるでしょうか?
例えば、同業者が多い業界である、売上規模がどの企業も同程度、業界が成熟している、原価に占める固定費の比率が高い、自社の独自性が打ち出せていない、などといった項目に当てはまるようであれば既存業者間の脅威にさらされていると言えるでしょう。
新規参入の脅威
やりたくても他社が真似できないような事業であれば、新規参入の脅威は低いでしょう。
参入障壁は、規模の経済が既に確立されている、初期投資などで参入時のコストが大きい、サプライチェーンの構築に難しいような事業で高い傾向があります。
これらの逆の特徴が強い事業じゃ、すぐキャッチアップできるような参入障壁の低い事可能性があります。
代替品の脅威
ある日突然に、自社製品よりも使いやすいあるいはコストパフォーマンスの良い同じ機能が備わったまったく別の製品が市場に現れることもあるでしょう。
売り手の脅威
自社製品のサプライチェーンを眺めた時に、売り手(供給元)が寡占となっているコンポーネントがある場合には売り手の脅威が高いです。寡占であるために売り手が優位に交渉を進めやすくなります。
買い手の脅威
自社製品の販売先が規模も大きく立場的に強い場合、買い手の脅威が強い傾向があります。主要顧客であるケースも多く、商品の価格交渉で買い叩かれたり、厳しい要求仕様が提示される場合もあるでしょう。
戦略立案においては、これらの「既存業者間の脅威」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「売り手の脅威」「買い手の脅威」の視点がすべて考慮できているか確認するとよいでしょう。
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