ブックレビュー

【要約】イシューからはじめよ|知的生産の「シンプルな本質」|本当に優れた共通の知的生産方法

テーマ
イシューからはじめよ
監修
読書マニア

「圧倒的に生産性の高い人」に共通することとは何でしょうか?

本書の著者は、外資系コンサルティングファームのマッキンゼーで経営コンサルタントとして働き、その後米国で脳神経科学の研究を行う中で、この問いへの答えを探し求めてきたと言います。

そして、著者がたどり着いた答えが、「本当に優れた知的生産には共通の方法がある」ということでした。「問題解決」や「思考法」をテーマにした本はちまたに溢れていますが、本当に価値のあるアウトプットを生み出すという視点で書かれた本は少ないと著者は言います。

本記事では、長年経営コンサルタント・研究者として知的生産に従事してきた著者が「知的生産の本質」を解説した書籍、『イシューからはじめよ』を紹介します。

 

【著書情報】

タイトル イシューからはじめよ知的生産の「シンプルな本質」
著者名 安宅和人
出版社 英治出版
ページ数 240ページ
発売日 2010/12/11

 

【章立て】

序章:この本の考え方―脱「犬の道」

第1章:イシュードリブンー「解く」前に「見極める」

第2章:仮説ドリブン①―イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる

第3章:仮説ドリブン②―ストーリーを絵コンテにする

第4章:アウトプットドリブンー実際の分析を進める

第5章:メッセージドリブンー「伝えるもの」をまとめる

 

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バリューのある仕事とは何か?

著者が在籍したコンサルティング会社、マッキンゼーでは、意味のあるアウトプットを生み出す仕事を「バリューのある仕事」と呼びます。生産性が高いとは、バリューのあるアウトプットを短い時間で生み出す、もしくは同じ時間でより多くのアウトプットを生み出すことと定義しています。

では、「バリューのある仕事」とは具体的にどのようなものでしょうか。著者は、「バリューのある仕事」とは、「イシュー度」と「解の質」が共に高い仕事であると説明しています。ここで言う「イシュー度」とは、自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さであり、「解の質」とはそのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合、となります。

圧倒的に生産性の高い人は、この「バリューのある仕事」を生み出すために共通のプロセスを繰り返しています。①イシューを見極める、②イシューを分解し、ストーリーラインを作る、③分析を行い、アウトプットを作成する、という3ステップです。本書では、章ごとにこれらのステップが詳細に解説されています。

イシューを見極める

生産的なアプローチにおいて、最も重要なのが「イシューを見極めること」です。まずは解くべき問題、すなわちイシュー度が高く、解の質が高い問題を特定します。「何に答えを出す必要があるのか」をまず議論し、「そのために何を明らかにするのか」を設計します。

ここで特定すべき、よいイシューには次の3つの条件が当てはまります。「本質的な選択肢である」、「深い仮説がある」、「答えを出せる」という点です。よいイシューとは、常にそこから先の検討方向性に影響を与えるものであり、「常識を覆すような洞察」、「新しい構造」などの深い仮説が存在します。

そして、「きっちりと答えを出せる」ことが重要になります。イシューに取り組む最初の段階で、強引にでも良いので問題の答え=仮説を立てることが重要です。具体的な答えに落とし込まなければ、分析や情報収集が明確にならず、得られた分析結果に対しても解釈ができないからです。

イシューを分解し、ストーリーラインを作る

生産性を高めるために最も重要なことは、イシューを見極めることです。しかし、良質なアウトプットを導き出すためには、イシューの解の質を高めることも重要になります。解の質を大きく高める作業として筆者が紹介しているのが、ストーリーラインづくりと、それに基づく絵コンテづくりです。

ストーリーラインと絵コンテは、何らかのイシューに取り組む最初の段階で作成するものです。はじめは仮説として検討内容の全体像を洗い出し、検討が進むにつれてどんどん書き換えていきます。そして、最終的にはビジネスであればプレゼンテーション、研究であれば論文という、アウトプットのサマリーの形になります。

まず、ストーリーラインの作成においては、イシューの分解を行います。多くの場合において、イシューは大きな問いであり、いきなり答えを出すことは難しいためです。イシューをサブイシューに分解することで、課題の全体像が見えやすくなり、サブイシューの中で取り組む優先度が見えてきます。そして、分解したサブイシューに対しても仮説を立てることが重要です。強引にでもスタンスと取り、具体的な仮の答えを持っておくことで、必要な分析のイメージを明確にしておきます。

イシューを分解し、個々のサブイシューに仮説が持てたら、それらをストーリー仕立てにする作業を行います。単に分解しただけのサブイシューの羅列ではプレゼンテーションにはならず、最終的に言いたいことを伝えるためのストーリー整理が必要です。最初の段階では仮説に基づいたストーリーラインですが、サブイシューの検討を進める過程で得た気付きを加えてストーリーラインも進化させていきます。

ストーリーラインができれば、次は具体的にどのような分析を示すか、を個々のグラフや図表のイメージまで落とし込みます。本書ではこの作業を絵コンテづくりと呼んでいます。ここでも仮説思考で、自分ならどういう分析結果があれば納得するか、相手を納得させられるか、を考えて具体的なグラフや図表を作成します。

絵コンテは、基本的にはストーリーラインに沿って必要な分析イメージを並べてまとめたものになります。絵コンテでは、分析の枠組みを整理し、イメージの具体化、データの取得方法までを明記します。分析の枠組みとは、何かを比較するのか、時系列の推移で見るのか、といった分析の軸の提示です。分析が定量分析であれば、アウトプットイメージのチャートに仮想的に数字を入力します。そして、データを取得する方法(アンケートなのか、インタビューなのか、外部の調査機関に依頼するのか)を明確にします。以上のような絵コンテが完成すれば、実際に絵コンテの内容の分析を進めることができます。

分析を行い、アウトプットを作成する

いよいよ絵コンテの内容に沿って分析を行うフェーズですが、ここでも著者は「いきなり分析や検証の活動をはじめない」ことが重要だと強調しています。限られた時間で価値のあるアウトプットを効率的に生み出すためには、ストーリーライン(絵コンテ)にあるサブイシューの中でも重要度の高いものから分析を開始します。

分析・検証活動において、欲しいデータが取得できないことや、当初の仮説とは違う結果が得られることも多くあります。最終的な結論に大きな影響を及ぼすサブイシューに誤算があった場合、描いていたストーリーが根底から崩れてしまうと、大胆なストーリーの組み換えが必要になります。そのため、まずは重要度の高いサブイシューが検証可能かの答えを出し、その後優先度の低いサブイシューの分析を進めます。

ここまで、ストーリーラインを基に分析までを完了したら、最後にイシューに沿ったメッセージを人に力強く伝わる形でまとめます。最終アウトプットの作成においては、聞き手は完全に無知であり、聞き手は高度の知性を持つと想定します。

最終アウトプットのまとめで実施する作業は、ストーリーラインの磨き込み、チャートの磨き込み、の2点です。ここまでのステップで作成してきたストーリーラインとチャートを最後に磨き込み、仕上げます。

ストーリーラインの磨き込みではまず、論理構造の最終確認を行います。イシューの下にサブイシューがあり、それらが明確で検証の構造もピラミッド型になっているかを確認します。そして、最終的な結論を明確な論理の流れの中で説明できているかも確認します。論理構造は適切でも、それを伝える流れが整理されていなければ、聞き手にメッセージが伝わりづらくなります。何度もリハーサルを繰り返し、流れの磨き込みを行います。

そして最後に、チャートの磨き込みを行います。チャートの磨き込みにおけるポイントは、1チャート・1メッセ―ジの徹底、タテとヨコの比較軸を磨く、メッセージと分析表現を揃える、の3点です。これらの要素がきちんと揃ったアウトプットであれば、聞き手に理解してもらえるシンプルでメッセージ性のあるアウトプットになるでしょう。

 

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Biz人 編集部

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