経理/簿記試験

「雑費」の使い方に注意!会社のルールに従って正しく仕訳しよう

テーマ
雑費の仕訳方法
監修
簿記マスター

「雑費」と聞くとどんなものを思い浮かべますか?

会社の経理をやっていると、様々な費用が発生するので

「どの費用にも属さないものは雑費」

「あまり重要でないから雑費かな?」

と認識している方もいるのではないでしょうか?

これは、あながち間違いではありません。簿記や会計の解説書などでは、雑費はどの区分にも該当しない費用として位置づけされていることが多いからです。

しかし、「なんだかよくわからないから」といって全てを雑費に仕訳してしまうのは、適切な処理ができておらず、税務署からの指導の原因になってしまうかもしれません。

この記事では、「雑費」の正しい使い方と、他の費用との違いを解説します。

これから勘定科目のルールを決める方や、雑費で計上するときに迷うことがある方は参考にしてください。

 



雑費とは

雑費を一言で説明すると「他の勘定科目に該当しない費用」です。

国税庁のホームページ(https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/zappi/zappi.html)では、雑費について「事業の費用で他の経費に当てはまらない経費」とされています。

こう聞くと、「どの科目にしたらいいのかわからない費用は全て雑費」と捉えがちですが、雑費の金額や件数が多くなると後で大変な思いをしてしまうかもしれません。

雑費が多くなると

どの勘定科目を使うべきか迷ったときに、融通の利きそうな「雑費」勘定があることは経理担当者にとって便利と感じるでしょう。もちろん雑費勘定はなくてはならない科目ではありますが、実は雑費勘定の件数や金額は限りなくゼロに近づけるべきなのです。

雑費の容量が多いと適当に仕訳をしている印象が強くなり、税務署から指摘されたり、銀行融資の際にマイナスな印象を与えたりすることがあるからです。

また、決算期に作成された資料をみて雑費勘定が多い時、経営側はその内訳や内容を確認するはずです。その時に経理担当者は、雑費に計上した明確な理由を用意しなくてはいけません。「わからないものを全部雑費に計上しています」という答えは許されませんので、しっかりとルールを決めておく必要があります。

雑費として計上する前に、他に当てはまる勘定科目がないか再度確認しましょう。

消耗品費で計上できないか確認しよう

雑費と思っていたものの中に、消耗品費として計上できるものがあるかもしれません。

この二つは区別が難しく、“消耗品費ではなさそう=雑費”と判断している方も多いのではないでしょうか?

例えば、お勤めの会社内で使用するごみ袋の購入です。

事業に使用するものでない上に購入頻度がそんなに多くなければ、雑費で処理したくなります。

また、1年に1度のごみ処理代などを雑費としているため、ごみ袋も同じ扱いとして雑費で計上している企業もあるかもしれません。

それ自体に間違いはありませんが、先述したように雑費はなるべく使わないという意味で他の勘定科目の使用をオススメします。

ごみ袋代金は、一般的に「消耗品費」で計上します。

仕訳例は以下の通りです。

事務所内で使用するごみ袋を購入した。代金は小口現金から3,000円支払った。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 3,000 小口現金 3,000

また、ごみ袋の代金を「衛生費」として仕訳している会社もあります。

その会社のルールや実情に合わせて科目を選択することが大切です。


通信費で計上できないか確認しよう

例えば、FAXの送信代金は通信費で仕訳ができます。

普段からFAXを使用している会社であれば迷わず判断できますが、使用頻度が低く金額も少額であれば雑費にしている方も多いでしょう。

仕訳例は以下の通りです。

出先のコンビニにて取引先へFAXを送信した。代金は小口現金から100円支払った。

借方 金額 貸方 金額
通信費 100 小口現金 100

ここで重要なのは、FAX代を通信費にするルールを決めたら継続することです。

“社内からのFAX送信は通信費で、出先からのFAX送信は雑費に”というように混在させてはいけません。

FAX代金の他にも、NHK受信料なども通信費に計上できます。雑費をなるべく減らすには、通信費に該当するものがないか確認してみてください。

諸会費で計上できないか確認しよう

会社や企業はその業種によって、会費を払っていることがあります。

例えば「安全協力会費」や「組合費」が挙げられます。

これらは、年会費として年に1度だけ払うことで、使用頻度が低く雑費として計上したくなりますが、「諸会費」という勘定科目を検討してください。

仕訳例は以下の通りです。

加入している自治会の年会費5,000円を普通預金口座から振り込んだ。

借方 金額 貸方 金額
諸会費 5,000 普通預金 5,000

会費だからといって全て諸会費にしてしまうのはNGです。

交際費や支払手数料に該当する場合もあります。

金額や使用頻度の他にも、その支払いの目的を明確にする必要があるでしょう。

新しい勘定科目を作れないか検討しよう

雑費以外にどの勘定科目にも該当しない場合、新しい勘定科目を設定することが必要かもしれません。

例えば、以下のような勘定科目の設定はいかがでしょうか。

勘定科目 ルール
支払手数料 銀行に払う手数料
新聞図書費 新聞の購読料
リース料 電話機のリース料

このように、少額であり使用頻度が低いものでも継続的に支払いが発生するのであれば、設定した方が費用の内訳が明確になります。

ただし、雑費にしたくないからとむやみに科目を作ってしまうとルールの設定や管理が難しくなります。雑費は少ない方がいいですが、絶対に使っていけないものでなく、必要に応じて正しく使うことが大切です。

まとめ

雑費は、どの勘定科目にも区別できない費用を計上するときに非常に便利な科目です。

上記で説明しているように、雑費を使わずに勘定科目をたくさん作って細かく設定しようとすると管理が難しくなってしまうのでオススメできません。

  • どの勘定科目でもない
  • 使用頻度が低い
  • 少額である
  • 事業を運営する上で重要度が低い

このような費用であれば雑費で管理しましょう。

その際には摘要項目などにその詳細を記載し、あとで振り返りができるようにしておくことが大切です。

また、この説明を聞いてそれまでの仕訳から急に勘定科目を変えてはいけません。

前年、或いは前月からの正しい費用の比較ができなくなるからです。

これでは、経営戦略を練るという本来の目的を果たせなくなってしまいます。

勘定科目のルールは1度決めたら継続していく必要があります。

便利である雑費勘定であるからこそ、その利用には注意が必要で、そのルールは慎重に継続性を意識して設定することが大切なのです。

Biz人 編集部 経理応援隊/簿記応援隊

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