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中小企業の定義は何か?大企業との法律上の違い

テーマ
中小企業・大企業
監修
会社役員

はじめに

コロナ渦もあって中小企業に対する行政の手厚い支援はうれしいかぎりです。たいへんありがたいのですが、この「中小企業」とはどういった定義づけがされているのか、疑問になることはないでしょうか。

たとえばコロナ関連の支援策では、単に売上が減った、従業員を休ませているなどの要件にあわせて中小企業であることが求められています。日本の企業のほとんどは中小企業といわれていますが、いまいちど中小企業について考えてみましょう。

 

中小企業基本法上の定義

一概に「中小企業」といいますが、だれがそう決めているのでしょうか。日本での中小企業は法律である中小企業基本法によって定義されており、その定義に基づいて中小企業に関する支援などが決められています。

中小企業は資本金1億円以下または従業員300人以下ととらえられているフシもありますが、そういったふうにとらえられているのは旧中小企業基本法の名残があるからでしょう。1999年に同法の改正がなされ、中小企業の定義も大幅に変わりました。下記は現在の中小企業の定義です。

【中小企業の定義】

業種 資本金 従業員数
製造業その他の業種 3億円 300人
卸売業 1億円 100人
小売業 5,000万円 50人
サービス業 5,000万円 100人

示している数字のそれ以下が中小企業の定義に該当します。なお、資本金、従業員数の双方が当てはまるのではなく、どちらかが当てはまると中小企業となります。

大企業とは

一方、大企業となると明確な定義はみられませんが、企業のなかで中小企業ではないものが大企業となります。中小企業基本法とは異なる法律の会社法によると、大企業ではなく大会社という表現で大企業を定義しています。

同法ではその定義の一例として、最終事業年度の貸借対照表上の資本金が5億円以上、負債が200億円以上の株式会社が大会社とされています。

なお、上場企業=大企業というわけではなく、上場企業には大企業が多いというだけでそのようにみられているようです。中小企業であっても上場企業は存在しています。

自社の分類を把握しておこう

中小企業向けの支援を受けようとしても、うっかり自社が中小企業でなかったばっかりに支援の対象外となってしまうこともあるので、申請などの手続きの前に自社が中小企業であることの確認をお忘れなく。

特に業歴の長い小売業には、資本金も積み増して抱える社員も多くなっている会社もあり、知らずして大企業となることもあるようです。

中小企業向けの支援のなかには「中小企業等」と「等」の文字を目にしないでしょうか?「中小企業+等」ですが、この「等」は個人あるいは組合を指しています。個人事業主はたしかに会社ではなく個人事業ですので、「等」に含まれ、中小企業とみなされます。

さらにややこしいことに、組合は中小企業基本法ではその対象外ですが、他の法律では中小企業等に含まれます。

行政の支援といっても国があり、都道府県があり、市町村があり、行政ではないのですが経済団体などにも中小企業向け支援があるので、中小企業の定義の確認をいま一度しておきましょう。

申請書を苦労して作成した後にその対象ではないことに気付くと、本当に疲れます。

法人税法での定義

法人税法では企業規模によって税率の軽減や税制優遇措置を受けられるチャンスが広がるので、あえて中小企業とする会社もあります。知られたところではシャープ、最近ではJTBの減資がそれらにあてはまります。

法人税法では業種や従業員規模にかぎらず、資本金1億円以下の企業が中小企業とされます。中小企業法では3億円以下の会社だと中小企業となります。法律によって中小企業の定義が異なるケースの一つです。

中小企業基本法では中小企業であっても、なまじ資本金があったため法人税法では大企業となってしまう中小製造業も存在します。資本金が大きいと金融機関や取引先の信用が増すため、できるだけ資本金を多くしたいところですが、1億円を超すと納税によって現金が流出していくので、ここは考えものでもあります。

小規模企業とは?

中小企業はその言葉どおり、「中」と「小」の連合体です。中小企業基本法では小規模企業の範囲も定義されており、資本金による区分はなく従業員数20名以下、商業・サービス業は5名以下とされています。

日本の企業のほとんどは中小企業とされていますが、その「ほとんど」の程度は中小企業庁の統計によると99.7%となっています。日本の会社全体に占める小規模企業の割合は84.9%となっていることから、中小企業のなかでも「小」の企業がほとんどといえます。ちなみに中企業は15%程度です。

まとめ

グローバルに活躍する大企業が日本の経済を牽引しているようにみえますが、企業規模でみると、中小企業のなかでもさらに小さい従業員数20名以下の小規模企業がマジョリティなのです。多くても小規模だけに目立ちません。

そういった小規模企業であっても、大企業に伍して海外展開に積極的な企業があったり、世界に自社だけしか持たない技術を持っていたりするのも事実です。

創業当初は小さくてもその後、大企業となるのです。いまは名だたる大企業も創業当初から大企業ではなく、従業員数人程度ではじまることが多いものです。小さいからといって弱小ではなく、ずっと小さいままでもありません。

小→中→大と順を追って成長するのは物の道理ですが、インターネットがインフラとなっている現代は、以前とくらべて格段に成長のスピードは早くなっているのは事実です。規模の追求とあわせてスピードも考えての事業展開が求められます。

Biz人 編集部Biz人 編集部

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