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日本基準、IFRS、米国基準のPLの違い ~開示項目とその背後にある考え方を解説~

テーマ
日本基準/IFRS/米国基準
執筆
公認会計士



利益計算書(PL:Profit and Loss Statement)は、企業の収益性を評価するための重要な財務報告書であり、企業の収益・費用がどのように発生したかを明確にすることが目的です。

しかし、国際的な会計基準によって、PLの開示項目やその考え方に違いがあります。

本記事では、日本基準(J-GAAP:Japanese Generally Accepted Accounting Principles)、IFRS(International Financial Reporting Standards)、米国基準(US-GAAP:United States Generally Accepted Accounting Principles)のそれぞれのPLにおける違いを解説します。

日本基準(J-GAAP)におけるPL

日本基準では、以下の主な項目がPLに開示されます。

  • 売上高
  • 売上原価
  • 売上総利益
  • 販売費及び一般管理費
  • 営業利益
  • 営業外収益・費用
  • 経常利益
  • 特別利益・損失
  • 税引前当期純利益
  • 法人税等調整後当期純利益

日本基準では、企業の収益性を評価するために、「営業利益」や「経常利益」といった独自の概念が用いられています。

営業利益は、主たる事業活動から得られる利益を示し、経常利益は、営業外収益・費用を含む一定の持続性があるとされる利益を示しています。

 




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IFRSにおけるPL

IFRSでは、以下の主な項目がPLに開示されます。

  • 収益
  • 原価
  • 総利益
  • 販売費及び一般管理費
  • その他の収益・費用
  • 業務収益
  • 財務収益・費用
  • 税引前利益
  • 法人税
  • 当期純利益

 

IFRSでは、日本基準とは異なり、営業利益や経常利益の概念が明確に定められていません。代わりに、「業務収益」という概念が導入されており、企業の主たる事業活動から得られる利益を示しています。

また、「財務収益・費用」が開示されることで、企業の財務活動による影響が明確化されます。

米国基準(US-GAAP)におけるPL

米国基準では、以下の主な項目がPLに開示されます。

  • 売上高
  • 売上原価
  • 売上総利益
  • 販売費及び一般管理費
  • 営業利益
  • 営業外収益・費用
  • 税引前利益
  • 法人税
  • 当期純利益

 

米国基準では、日本基準と同様に「営業利益」が開示されますが、「経常利益」の概念は存在しません。

また、IFRSと同様に、企業の財務活動による影響が「営業外収益・費用」として開示されます。

 

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開示項目の違いの背景

日本基準、IFRS、米国基準のPLにおける開示項目の違いは、それぞれの基準が持つ考え方や目的の違いから生じています。

日本基準では、企業の持続的な収益性を評価するために、「営業利益」や「経常利益」といった独自の概念が重視されています。

一方で、IFRSでは、企業の主たる事業活動から得られる利益を「業務収益」として開示し、企業間の比較可能性を向上させることを目指しています。

また、米国基準では、日本基準と同様に「営業利益」が開示されますが、「経常利益」の概念は存在しないため、企業の持続的な収益性の評価には限定的です。



それぞれの基準の考え方

日本基準は、企業の持続的な収益性を重視し、企業活動の安定性や将来の成長性を評価するための指標を提供しています。

一方、IFRSは、企業間の比較可能性を重視し、投資家が適切な投資判断を行えるよう、企業の主たる事業活動から得られる利益や財務活動の影響を明確にしています。

また、米国基準は、日本基準と同様に企業の収益性を評価するための指標を提供していますが、経常利益の概念がないため、企業の持続性を評価する際には限定的です。

それでも米国基準は、株式市場が非常に活発で投資家のニーズが高い米国の状況に合わせ、より透明性の高い情報開示を目指しています。

損益計算書の形式の違い

日本基準、IFRS、米国基準では、損益計算書の形式にも違いがあります。

日本基準では、縦型損益計算書が一般的であり、収益と費用が縦に並べられ、各項目の差額を計算していきます。

一方、IFRSと米国基準では、縦型損益計算書だけでなく、機能別損益計算書や自然別損益計算書といった形式が認められています。

機能別損益計算書では、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた形で営業利益が算出されます。

自然別損益計算書では、収益と費用がその性質に基づいて分類されます。

 

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国際会計基準との収束の取り組み

国際会計基準との収束の取り組みは、会計基準の違いを縮小し、企業間の比較可能性を高めることを目的としています。

日本基準とIFRSの収束の取り組みは、2005年に日本基準設定機関である会計基準委員会(ASBJ)と国際会計基準審議会(IASB)が連携を開始して以降、続いています。

この取り組みにより、一部の日本企業はIFRSを適用して財務報告を行うことが可能となっています。

米国基準とIFRSの収束の取り組みも、2002年に開始されていますが、完全な収束は達成されていません。

しかし、一部のIFRSと米国基準の違いは縮小されており、企業間の比較可能性が向上しています。

これらの取り組みにより、日本基準、IFRS、米国基準の違いが縮小されることが期待されます。

今後も、各国の会計基準が進化し、情報開示の質が向上することが期待されます。投資家は、各基準の違いを理解し、適切な投資判断を行うことが重要です。

企業の適用基準の選択とその影響

各国の会計基準は、国内企業だけでなく、国際的に事業を展開する企業にも影響を与えます。

企業は、自社の事業規模や対象市場に応じて、適用する会計基準を選択する必要があります。

適用する会計基準によって、財務報告の内容や開示項目が異なり、投資家やステークホルダーからの評価にも影響を与えるため、適切な選択が重要です。

企業が国際的な資本市場で活動する場合、IFRSや米国基準の適用が有利とされます。

これらの基準は、多くの国で認知されており、投資家による比較可能性が高まります。

また、IFRSは、国際的なルールが適用されるため、複数の国で事業を展開する企業にとって、会計処理の統一が可能となります。

日本基準を適用する企業は、主に国内市場を対象としていることが多いです。

日本基準は、国内の法令や税制に適合しているため、国内企業にとっては適用しやすい基準です。

しかし、国際的な事業展開を行う場合、IFRSや米国基準に対応する必要が出てくることがあります。

企業は、適用する会計基準を選択する際に、自社の事業戦略や投資家のニーズを考慮して決定することが求められます。

また、適用基準の変更に伴うコストや影響も十分に評価し、適切な判断を行うことが重要です。

まとめ

日本基準、IFRS、米国基準のPLの違いは、それぞれの基準が持つ考え方や目的の違いから生じています。

それぞれの基準において、企業の収益性や持続性を評価するための指標が提供されており、投資家はこれらの違いを理解して適切な投資判断を行うことが重要です。

また、企業は、自社が適用する会計基準に応じた情報開示を行い、投資家やステークホルダーの信頼を得ることが求められます。

今後も、各国の会計基準が進化し、情報開示の質が向上することが期待されます。

表1. 日本基準、IFRS、米国基準のPLの違い

項目 日本基準 IFRS 米国基準
営業利益 あり なし あり
経常利益 あり なし なし
業務収益 なし あり なし
財務収益・費用 なし あり あり
持続的な収益性の評価 重視 中立 限定的

※表は、それぞれの基準のPLにおける主要な違いを示しています。実際の開示項目は、企業や業界によって異なる場合があります。



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