皆様がお勤めの会社には、「引当金」勘定がありますか?引当金勘定があってもその意味を正しく理解できているでしょうか?
「引当金」の文字だけ見ても何の意味があるのか見当もつきませんが、この引当金勘定は会社が大きくなればなるほど重要な勘定科目であり、会社によって様々な引当金が設定されているのです。
当記事では「引当金」について解説し、その重要性と管理の仕方について理解を深められるものです。普段から何気なく使用している引当金勘定を今一度考えてみましょう。
皆様がお勤めの会社には、「引当金」勘定がありますか?引当金勘定があってもその意味を正しく理解できているでしょうか?
「引当金」の文字だけ見ても何の意味があるのか見当もつきませんが、この引当金勘定は会社が大きくなればなるほど重要な勘定科目であり、会社によって様々な引当金が設定されているのです。
当記事では「引当金」について解説し、その重要性と管理の仕方について理解を深められるものです。普段から何気なく使用している引当金勘定を今一度考えてみましょう。
【目次】

引当金とは、会社が将来発生する可能性のある費用を見積り計上したものです。よく耳にするのは「貸倒引当金」ではないでしょうか。「貸倒引当金」は、売掛金や受取手形、貸付金などの金銭債権が、相手企業の倒産などによって回収できなかった場合に備えるために設定するものです。
実際にお金を積立ているわけではなく、あくまで決算書上に設定する金額のため、引当金が多いからと言ってその企業の財政状況が悪いというわけではありません。
引当金には、その会社の規模や業種によって様々な種類があります。
| 引当金種類 | 概要 |
| 貸倒引当金 | 倒産などの理由によって金銭債権が回収不能になった場合に備えるもの |
| 修繕引当金
|
固定資産に定期的な修繕が予想される場合に、その費用をあらかじめ見積計上したもの |
| 退職給付引当金
|
長年勤務する社員に対して将来支払う退職金をあらかじめ見積計上したもの |
| 賞与引当金
|
社員に対して将来支払う賞与をあらかじめ見積計上したもの |
他にもありますが、よく使用されるのは上記の4つでしょう。
実際にお金が動くわけでもないのに、なぜ引当金を設定するのでしょうか?
例えば、前期に発生した売掛金100万円が相手企業の倒産により、回収できなくなった場合について考えてみましょう。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 貸倒損失 |
1,000,000 |
売掛金 |
1,000,000 |
このように資産であった売掛金100万円が減り、費用である貸倒損失が100万円増えます。
すると、その期は予想外の費用発生により赤字になる可能性が大きくなります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 貸倒引当金 |
500,000 |
売掛金 |
1,000,000 |
| 貸倒損失 |
500,000 |
貸倒引当金20万円は帳簿上であらかじめ見積もっておいたものなので、企業の利益に影響はありません。資産である100万円が減り、費用である貸倒損失が50万円増えます。
このように、あらかじめ損失や費用発生を見込んで引当金を設定しておくと、利益への影響が少なくなります。同じ100万円の損失でも、帳簿上積み立てておいた引当金を充てることで赤字のリスクが減るというわけです。
修繕引当金や退職金引当金、賞与引当金も、発生した期や月にいきなり費用を計上するとその期や月だけ大赤字となることもあります。資金調達のための決算書に大きな影響を与えてしまうのです。そのため赤字リスクを減らすために、将来発生することを見込んだ費用を積立てるための引当金を設定します。
赤字リスクを回避するための引当金ですが、むやみやたらに設定できるものではありません。
| 条件 | 例 |
| 将来の特定の費用または損失である | 貸倒れが起こる可能性があるか
賞与・退職金制度があるか |
| 発生が当期以前の事象に起因している
|
当期に発生した売掛金であるか
当期に勤務している社員への費用であるか |
| 発生の可能性が高い | 回収率や相手の状況を判断しているか
賞与・退職金制度があるか |
| 金額を合理的に見積もることができる | 過去の貸倒実績が計算できるか
賞与・退職金制度で見積もることができるか |
上記の4つを満たすときに引当金を設定することができるのです。
引当金の条件を満たしたら、引当金の見積もりを行いますが、退職金や賞与に関する引当金はそれぞれの企業で制度や方法が異なります。
ここでは、簿記試験にも頻出する貸倒引当金について説明します。
例えば、
という条件のもと貸倒引当金の金額を考えます。
1,000,000円x2%=20,000円
上記で計算した、20,000円が当期決算で設定する貸倒引当金の金額です。
また貸倒実績率は、経営側が次期以降に貸倒れが生じると予想される金額を合理的に算出して割り出すものです。
決算期おいて貸倒引当金勘定で計上するときは、上記方法で計算した金額を資産のマイナスを意味する貸方に記入します。また、相手科目は貸倒引当金繰入(費用)です。
20,000円の貸倒引当金を計上する仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 貸倒引当金繰入 |
20,000 |
貸倒引当金 |
20,000 |
決算において、貸倒引当金を計上するとき、前期末に計上した貸倒引当金がまだ残っている可能性があります。このような場合には、当期の計上額と期末残高との差額を補充するイメージで貸倒引当金を計上します。これを差額補充法(さがくほじゅうほう)といいます。
例えば、
という条件のもと貸倒引当金を計上するときの仕訳を考えます。
1,000,000円x2%=20,000円
20,000円-5,000円=15,000円
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 貸倒引当金繰入 |
15,000 |
貸倒引当金 |
15,000 |
もともとの残高が5,000円で、今期の貸倒引当金が20,000円のためその差額である5,000円を計上するのです。
反対に期末残高が今期の設定金額よりも多かった場合は、貸倒引当金戻入(収益)で処理します。この時貸倒引当金は借方となります。
例えば
1,000,000円x2%=20,000円
20,000円-25,000円=△5,000円
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 貸倒引当金 |
5,000 |
貸倒引当金戻入 |
5,000 |
もともとの残高が25,000円で、今期の貸倒引当金が20,000円のためその差額である5,000円を計上するのですが、資産のマイナスである貸倒引当金のうち5,000円をプラスにするイメージで処理します。
期末残高がいくらであっても、当期に設定した貸倒引当金の金額に合わせるというわけです。