経理/簿記試験

「役務収益・役務原価」が発生した場合の勘定科目と仕訳方法について

テーマ
役務収益・役務原価
監修
経理部長補佐


商品や製品を販売したときは「売上」勘定で処理しますが、役務(サービス)を提供が完了したときには「役務収益」勘定を使います。サービス業は多岐に渡り、「売上」よりも適切な勘定科目として「役務収益」が使用されるのです。

費用収益対応の原則により、役務収益と役務原価は対応しなければなりません。役務収益を計上した期間にその収益を得るためにかかった費用を役務原価として計上するということです。費用の支払いをいつするのかではなく、収益を計上した期間にその費用を計上するというポイントを押さえて仕訳を行います。

【目次】

基本的な役務収益と役務原価に関する仕訳

1.A社はイベントの企画運営を行っている。2か月後の5月31日にイベントを開催するにあたり、そのチケット(100枚、@5,000円)をすべて販売し、代金は現金で受け取った。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 500,000 前受金 500,000

“イベントを行う”というサービスを提供したときに収益が計上されます。本問はチケットを販売しましたが、まだイベントを行ったわけではありませんので、貸方「前受金(負債)」として処理します。

2.上記1のイベントを開催するための諸経費200,000円を現金で支払った。

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕掛品 200,000 現金 200,000

本問はまだイベントを行っていませんので、費用としては計上できません。しかし、いずれ役務原価となるべき代金を支払った。このような場合は「仕掛品」勘定で処理をします。「仕掛品」勘定は棚卸資産のひとつです。

3.5月31日に上記1のイベントを予定通り開催した。

借方科目 金額 貸方科目 金額
前受金 500,000 役務収益 500,000
役務原価 200,000 仕掛品 200,000

イベントを開催した、つまりサービスを提供したということですので収益を計上します。貸方に「役務収益(収益)」を計上するとともに、すでに受け取っていた代金「前受金(負債)」が減少します。

収益の計上とともにそれに対応する費用である「役務原価(費用)」を計上します。経費等200,000円を支払ったときに処理した「仕掛品」勘定から振り替えます。

この仕訳を行うことで役務収益500,000円と役務原価200,000円が計上され、イベントの収益とそれに対応する費用が同時に処理されたことになります。ちなみに、このイベントによる利益は300,000円(500,000円-200,000円)となります。

サービスの提供が継続的に行われ途中で決算を迎えるケース

4.X社は、3カ月間(全24回)の資格取得講座を企画し募集をした。受講代金は30,000円で、定員数10名より応募があり代金が普通預金口座へ振り込まれた。

借方科目 金額 貸方科目 金額
普通預金 300,000 前受金 300,000

30,000円×10名=300,000円が振り込まれた金額となります。

5.上記4の講座の1カ月(8回)分の講師料30,000円と教室の賃貸料5,000円(月額)をあわせて現金で支払った。

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕掛品 35,000 現金 35,000

通常であれば、「講師料」や「支払家賃」など費用の勘定で処理をしますが、特定の役務の提供(講座の実施)に対応する費用であることが明確です。そのため、講座を実施するまでは費用として計上せず、勘定科目も講師料などの特定のものは使用しません。いずれ役務収益に対応する役務原価になるものとして「仕掛品」勘定を使用します。

6.決算にあたり、上記4の適切な収益を計上した。なお、決算までに8回の講座が終了している。

借方科目 金額 貸方科目 金額
前受金 100,000 役務収益 100,000
役務原価 35,000 仕掛品 35,000

全24回の講座のうち決算までに8回が終了したということで、実際に講座を実施した分を収益として計上します。300,000円×8回/24回=100,000円

この8回分の収益を得るためにかかった費用35,000円を「仕掛品」勘定から「役務原価」勘定へ振り替えます。

仕掛品勘定を使用しないケース

7.Z社は旅行業を営んでいる。3泊4日のバス旅行を企画し募集を行ったところ、10名のお客さまより申込みがあり代金500,000円が当社の普通預金口座へ振り込まれた。

借方科目 金額 貸方科目 金額
普通預金 500,000 前受金 500,000

8.上記7のバス旅行を実施した。宿泊代やバス乗務員への報酬など合計で350,000円を普通預金口座より支払った。

借方科目 金額 貸方科目 金額
前受金 500,000 役務収益 500,000
役務原価 350,000 普通預金 350,000

本問のように、収益を計上してからその支払いをするというケースもあります。この場合、仕掛品勘定は使用せず、支払額を役務原価とします。

役務原価を計上時にまだ代金の支払いが終わっていないケース

9.企画していたイベントを実施した。前売り券として販売していた400,000円と当日券として現金で販売した200,000円を収益に計上した。また、イベント開催のためにすでに支払っていた会場代金150,000円であり、イベント看板の外注費30,000円(買掛金で処理)と人件費170,000円(未払金で処理)はまだ支払っていない。

借方科目 金額 貸方科目 金額
前受金 400,000 役務収益 600,000
現金 200,000 仕掛品 150,000
役務原価 350,000 買掛金 30,000
未払金 170,000

役務原価にポイントを絞り見ていきます。まずは他の問題と同様に仕掛品勘定に計上されていた会場代金150,000円を振り替えます。

続いて、まだ支払いの済んでいない外注費と人件費について確認します。「買掛金」と「未払金」はどちらもまだ代金を支払っていないという意味の勘定科目です。

通常、商品売買しか行っていない企業であれば、商品売買に関する未払いは「買掛金」、商品売買以外は「未払金」と区別して使用します。しかし、サービス業の場合は発生する経費が多項目に及び、売上原価や製造原価に相当するものだけではなく、販売費及び一般管理費に相当するものも「役務原価」として計上されます。

例えば通常、水道光熱費は販売費及び一般管理費に分類され、その代金の未払いは「未払金」として処理します。しかし、サービスの提供による水道光熱費の未払いは「買掛金」とすることもできます。

日商簿記の問題を解くうえでは、「買掛金」「未払金」どちらの勘定科目を使うのかといった指定があるでしょう。過去の検定試験では外注費を「買掛金」勘定、人件費を「未払金」勘定にすることが多いのですが問題をよく読み指示に従いましょう。

実務上は、サービス業界も多様化しており「役務収益」だけではなく特有の収益の勘定を使用することもあります。

Biz人 編集部 経理応援隊/簿記応援隊

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