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不動産取引の仲介手数料とその実態について

テーマ
不動産取引の仲介手数料とその実態
監修
不動産投資のプロ

仲介手数料とは

不動産取引において仲介手数料とは、物件を売る売り手と物件を買いたい買い手を仲介会社が仲介した際に得られる手数料のことです。

単純に仲介会社は契約書を作って仲介をするだけではなく、ローンの相談や金融機関への紹介、物件の案内、司法書士の手配、物件資料の作成・収集、登記簿の確認など業務は多岐にわたるので、素人同士で不動産取引を行うとトラブルになりがちです。

ですので、そういったトラブルを未然に防ぐため仲介会社が、間に入って専門的知識や法律を踏まえて安全にお互いが取引をできるようにお手伝いをすることになります。

また、賃貸の仲介においても、同様に保証会社の紹介、清掃の手配、契約書類の作成、物件の案内や調査を行います。

売買に比べると事務手続きや物件調査、資料作成などの手間は少ないですが、そのぶん1回あたりに貰える仲介手数料は少なく、数を多くこなす必要があり、そのため、賃貸の仲介は残業も多くなる傾向にあります。

仲介手数料は上限が決められている

宅建業法では、賃貸の仲介手数料は同意が無ければ家賃の0.5カ月分、同意がある場合のみ家賃の1か月分とされています。また、売買取引の仲介手数料は簡易法で物件価格に3%+6万円が仲介手数料の上限となります。

このように、不動産取引における仲介手数料は法律で決められています。実際の不動産業界の商慣習では、事前同意を得ることはあまりないまま仲介手数料として1か月分の家賃を請求するケースが見受けられます。

同様に、売買取引の仲介手数料も上限である物件価格の3%+6万円を商慣習として請求しているケースが大半となります。

賃貸の仲介手数料の実態

原則は家賃の0.5か月分が仲介手数料として取られるわけですが、実際には多くの不動産会社では同意を得ずに1か月分の家賃を取っていました。

最近のとある大手不動産会社の裁判例では、賃貸契約を結ぶ賃借人の同意を得ないまま1か月分の家賃を仲介手数料として取っていたために、後に裁判を起こされて争いましたが、原告側勝利となっております。このように、不動産業界ではおよそ法律とは別の商慣習が働くことがあるので、契約時には注意することが必要です。

今回の仲介手数料をめぐる裁判において、原告側勝利となったわけですが、不動産業界戦々恐々とするかと思いきや、実体は全く異なります。別に賃貸の仲介手数料を0.5か月分にしたところで、仲介会社は別の清掃費用、保険費用、事務手数料、鍵交換代など様々な名目で費用を細かく加算することができるので、実際のところ、借りる際に掛かる初期費用は裁判後もほとんど変わらないのです。

清掃費用や事務手数料などの相場は、その金額が妥当かどうかなどは素人が正確に判断できるわけもなく、見積もりをとって他社へ仲介金額の相談をすることができるということも知っている人は少ないので、実際のところは困らないのです。また、賃貸の仲介会社は貸す側のオーナーから仲介手数料とは別に借り手を紹介したという意味の広告宣伝費、ADと呼ばれる手数料も取ることができます。

このADには上限は決められてなく、家賃の2か月分だろうが3か月分だろうが互いの合意で決めることが可能で、相場としては1か月から2か月分が相場となります。このように、不動産仲介業者は借り手側から貰う仲介手数料だけでなく、事務手数料や清掃費用、ADなど様々な名目で利益を得ることができる構造の為、裁判で同意がなければ家賃の0.5か月分しか仲介手数料を取れなくても特段困ることはないのです。

しかし、今回の裁判について、実際に仲介会社が困ることはなくても、不動産業界のクリーン化に一石を投じたという意味では、有意義な裁判であったのではないかと考えます。

売買取引の仲介手数料の実態

不動産売買取引の仲介手数料については、上限で同意なく請求する事は別に違反ではないので、恒常的に上限の手数料を請求しています。

一般的には仲介手数料の値引き交渉は、買い手側も売り手側もあまりやらないことが多いです。なぜなら、売買取引の場合には、仲介会社も役所調査や近隣調査、配管や登記関係だけでなく、時には測量や建築士などの交渉が入ることもあり、契約書類も非常に厳格で賃貸の何十倍もの手間と広範で深い知識が必要になるため、仲介手数料が妥当と考えている人が多いというのもあります。

また、不動産売買仲介は営業マンのモチベーションが、不動産取引成功の重要なファクターであるため、モチベーションを下げるような交渉は買い手側もしたがらないというのもあります。もちろん、不動産の素人の中には、一回限りの不動産取引で大した知識も知見もなく、不動産仲介会社を物件を右から左に流しているだけの会社と見る人間もいるため、その場合には仲介手数料を値切る人間もいます。

そういったケースでは、営業マンのモチベーションも低いままなので、価格交渉もろくにやってもらえず、他の候補の物件もろくな物件を紹介されないため、他の不動産会社に行くか、諦めて割高で何カ月も売れ残っているような物件を買わされるのが大半となります。不動産売買取引の場合、仲介手数料を値切る交渉が不可能というわけではありませんし、他の不動産会社で取引形態が「仲介」の場合であれば、自分の気に入った物件を自分の気に入った不動産会社に紹介してもらうことができます。

ですが、自分が気に入っているからといって相手の不動産会社がただの一見の素人を気に入るかどうかは全く別で、そういった経緯で見積もりを持ってくるような客を真面目に相手するとは限りません。業者からすれば風見鶏のように仲介手数料を値切ったり、初期費用が安いところに転ぶような客は他の不動産会社に行っても、同じことを繰り返すと見られるので、あまり信用されませんし、他の文句も言わない値切らない客を真面目に相手にした方が信用もあり、利益も減らされなくていいと考えるからです。

ですので、個人的に賃貸の仲介手数料はまだしも、売買取引の仲介手数料を値切るのは賢明な判断であるとは思いません。

しっかりと相手を見極めるようにしましょう。

まとめ

いかがでしょうか。

今回、お話した仲介手数料ですが、宅建試験でも重要論点であり、不動産業者にとっても売上に関連することなので、抑えておくべき点といえます。特に、賃貸の仲介手数料については、オーナー側がAD、広告宣伝費を仲介業者に別途払っていることについては、知らない人の方が多かったのではないでしょうか。

仲介手数料について知り、オーナー側や業者側の考えを理解した上で立ち振る舞うことで、より自分にとってメリットのある不動産取引が可能となると思います。

この記事が、皆さんの参考になれば幸いです。

Biz人 編集部

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