企業が他社を買収する場合、その対象となる会社の資産や負債だけでなく、その会社の価値を示す「のれん」を取得することがあります。
この「のれん」は、買収価格と取得した資産の合計額の差額を示します。
この「のれん」の会計処理については、日本、米国、IFRSの各基準で異なる取り扱いがされます。
本記事では、それぞれの基準の場合の計算例と、それぞれの基準での違いについて説明します。
企業が他社を買収する場合、その対象となる会社の資産や負債だけでなく、その会社の価値を示す「のれん」を取得することがあります。
この「のれん」は、買収価格と取得した資産の合計額の差額を示します。
この「のれん」の会計処理については、日本、米国、IFRSの各基準で異なる取り扱いがされます。
本記事では、それぞれの基準の場合の計算例と、それぞれの基準での違いについて説明します。
【目次】

日本基準では、のれんは取得原価の差額として計算し、その金額を償却費として損益計算書に計上します。
のれんの償却期間は、最長20年とされています。また、償却方法は定額法と定められています。
また、のれんの計算にあたっては、資産の取得原価、債務の引継ぎ金額、そしてのれんの算定方法が重要なポイントとなります。
例えば、ある企業が200億円の買収価格で、取得した会社の純資産額が150億円であった場合、その「のれん」の額は50億円となります。
この場合、のれんの償却期間は最長で20年とされ、年間の償却費は最小で2.5億円となります。
米国基準では、のれんは取得原価から引き落とし、その金額を償却費として損益計算書に計上します。のれんの償却期間は、最長で40年とされています。
また、償却方法は定額法と定められています。例えば、ある企業が200億円の買収価格で、取得した会社の純資産額が150億円であった場合、その「のれん」の額は50億円となります。
米国基準では、のれんの償却期間が長いため、年間の償却費は最小で1.25億円となります。
のれんの償却期間は定められておらず、資産の価値が将来的に回収できる可能性がある場合には、定期的にインパリメントテストを実施して、その価値を評価する必要があります。
また、IFRSでは、のれんの算定方法について、米国基準と同様に多くの裁量が認められています。
例えば、ある企業が200億円の買収価格で、取得した会社の純資産額が150億円であった場合、その「のれん」の額は50億円となります。
ただし、IFRSでは、償却期間が定められていないため、その取得原価が将来的に回収できる可能性がある場合には、償却する必要はありません。
| 会計基準 | のれんの償却期間 | 償却方法 | 償却費の計算方法 |
| 日本基準 | 最長20年 | 定額法 | のれん額÷償却期間 |
| 米国基準 | 最長40年 | 定額 | のれん額÷償却期間 |
| IFRS | 償却期間は定められていない | 資産の将来的な回収可能性に基づいて判断する | 償却期間は定められていない |
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日本基準では、のれんの償却費は、のれん額を最長20年の期間で均等割引することで算出されます。
この方法は「定額法」と呼ばれ、のれん額を償却期間で割り、その年数分を毎年の償却費として計上します。例えば、先程の例でのれん額が50億円で、償却期間が10年である場合、年間の償却費は50億円 ÷ 10年 = 5億円となります。
米国基準では、のれんの償却費は、のれん額を最長40年の期間で均等割引することで算出されます。
この方法は「定額法」となっていますが、償却期間が長いため、年間の償却費は1年あたりの償却費額が比較的少なくなります。
IFRSでは、のれんの償却期間が設定されていないため、償却費の計算方法は特に定められていません。
ただし、買収後ののれんの価値が将来的に回収できる可能性がある場合には、インパリメントテストによってその価値を評価する必要があります。
のれんの会計処理は、企業価値に大きな影響を与えることがあります。
たとえば、ある企業が買収した会社の純資産額が、買収価格を下回っていた場合、その差額分が「のれん」となります。
こののれん額を償却することで、買収後の企業価値は買収前よりも低下します。
一方で、買収後に取得したのれんが、将来的に高い利益をもたらす可能性がある場合には、償却期間中にその利益が計上されることで、企業価値は上昇することになります。
そのため、のれんの会計処理には企業価値の上昇・低下に影響を与える可能性があるため、正確かつ適切に処理することが求められます。
米国基準においては、のれんは買収価格と純資産の差額から算出され、その金額を償却することが求められます。
しかしながら、米国基準では償却期間が最長で40年と長いため、のれんの償却費は年間比較的少なくなります。
そのため、米国企業は買収時により高い買収価格を提示し、その差額をのれんとして取り込むことがあるとされています。
このような買収価格の高額化は、企業間の競争激化や業績の低迷によって引き起こされることがあります。
そのため、米国では買収価格が実際の企業価値を反映しているかどうか、市場において慎重に審査されるようになってきています。
また、近年では、米国においてもIFRSの導入を検討している動きがあり、のれんの会計処理においてもより厳格な取り扱いが求められるようになってきています。
本記事では、日本基準、米国基準、IFRSののれんの会計処理について、それぞれの基準での計算例と、違いについて説明しました。
日本基準では、最長20年の償却期間が設定され、米国基準では最長40年の償却期間が設定されています。IFRSでは、償却期間が定められておらず、取得原価が将来的に回収できる可能性がある場合には、定期的なインパリメントテストによって価値を評価する必要があります。また、各基準において、のれんの算定方法や償却費の計算方法に多くの裁量が認められている点も異なっています。
企業は、買収時ののれんの算定方法や償却費の計算方法について、その所在地や業種に応じた適切な会計基準を選択し、正確かつ適切に処理することが求められます。また、買収後ののれんの管理についても、資産評価やその償却費の計算方法を正確に把握し、適切な記帳と管理を行うことが重要です。
なお、のれんの会計処理は、企業の信頼性や健全性を示す指標の一つとされています。買収に伴い取得したのれんを適切に評価することで、企業の経営状況や将来の業績を正確に把握することができます。
そのため、企業は常に法律や会計基準の変更に対応し、正確かつ適切な処理を行うことが求められます。
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