経理/簿記試験

簿記1級の鬼畜問題3選と解ける力を身に着ける方法

テーマ
簿記1級の鬼畜問題3選
監修
簿記マスター

日商簿記検定1級、非常に魅力のある資格ですが、合格率約10%の厳しい試験となっております。チャレンジしてはみたものの、あまりの難しさ、理不尽さに心を折られ、リタイアしたり、メンタルやられてしまったりする方も少なくありません。基本的な問題をしっかり押さえていれば合格点である70点に届くと一般的には言われていますが、実際の試験問題は毎回ひねられていて、何が基本的なのか何が応用問題なのかわからないまま終わるパターンも多いでしょう。そんな簿記1級の問題の中で、私の受験経験も踏まえながら、多くの受験生にトラウマを植え付けたであろう問題を3つご紹介致します。

 


退職給付会計

まずご紹介するのは退職給付会計です。一生懸命会社に尽くして、最後に頂くことのできる退職金です。貴重な老後の原資です。

退職給付会計の問題の特徴

会計処理の中では割と馴染みのあるテーマではありますが、実際学習を進めると予想していた10倍くらい難しいことに気づかされます。

例えば①将来の貨幣価値を現在価値に直す為の割引率、②年金資産の額、退職給付引当金の額、③退職給付会計における見積もりと実際との差額である数理計算上の差異、④退職給付水準の改定や新たな企業年金制度の採用などに起因して発生した退職給付債務の増減額である過去勤務費用、などのいろいろな要素を整理していかなければいけません。

また、③の数理計算上の差異や④の過去勤務費用は単体決算では認識しないけれど、連結決算では「退職給付に係る負債」として認識する必要も出てきます。その際には税効果会計や、連結包括利益計算書にもからんでくる論点となります。

退職給付会計の問題の対応策

対応策としては「図で情報を整理する」やり方が効果的でした。株主資本等変動計算書を参考にしておりますが、下記のようなイメージです。

仕訳だけで考えるよりも個人的には情報整理しやすかったです。これをやると連結財務諸表に記載する「退職給付に係る負債」の算出も容易になります。なお、上記で計算すると退職給付に係る負債は32,000円となります。

原価の固変分解(最小自乗法)

原価には変動費と固定費があります。これを分解することで直接原価計算や、CVP計算ができるようになる為、工業簿記や原価計算では経費を変動費と固定費に分ける固変分解をしばしば求められます。この固変分解にも高低点法と最小自乗法等、いくつか方法がありますが、今回はその中でもややこしい最小自乗法を紹介致します。

最小自乗法の問題の特徴

最小自乗法とは、原価の推移を営業量の変化に関係づけられる直線と定義して、原価の実績データの平均線を方程式を使いながら求め、その連立方程式を解くことによって変動費と固定費に分解する方法です。 具体的には下記のような計算をしていきます。

Y:原価発生額

X:営業量

a:変動費率

b:固定費

n:データ数

Σ:合計

 

① ΣY = a Σ X + nb

② Σ XY = aΣX2  +  b Σ X

数学が苦手な方にとってはこの時点で頭が混乱してしまうかもしれません。Σとか中々使わないですからね。この問題の辛いところは、せっかく覚えたとしても出題頻度も少ない為、次の出題の機会までには頭の中からすっかり抜けてしまうというところです。

最小自乗法の対応策

こちらに関しましても先ほど同様図を作っていくのが効果的です。エクセルの表をイメージするといいかもしれません。お仕事などでエクセル関数を使う方は何となく下記の式がご理解いただけると思います。

ここに情報を埋め込んでいきます。

一番左は合計ではなくデータの数であるところがポイントですね。

続いて一番下のセルの色付けとアルファベットの割り振りを行います。アルファベットはAが変動費、Bが固定費という意味です。アルファベットが2段ありますが、上段は青い数字、下段は黄色い数字とくっつき、それぞれ方程式を作ります。Xについては青でも黄色でもどちらでも使いますが、くっつくアルファベットが異なるのでご注意ください。

上記をまとめると下記のような連立方程式を作ることができます。

①30,800=2,000A+4B

②17,600,000=1,200,000A+2,000B

A(変動費)=11   B(固定費)=2,200

式だけだと中々覚えるのが難しい問題ですが、このように視覚的に覚えることで記憶への定着率も高まり、いざというときに使える知識になってくるかと思います。



車両の買換え

最後に紹介するのは車両の買換えです。こちらも簡単そうで意外と頭を悩ませる論点となります。

車両の買換えの問題の特徴

車両の買換えに関しては、通常の減価償却の計算はもちろん、売却価格や下取り価格、新車の代金、売却損益を丁寧に整理していかなければいけません。自動車販売の商習慣として、新車の値引きはせず、代わりに下取り価額に上乗せをして買い取るということをしており、そこをしっかりと理解して対応していく必要があります。また、消費税の有無でも難易度がかなり変わってきます。

車両の買換えの問題の対応策

車両の買替えの問題についても、図を作っていくのが有効です。簿記1級においてはこのような図の引き出しをいくつも持っていると非常に応用力が高まります。

下記のように、まず○×ゲームのようなマスを作ります。その中に①新車代、②下取り価格、③簿価、④支払額、⑤時価、⑥売却損益を当て込んでいきます。最後の売却損益を出すのに苦労する受験生も多いので、このような形でシステマチックに算出するやり方も一つの選択肢として覚えて頂くと良いかもしれません。

なお、上記は消費税がないパターンでしたが、次に消費税があるパターンも見ていきたいと思います。

消費税がある場合はしっかりとその計算もしてあげることと、下取り価格、または時価の価格の消費税を仮受消費税として、しっかりと認識してあげることがポイントとなってきます。それ以外の処理はほぼ消費税抜きと同じとなります。

まとめ

以上、個人的な日商簿記検定1級の鬼畜問題をあげさせて頂きました。どれもこれもクセがありますよね。基本的な問題で点数を積み上げることも大事ですが、このような鬼畜問題に対しても怯まずに、少しでも爪痕を残すような悪あがきが他の受験生との差をつけるところにも繋がってきます。市販の参考書で分かりにくければ自己流でも全然かまいません。

実際今回紹介させて頂いた内容はほぼ自己流ですが、効率的な解き方を追求していく段階でものすごく理解が進みました。

うまく解答テクニックを取り入れて、これらの問題にもある程度立ち向かえるようにしていきましょう。読者様のチャレンジ、心より応援しております。

Biz人 編集部 経理応援隊/簿記応援隊

経理実務や簿記の試験対策に役立つ知識を提供します。

人気Articles

  1. 投資用マンションで失敗しないリスク最小化5選

  2. 事業に大切な精算表の書き方は?書き方や精算表の種類について紹介!

  3. 似ている勘定科目に注意が必要!売掛金の仕訳方法やリスクを初心者にもわかりやすく解説!

  4. 消費税の仕訳方法は?会計処理で気を付けるポイントをわかりやすく解説!

  5. 株式投資で資産を増やす方法:初心者が知っておくべき始め方と注意点

  6. 連結会計を難しくさせている大きな要因「非支配株主持分」をわかりやすく解説!

  7. 簿記の基本。知らないいと恥ずかしい減価償却費の会計処理とは?

  8. 現金・預金管理とは?管理方法や合わないときの仕訳までくわしく解説

  9. 不動産投資で絶対失敗しない!損しないためのプロの視点

  10. プロパー融資とは?メリットとデメリットをくわしく解説!