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事業用不動産賃貸借契約時に自社が注意すべきポイント

テーマ
不動産賃貸借契約
監修
不動産投資のプロ

仕事をするなかで、自社の土地を貸し出したり、事務所や店舗運営のために土地を借りる等の目的で賃貸借契約を締結することがあると思います。

このように、事業の用に供する建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約の形態として、事業用定期借地権設定契約があります。

この記事では、 事業用定期借地権設定契約時に、特に注意すべきポイントをお伝えします。

事業用定期借地権とは

普通借地契約は、一度土地を貸し出してしまうと、正当事由が無い限り、貸主側から契約更新を拒絶するができなかったり、借主が建物を再築した場合は存続期間が延長されたり、貸主への建物買取請求権が認められる等、借主に有利な内容となっています。

これらを無効にする特約を契約書に定めたとしても、その特約自体が無効となります。

一方、定期借地権設定契約であれば

  1. 当初定められた存続期間が満了となると、確定的に契約終了となり更新がされない。
  2. 借主が建物を再築しても存続期間が延長されない。
  3. 貸主が建物買取請求権を拒否できる。

の特約が有効となります。(※必ず書面で定めることが必要。)

これらに加え、専ら事業の用に供する建物の所有を目的としたのが、事業用定期借地権設定契約です。

事業用定期借地権設定契約は、存続期間が最短10年からという短期の貸し出しができたり(※一般定期借地の場合、50年以上の存続期間が条件。)、地代を居住用より高く設定できたり、借主から更地となった土地を返還してもらえる等、貸主側に多くのメリットがあります。

契約時のポイント

土地の使用用途は専ら事業用の建物を所有すること

「事業用」とは、「居住」を含まないという意味であり、店舗・事務所・倉庫・工場・ホテル等の事業専用の建物を指します。

この「事業用」には「居住」が含まれないため、マンション・戸建て・老人ホーム、従業員用の寮等の居住の要素が含まれるものには、事業用借地を設定できません。また、事業用建物の一部に居住の要素があるのもアウトです。

例えば、保守管理上の必要から、守衛等の管理室として、建物の一部に居住させることはできません。

存続期間を定める

事業用定期借地権が認められるには、10年以上から50年未満の存続期間を設定することが必要です。

存続期間が10年未満だと、事業用定期借地権とは認められません。そして、事業用定期借地権は、10年以上30年未満と、30年以上50年未満で、多少要件が異なります。

貸主は、将来使用予定がある土地であれば、10年以上30年未満で設定し、将来使用予定がないのであれば、30年以上50年未満で設定するのがオススメです。

特約を設ける

上記で申し上げたとおり、事業用定期借地権は、存続期間10年以上30年未満と30年以上50年未満で、若干要件が異なります。

存続期間が10年以上30年未満の場合、①使用用途(事業目的であること)と②公正証書での締結の要件を満たせば、事業用定期借地権と認められます。

存続期間が30年以上50年未満の場合、①使用用途②公正証書での締結に加え、③契約の更新が無い④建物築造による期間の延長がない⑤借主が建物買取請求をしないという要件を定めることで事業用定期借地権と認められます。

なお、存続期間を50年以上とした場合についても、30年以上50年未満の場合の同様に、①使用用途②公正証書での締結に加え、③契約の更新が無い④建物築造による期間の延長がない⑤借主が建物買取請求をしないという要件を明文化していれば、使用用途を問わない一般定期借地権と認められるので有効に成立します。

ここでのポイントは、契約期間が10年以上30年未満の場合は、①契約の更新が無い②建物築造による期間の延長がない③借主が建物買取請求をしないというのが絶対要件ではないところです。

中途解約について

事業用定期借地権設定契約は原則中途解約ができません。そのため、契約書に中途解約ができるという特約を設ける必要があります。しかしこの特約はなかなか受け入れられにくいので、「●ヶ月前に解約の通知をすること」等の条件を入れると交渉し易いかと思います。

また、中途解約をした場合、原則借主は満了日までの残りの賃料を違約金として支払うことが前提となります。残存期間が長いと違約金が高額となる可能性があるので、借主側は違約金についても特約を設けるよう交渉してみることをオススメします。

公正証書について

事業用定期借地権設定契約を締結する際は、権利義務を明確化し、要件をチェックして定期借地制度の濫用を防止するため、契約自体を公正証書で行わなければなりません。

存続期間満了後について

事業用定期借地権は更新が無いので、期間満了日に確定的に契約終了となります。

しかし、期間満了後も、再契約や期間延長をせず、借主から賃料が支払われ、貸主がそれを漫然と受領してしまうと、黙示の普通賃貸借契約が成立してしまう可能性があります。

しかも、定期借地権設定契約ではなく、普通賃貸借契約が成立してしまうので、貸主側は正当事由がなければ存続期間更新の拒否ができなかったり、中途解約ができない等、貸主側に不利になってしまうので要注意です。

存続期間の延長・変更契約をする場合

初めの契約は公正証書で行うことを義務付けられていますが、存続期間の延長契約についてもただの覚書ではなく公正証書で行うべきかと思います。

また、存続期間以外にも変更点があれば、後のトラブルを避けるためにも、公正証書による再契約を締結するのが安全です。

まとめ

事業用定期借地権設定契約は、基本的に貸主に有利な契約ですが、借主も高額な土地を購入する必要がなく、ローコストで事業を行えるというメリットがあります。

後のトラブルを避けるためにも、借地借家法の重要ポイントをしっかり押さえつつ、それぞれのメリット・デメリットを考えて、慎重に交渉するのが大切かと思います。

土地活用の方法として、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。

Biz人 編集部

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