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マーケターの基本スキル!ロジカルシンキングのツール・手法5選を紹介!

テーマ
ロジカルシンキング
監修
Big4社員

ビジネスをスマートに進めるための必須スキルである「ロジカルシンキング」についてご存じですか?ロジカルシンキングとは、物事を体系的に整理し、矛盾や破綻なく筋道立てて考える方法のことを指します。

マーケティング戦略を立案する際は、製品や顧客、競合といった様々なファクターを考慮する必要があります。数ある要素の関係性や相互の影響を考える中で、「何が考慮済で、何が未考慮かわからなくなってしまった」「苦労して検討した戦略をいざ見直してみると、矛盾があって現実的ではなかった」といった苦い経験をお持ちのマーケターの方は、少なくないのではないでしょうか。

ロジカルシンキングを身につけることが、状況や課題を適切に整理し、最適な戦略を導くことにつながります。

この記事では、ロジカルシンキングを用いることの具体的なメリットや、代表的なロジカルシンキングの手法5選、あわせて知っておきたいクリティカルシンキングについて紹介します。

ロジカルシンキングがマーケターにとって必要な理由

まずは、マーケターがロジカルシンキングを身につけるべき理由について紹介します。3つのメリットを見ていきましょう。

状況を分析し、課題を特定するスピードが上がる

「新商品の売上が想定より芳しくない」こんな状況に直面したとき、あなたならまず何から検討をはじめますか。商品の価格設定、広告、チャネルの販売手法……原因として考えられそうな要素がたくさんありますね。こんなときに、あわてて「とりあえず、価格について見直しだ」というような、その場しのぎの対策をとってしまう場合があります。そのような真の問題解決につながらない場当たり的な対応に、費用や時間を浪費することは避けたいものです。

こういった場面では、ロジカルシンキングに基づいて、まずは状況を整理しましょう。物事をその構成要素に分解し、整理することで、どこに問題や原因があるのかを素早く特定しやすくなります。問題に対して原因が複数ある場合、その影響度の大小を計りやすくする効果もあります。

更に、抜け漏れなく要素を整理しておくことで、対策がうまく機能しなかった場合に、改善点や次の一手を考えやすくできることも重要なポイントです。

論理的で説得力のある提案・議論ができる

例えば、「新サービスの拡販には、コミュニケーションチャネルとしてSNSを用いるのが最適です!」こんな提案をしたとき、「根拠はなぜ?」と聞かれて適切に回答することができますか。「私の感覚では、そう思ったのです」こんな答えでは、質問相手に納得してもらうことはできませんよね。

こんなとき、ロジカルシンキングを用いて主張・根拠・その論理関係を予め整理しておくと、相手に納得感を与えやすくなります。その上、根拠が明確に提示されていれば、あなたの提案が採用に値するかどうかの判断も容易です。

また、提案に対して更に議論を行うときに、根拠がはっきりしていることで議論すべきポイントが特定しやすくなることもメリットの1つです。

情報を端的に伝えることでコミュニケーションコストが減少する

マーケターは、実にたくさんの人々とやり取りをしながら仕事を進めていく必要があります。マーケティング担当の他メンバー、製品・サービスの開発担当、営業担当、広報担当、販売チャネルとなるパートナー等、ビジネスに関わる多くの関係者とのコミュニケーションが不可欠です。ミーティングや連絡への対応に追われていたら、いつのまにか一日が終わっていた、なんてこともあるのではないでしょうか。

このようなコミュニケーションコストを出来る限り小さくするためにも、ロジカルシンキングは有効です。ロジカルシンキングに基づいて、要点が伝わりやすい話し方・書き方をすることで、内容がスムーズかつ適切に理解されやすくなります。その結果、確認のためのやりとりを必要最低限にできたり、内容の解釈違いによるトラブルを防ぐことができたりするのです。

ロジカルシンキングの手法5選

では、ロジカルシンキングの基礎的な手法5つを早速チェックしていきましょう

帰納法

「複数の物事から、共通する要素やルールを見出し、それらを統合して結論を導く」という考え方が帰納法です。

例えば「友人の多くがブランドAの服を着用している」「ブランドAがテレビで取り上げられた」「ブランドAがSNSでトレンド入りしている」という事例があった場合に、そこから「ブランドAは人気である」という結論を出すことができます。

前提とする事例に偏りがないことや、事例の量が結論の信頼性を高めるために重要です。

演繹法

「複数の一般論やルール、普遍的な原理原則から、それらを関連づけて結論を導く」という考え方が演繹法です。

例えば「駅前店舗の来店者数は多い」「来店者数が多い店舗の売上は高い」という一般論があった場合に、そこから「駅前店舗の売上は高い」という結論を出すことができます。

ただし、前提として取り上げるルール自体に誤りがあった場合、結論も誤ったものになってしまうことには注意しましょう。

 

MECE

MECEとは「モレなく・ダブりなく」を意味しています。「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取った用語であり、「ミーシー」または「ミッシー」と読みます。

後述する「ピラミッドストラクチャー」や「ロジックツリー」を用いるときに、意識すべき考え方です。

 

ピラミッドストラクチャー

「主張」と「その根拠となる物事」をピラミッドの形で整理する手法がピラミッドストラクチャーです。

主張を成立させるための根拠の論理構成を整理できるので、提案や報告の際に効果を発揮します。

ロジックツリー

「物事」と「それを構成する要素」をツリーの形で整理する手法がロジックツリーです。

ピラミッドストラクチャーと混同されがちですが、適した用途が異なります。ロジックツリーは問題を分解して原因を特定したり、解決策を検討したりする際に有効です。



あわせて知っておきたい「クリティカルシンキング」

ロジカルシンキングを実践するとき、必ず気をつけるべきポイントが1つあります。それは論理の筋道が正しくても、切り口がずれていたり、前提が誤っていたりすると意味がないということです。

そこで、同時に必要となるのがクリティカルシンキングです。クリティカルシンキングとは批判的思考のことを指します。ロジカルシンキングで考えた内容の前提を疑ってみたり、先入観がないかチェックしたりすることを忘れないようにしましょう。

例えば、帰納法の説明で取り上げた「友人の多くがアパレルブランドAの服を着用している」という事例の場合。「洋服ブランドAは人気である」という結論を出す前に、以下のような問いができますね。

  • 「友人」とはどういった層の購買者を指すのか?
  • 「友人」ではない人はどうなのか?
  • 「多く」とは具体的に何人か?

有効なマーケティング戦略を立案するために、ロジカルシンキングだけでなくクリティカルシンキングを併せ持つことが、マーケターにとって重要なのです。

まとめ

この記事では、マーケターの基本スキルであるロジカルシンキングについて解説しましたが、いかがでしたか?ロジカルシンキング力を鍛えるためには、日々の業務での実践が欠かせません。是非、紹介した手法を実際に使ってみてください。ちょっとした提案も、ロジカルシンキングを用いて説明することで、ぐんと受け入れられやすくなるはずです。

ロジカルシンキングを身に着けて、マーケティング戦略の質とスピードを高めていきましょう。

Biz人 編集部

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