ファイナンスリースとオペレーティングリースの違いは所有の仕方?

企業で使用されている有形固定資産は購入したものばかりではなく、重機やOA機器などの多岐に渡る設備がリース契約により使用されています。リースは最新の設備を使用できる、一時的な多額の設備投資資金が必要ないなどメリットがありますが、その一方で現金一括購入する場合と比べると総額では支払額が高くなるというデメリットもあります。
リース取引はファイナンス・リース取引(解約不能・フルペイアウトという2つの要件を満たしたリース取引)とオペレーティング・リース取引(ファイナンス・リース以外の取引)の2つに分類されます。ファイナンス・リースは、さらに「所有権移転取引」と「所有権移転外取引」に分けられ、それぞれの処理方法が異なります。
では、日商2級で出題されている「ファイナンス・リース取引(所有権移転外)」の利子込み法および利子抜き法と、「オペレーティング・リース取引」の3パターンでの処理方法を見ていきましょう。
例:A社は次の条件により当期首4月1日にX社と備品のリース契約を結んだ。なお、A社の会計期間は1年、決算日は3月31日である。
(条件)
1.リース期間 5年
2.リース料 年額12,000円 総額60,000円 毎年3月31日に現金で支払い
3.リース資産の見積現金購入価額 50,000円
4.リース資産の減価償却 耐用年数5年、残存価額ゼロ、定額法、間接法
1.ファイナンス・リース取引(利子込み法)
ファイナンス・リース取引は売買処理に準じます。リース契約時に売買したときと同じように資産として計上するということです。
①リース契約時
| リース資産 60,000 | リース債務 60,000 |
備品をリースしていますが「備品」とはせずに「リース資産」勘定を使います。購入した資産と区別するためです。利子込み法では、リース資産の金額を5年分の利息を含んだリース料60,000円を「リース資産」として資産計上し、この未払い分を「リース債務」として負債計上します。
②リース料支払時
| リース債務 12,000 | 現金 12,000 |
①で貸方に計上されたリース債務のうち1回分を支払ったという仕訳です。リース料年額12,000円の支払いとなります。
③決算時
| 減価償却費 12,000 | 減価償却累計額 12,000 |
①で資産として計上しているので、決算時には他の有形固定資産と同様に減価償却を行います。(条件4)の減価償却に関する資料より次のように計算されます。60,000円÷5年=12,000円。
2.ファイナンス・リース取引(利子抜き法)
基本的には1.利子込み法と同様の処理ですが金額が異なりますので注意が必要です。
①リース契約時
| リース資産 50,000 | リース債務 50,000 |
利子抜き法では、「リース資産」として計上する金額が、(条件3)リース資産の見積現金購入価額50,000円となります。現時点で現金一括購入した場合の購入価額を資産の価値として計上する方法です。一括購入した場合の価額なので、リース資産の金額に利息の支払い分は上乗せされません。
②リース料支払時
| リース債務 10,000 | 現金 12,000 |
| 支払利息 2,000 |
①で貸方にリース債務として計上された50,000円のうち1回分を支払ったということで、(借方)リース債務の金額は50,000円÷5年=10,000円です。しかし、毎年12,000円を現金によりリース料として支払うという事実は変わりません。このことから(貸方)現金12,000円となります。最後に貸借差額の2,000円ですが、これはリース会社へ支払う利息を表しています。そのため(借方)支払利息2,000円として費用処理します。
③決算時
| 減価償却費 10,000 | 減価償却累計額 10,000 |
①で資産として計上した額は50,000円です。この50,000円を基準に減価償却を行います。(条件4)の減価償却に関する資料により次のように計算されます。50,000円÷5年=10,000円。
本問では、上記の減価償却の計上仕訳のみでしたが、問題によっては、決算時に追加で仕訳が必要な問題もあります。リース料支払日と決算日が異なるケースです。
例えば、上記例のうちリース契約が10月1日、リース料支払は毎年9月末日、決算日3月末日の場合、次のような処理を行います。
10/1 (借方)リース資産 50,000 (貸方)リース債務50,000
翌3/31(借方)減価償却費 5,000 (貸方)減価償却累計額 5,000
(借方)支払利息 1,000 (貸方)未払利息 1,000
10月から翌3月までの実際に使用した6カ月分のみ減価償却費を計上します。50,000円÷5年×6÷12=5,000円。また、決算時点ではリース料を支払っていないため、まだ「支払利息」を計上していません。そこで6カ月分の利息を当期の費用として計上します。1年分の利息2,000円×6÷12=1,000円。
3.オペレーティング・リース取引
オペレーティング・リース取引は、賃貸借処理に準じます。そのため、ファイナンス・リース取引とは処理方法が大きく異なります。
①リース契約時
~仕分けなし~
リース契約をし、実際にリース資産を使用していても仕訳は必要ありません。
②リース料支払時
| 支払リース料 12,000 | 現金 12,000 |
リース料を支払ったときに、(借方)支払リース料として1年分のリース料を費用計上します。
③決算時
~仕分けなし~
①で資産として計上していないため、決算時に減価償却を計上することはありません。
しかし、決算時に仕訳が必要な問題もあります。
上記2.利子抜き法③の例と同様に、リース料支払日と決算日が異なる場合次のようになります。(2.③の例を使用)
10/1 リース契約時 仕訳なし
翌3/31決算 (借方)支払リース料 6,000 (貸方)未払リース料 6,000
10月から翌3月までの6カ月間は、リース資産を使用したのにも関わらず、未だ支払いがされていません。そのため、6カ月分(12,000×6÷12=6,000)を支払リース料として費用計上するとともに、未払リース料を負債として計上します。
ここまで、2021年春の段階でのリースに関する処理方法を見てきましたが、商工会議所の出題範囲表では、会計基準の改正に伴い将来的には出題内容等が変更される可能性があるとしています。新リース会計基準が適用されることにより検定試験にも影響を及ぼします。今後の動向を注視して出題範囲の変更にも対応できるよう基本を押さえておくことが重要です。


