経理/簿記試験

商品有高帳とは?先入先出法や移動平均法について例題を用いてわかりやすく解説!

テーマ
商品有高帳とは
監修
簿記マスター

簿記検定において、商品有高帳に関する問題は頻繁に出題されています。主に3級以降に出題されています。単体として出題される時もあれば、貸借対照表・損益計算書などを作成する際に要素として出題される場合もあります。まだまだ簿記を勉強し始めたばかりの方は、ここで商品有高帳の考え方を固めましょう。また、実は商品有高帳はとても奥が深いのです。すでに勉強している方も、ぜひ一緒に見ていきましょう。



商品有高帳とは?

ではまず、商品有高帳は何かというと、字の意味のまま、商品の有高を表しています。すでに仕訳の勉強をしている方は、商品の仕入れ・売上の仕訳をする際にどのような仕訳をしているかを思い出してみて下さい。その際には、金額のみの情報になりますよね。それをこの商品有高帳で補完していく、というようなイメージです。

商品有高帳に書かれている情報は次の通りです。

  • 商品の単価
  • 商品の在庫数
  • 前月からの繰り越した商品
  • 次月へ繰り越す商品

では実際に、商品有高帳を見ていきましょう。

商品有高帳をみてみよう

次に、商品有高帳の実際の表を見てみましょう。

これが商品有高帳のかたちです。

上から順に見ていきましょう。左上に???法とありますね。

実は商品有高帳には3種類の記帳方法があります。この後詳しく説明していきます。

令和3年、これは日付です。その右側が重要です。摘要にも内容は書かれていますが、

「受入」は仕入などの商品が増えたもの

「払出」は売上などの商品が無くなったもの

「残高」はそのまま、今あるものを表しています。

その下には数量、単価、金額です。数量に金額を掛け算したものが金額、となっています。

そして摘要欄にあるのは前月繰越、次月繰越や仕入、売上です。この表は慣れれば当てはめていくだけです。リラックスして次に行きましょう。

商品有高帳の種類

では次に、先述した商品有高帳の種類についてです。

商品有高帳には、3つの書き方があります。これは、商品の単価の計算方法の違いです。また、この単価というのは仕入単価、つまり原価です。

①先入先出法

②移動平均法

③総平均法

まず前提として、仕入れる商品は常に仕入れ値が変動しています。そのため、同じ商品でも今日に仕入れるのと明日に仕入れるのは値段が変わります。それらの仕入れ値ごとで商品を区分して書いていくのが①先入先出法、商品を仕入れていくごとに単価を平均していくのが②移動平均法、③月末にまとめて平均して単価を出して計算する総平均法です。

では、先ほど出した表は①、②、③のどれを採用した表だったかはお判りでしょうか?

答えは①先入先出法です。払出と残高欄に括弧がついていますね。これは複数種類の単価の商品を払出、そして残高として残っていることを表しています。

 

移動平均法の表

では次に、移動平均法の表を見てみましょう。

これが移動平均法の表です。左上に書いてありますね。では見ていくと、前月繰越と5月4日の仕入れの金額を平均して単価を計算しています。計算式は

(50×150+100×120)÷(50+100)=130

これを仕入、残高で繰り返して計算していきます。ここが混乱しやすい人もいるかもしれません。一つ一つ丁寧に計算しましょう。

総平均法

最後に、総平均法です。これは最終的に平均するだけです。

これだけですね。最後の次月繰越時点で単価を算出します。いちばん簡単な表です。簡潔でわかりやすいですが、簡単なゆえに他と比べて出題されにくいです。

では、最後に実際に問題を解いてみましょう。

商品有高帳を解いてみよう

では、実際に問題を解いて身に着けていきましょう。

例題

ABC株式会社は、市場からD商品を仕入れている。そして、得意先のE株式会社に単価500円で販売を行っている。以下の商品有高の状況を踏まえ、3通りの商品有高帳を作成しなさい。また、それぞれの売上総利益も計算すること。なお、単価の計算の際に端数が出た場合は四捨五入すること。

[商品の状況]

前月繰越 100個(単価:400円)

6月6日  仕入 300個 単価420円

6月9日  売上 200個

6月18日 売上 50個

6月25日 仕入 100個 単価450円

6月27日 売上 180個

 

〈解答欄〉

売上総利益 (     )円

売上総利益 (     )円

売上総利益 (     )円

 

解答・解説

売上総利益 (35,500)円

売上総利益 (34,030)円

売上総利益 (33,540)円

 

解説

では、解説に移ります。

まずは、先入先出法です。まずは6日の仕入です。そのまま記入し、残高には前月繰越の商品とあわせて2行で記入しましょう。次に、9日の200個の売上です。先入先出法ですので、先に取得していた前月繰越のものから払出していきます。残りの100個は6日に仕入れたものから払出をします。そのまま記入していけばこの先入先出法は解答できます。

先入先出法について間違いやすいものは単価の記入ミスです。冷静に記入していけば得点源になりますので、慌てずじっくり解きましょう。

次に、移動平均法です。6日の仕入と前月繰越の金額を足し、両方の数量で割り算をし、単価を算出します。

(40,000+126,000)÷(100+300)=415

このように計算していき、表を埋めていきます。

最後は総平均法ですが、これはとても簡単です。すべての商品の合計から単価を算出します。

(100×400+300×420+100×450)÷(100+300+100)=422円(単価)

表の書き方さえわかれば一番簡単ですね。

 

では最後に、売上総利益を算出します。それぞれの払い出した売上原価を売上から控除します。期首商品+仕入-期末商品でも算出することができますね。

  • 計算式

(売上個数)×売上単価-(期首商品+仕入-期末商品)=売上総利益

  • 先入先出法

(200+50+180)×500-(40,000+126,000+45,000-31,500)=35,500

  • 移動平均法

(200+50+180)×500-(40,000+126,000+45,000-30,030)=34,030

  • 総平均法

(200+50+180)×500-(40,000+126,000+45,000-29,540)=33,540

 

このようになりました。期末商品の金額が少ないほど売上原価の金額は高くなるので、利益は減少しています。

 



まとめ

いかがでしたでしょうか。商品有高帳は意外とつまずきやすい項目でもあります。先入先出法でも移動平均法でも、一つ間違えたらそれ以降の数字は全部間違ったものになってしまいます。今一度、見直してみましょう。

Biz人 編集部 経理応援隊/簿記応援隊

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