経過勘定とはどのような科目を指すか知っているでしょうか。経過勘定とは、実際の入出金と収益・費用の計上時期が異なるときに、そのズレを調整するときに使用する勘定科目です。
経過勘定のひとつに「前受収益」があります。前受収益と間違えやすい科目には前受金があるので、経理担当者はそれぞれの内容を理解していないといけません。
この記事では前受収益についてくわしく解説していきます。最後まで読めば確実に理解できますので、正しい判断ができるようにしていきましょう。
経過勘定とはどのような科目を指すか知っているでしょうか。経過勘定とは、実際の入出金と収益・費用の計上時期が異なるときに、そのズレを調整するときに使用する勘定科目です。
経過勘定のひとつに「前受収益」があります。前受収益と間違えやすい科目には前受金があるので、経理担当者はそれぞれの内容を理解していないといけません。
この記事では前受収益についてくわしく解説していきます。最後まで読めば確実に理解できますので、正しい判断ができるようにしていきましょう。
【目次】
はじめに、前受収益の意味について確認してみましょう。企業会計原則では、前受収益についてつぎのように定義しています。
前受収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対し支払を受けた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の収益となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。また、前受収益は、かかる役務提供契約以外の契約等による前受金とは区別しなければならない。
この定義を念頭におきながら、前受収益についてくわしく解説していきます。なお、会計用語のひとつに「役務の提供」がありますが、わかりやすく「サービスの提供」に置き換えて説明します。
前受収益のポイントは、サービスの提供をまだ行っていないにもかかわらず、すでに代金を受け取っている点です。
収益は、サービスの提供を行った時点で計上しますが、サービスの提供を行う前に受け取った代金は当期の収益とはなされず、翌期に繰り延べられます。翌期になって、サービスの提供を行った時点で収益に計上します。
前受収益などのような経過勘定は、決算時に貸借対照表の「負債の部」に計上します。
前受収益と間違えやすい科目に「前受金」があります。前受収益と前受金について共通点と相違点を整理してみましょう。
前受収益 | 前受金 | |
共通点 | サービスの提供を行う前に代金を受け取っている。 | |
相違点 |
サービスの提供を継続的に行うもの | サービスの提供を継続的に行うものではない。 |
決算時に計上 | 期中に計上 | |
期首振替が必要 | 期首振替が不要 |
前受収益が、サービスの提供を継続的に行うものに対し、前受金はサービスの提供を継続的に行うものではありません。
例えば、土地の売買など高額な取引前に、手付金としてを代金の一部を受け取るケースが前受金にあたります。
ここからは前受収益の仕訳方法を、具体的な例示をもとにくわしく解説していきましょう。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金預金 |
960,000円 |
受取賃貸料 |
960,000円 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
受取賃貸料 |
640,000円 |
前受収益 |
640,000円 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
前受収益 |
640,000円 |
受取賃貸料 |
640,000円 |
翌期首に決算時と反対の振替仕訳を計上することで前受収益の残高は消去され、4月〜11月分の収益(受取賃貸料)640,000円が計上されます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金預金 |
600,000円 |
受取利息 |
600,000円 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
受取利息 |
200,000円 |
前受収益 |
200,000円 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
前受収益 |
200,000円 |
受取利息 |
200,000円 |
翌期首に決算時と反対の振替仕訳を計上することで前受収益の残高は消去され、4月〜7月分の収益(受取利息)200,000円が計上されます。
前払収益は、受け取ったお金が翌期に該当するものは当期の収益から除く点がポイントになることがお分かりいただけたでしょうか。
正しい期間配分計算を行わないと、過大または過少に収益を計上してしまうことになってしまいます。前受収益の計上は、損益計算書に大きな影響を与えるため正確に管理することが必要になるでしょう。
翌年度の期首には、決算時と反対の振替仕訳を起こすことも忘れてはいけません。
▼「消費税の仕訳方法は?会計処理で気を付けるポイントをわかりやすく解説!」はこちらの記事をご確認ください
今回は、前受収益について、前受金との違いや仕訳方法を解説してきました。
正確な期間損益計算を行うためには、前受収益などの経過勘定と呼ばれる科目について適切な処理を行わなければなりません。
前受収益は、金融や不動産などで発生する科目ですが、近年はサブスクリプションなど新たな事業を行う会社もあります。サブスクリプションは前受収益の計上が必要になるので、正しい知識を身につけておきましょう。
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