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不動産投資に必要な出口戦略~不動産を売却する際のポイント~

テーマ
不動産投資の出口戦略
監修
不動産投資のプロ

動産投資成功に必要な3か条

まず、不動産投資の出口戦略において重要なのは、管理、物件、立地の3つになります。

この3つのうち、どこの物件を買うかという「立地」と、どのような「物件」を買うのかで成否が決まります。不動産投資の成功は、基本的にこれらの物件を調査して購入するまでで決まるといっても過言ではありません。

そして、管理については不動産は所有し続けるのが前提となりますが、この管理についても税務の知識を持たないと、せっかくキャッシュフローが出る物件を買っても、十分にその物件の持つキャッシュフロー能力が発揮できないことがあります。

出口戦略というのは、単純に売ることだけを考えるのではなく、物件に掛かる税務を細かく把握や分析をして、いつに売却すれば、税務的に利益が最大化できるかを考える事も含まれます。

出口戦略には税金の知識が必要

それでは、物件における税の知識として何が重要なのかというと、購入物件の「デッドクロス」を考えることが重要となります。

デッドクロスとは、物件の減価償却と物件購入の月々の元金に対する支払いにおいて、月々の元金が物件の減価償却を上回る場合の状態のことを指します。減価償却とは、実際には経費として現金が出ていくのではなく、物件の時間経過に伴う物件価値の下落を経費として計上することを言います。この減価償却という経費があることで、不動産所得の利益を圧縮することができて、節税対策ができるようになるわけです。

では、デッドクロスが起きると、どうなるのかと言いますと、例えば、月の家賃収入が100万円、元金の支払いが20万円で、物件の減価償却が20万円だった場合、単純計算で家賃収入から80万円を引いた金額が手元に残ることになります。そのうち、80万円から20万円を引くと利益は60万円とみなされるので、年間で720万円分の所得税を払えばいいことになります。

しかし、償却期間が終了して、減価償却費が0になるような場合は、1000万円に対して税金が掛かってきますので、税負担が重くなります。もちろん、これは計算を単純化するために控除などの計算を省いているので、実際の手取りと課税所得とは異なりますので、詳しくは税理士などの専門家に相談してください。

手元に現金キャッシュが500万円しかないのに、課税所得が1000万円になるといったことが起きるわけです。

これを防ぐ方法としては、繰上返済を行ってデッドクロスが来る前にローンを完済するか、物件を売却する方法以外ありません。

デッドクロスが起こった場合、一般的に言われる節税対策にはなりませんので、注意しましょう。

売却のタイミング

売却のタイミングについては、デッドクロスが来るタイミングとなります。

例えば、木造築20年の一棟アパートを購入した場合には、約10年ほどで、鉄筋コンクリート造で築14年の場合には、約5年ほどでデッドクロスが来ることが考えられます。基本的に、ベテランの不動産投資家は、物件の資料をみたときに、大体のデッドクロスのタイミングを計算して、いくらで買って何年後に売却すれば利益が最大化になるかを考えます。

ちなみに、現金で購入した場合はローンそのものがないのでデッドクロスは生じません。あくまでもローンを利用したときに、デッドクロスは起こる現象であり、全部を自己資金で賄うのではなく、物件購入価格の半分を自己資金で賄えばデッドクロスの影響はかなり少なくなるので、気にしなくて良くなります。

逆に、オーバーローンや1,2割の自己資金で不動産投資を行うのであれば、デッドクロスの影響を考慮して購入をしないと、税金を多く払うことになり、キャッシュフローが悪化します。それでは、不動産投資を成功させるために、デッドクロスの影響を回避した売却のタイミングとはどのようなタイミングかを説明していきます。

まずは、固定金利で借りていた場合は、固定金利の期間とデッドクロスが来るまでの期間を同じに固定するようにしましょう。こうすることで、期間中に繰り上げ返済した場合の「繰り上げ返済違約金」を払うことを避けることができます。

もうひとつは、個人事業主で不動産投資をしている場合は、購入後5年以降に売却のタイミングが来ます。個人の場合、長期保有と短期保有で税額が2倍違うからです。

具体的に5年の短期保有の場合、不動産の譲渡益所得は40%なのに対して、5年超の保有の場合、20%と設定されており、5年以内の短期保有で売却してしまった場合、譲渡益に掛かる税金が高くなります。ちなみに、個人の不動産売却に対する譲渡益は個人の所得と一体の総合課税ではなく、株式投資などと同じ分離課税方式になっています。

ですので、仮に5年以内にデッドクロスが来そうな優良物件がある場合、デッドクロスの影響を回避するために、繰り上げ返済をして残債を解消したり、なるべく減らしておくなどの戦略が必要となります。減価償却は構造によって異なっており、新築だと木造は22年、鉄骨造は34年、鉄筋コンクリート造は47年と決まっています。この減価償却が終了するまでの期間を、法定耐用年数と言いますが、既に経過した分を伸ばすことはできません。

なので、中古物件購入の際には、残りどれくらいで物件の減価償却が終わるかを逆算して、デッドクロスを避けるようにしていかないといけません。

ここで重要なことをもう一つお話しておきたいと思います。

既に法定耐用年数を過ぎた物件については、一切、減価償却ができないのかといえば、違います。法定耐用年数の20%の年数で減価償却ができるルールが存在しますので、例えば築25年の木造アパートの場合であれば、法定耐用年数は木造だと22年なので、その年数に0.2を掛けることで、4.4年と計算できます。この時、小数点以下は切り捨てになりますので、減価償却は、あと4年できる計算となります。

次は、大規模修繕時期の到来の前に売る事です。

だいたい築15年ほどで屋根の防水や外壁塗装、給湯器などの水回り関係の劣化が著しくなり、大規模修繕を行う必要がでてきます。一通り大規模修繕が終わった後なら、問題はありませんが、築15年前後の建物は注意しなければなりません。

最後は、法定耐用年数が残っているうちに売却することが必要となります。

これは、基本的に買う側の話になってしまいますが、古い物件の場合はあまり融資がつきづらいという問題があります。

もちろん、耐用年数の考え方は銀行独自の基準がありますので、一概には駄目とまでは言いませんが、できれば法定耐用年数が残っているうちに売却しておくと、買い手が付きやすく、売却がしやすくなります。不動産投資家は、できればローンを長く組んで月々の支払いを安くして利益を出したいと考えるので、耐用年数があまり残ってなく、長くローンを組むことができない物件を嫌厭します。

ですので、銀行もせいぜい残りの耐用年数の+10年ぐらいしかローンを組ませてくれないので、できるだけ耐用年数が残っているうちに売却をするようにしましょう。

満室にして売るのが原則

これは、不動産投資家側からすると満室であれば、借りてくれる人間が多いということで安心材料になるのもありますが、空室の場合は、その部屋を見れる状態なので、見せて貰った時に、悪い部分を探されて買われないリスクが存在します。

また、悪い部分が見つかってしまった場合には、価格交渉の材料を相手側に与える事になりますので、原則は満室で売却することを考えておくといいと思います。もちろん、粗探しをされないためにも定期的にメンテナンスは欠かさないようにしましょう。

外壁が汚れていたり、屋根がボロボロになっていたりすると価格交渉の材料を与える事になってしまいます。

最後に

いかがでしょうか?

出口戦略と一口に言っても、色々な対策や計画、分析が必要な訳ですが、これだけのことを考えたからといって出口戦略が計画通りにいくとは限りません。実際には、買い手がいてこその出口戦略なので、融資状況が厳しかったり、環境が変化したり、災害や事故などの様々な不確定要素を含んでおり、複合的に絡むことで出口戦略が頓挫することもあります。

出口戦略を綿密に考える事は一見、無駄のように思えるかもしれませんが、すぐに意思決定できて行動をすることが、不動産投資の失敗リスクを下げることに繋がります。

ですので、戦略を理解して、継続して学ぶことで不動産投資はリスクをドンドン小さくすることができるので、ミドルリスクミドルリターンのように言われがちですが、しっかりと勉強している不動産投資家にとっては、ローリスクミドルリターンの投資になります。こういった観点からも、不動産投資は、多くの方にとって将来の不安に備えることができる有用な資産形成といえるでしょう。

これが、不動産投資家を目指す皆様の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

Biz人 編集部

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