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マーケターも知るべきUXユーザーエクスペリエンス(UX)とは?とCXの違いも解説

テーマ
UXとは?
監修
Big4社員

プロダクト開発やデザインの分野でよく聞かれる「UX」というキーワードについてご存じですか?

「UX」とは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」を略した用語です。文字通りユーザー、すなわち製品やサービスの利用者が感じる、使いやすさ・印象・感動・感情……といった、体験のすべてを意味します。簡潔に「ユーザー体験」と訳されることもあります。

また、優れたUXを提供するためにプロダクトを設計するデザイナーは「UXデザイナー」と呼ばれます。

マーケティング、ひいてはビジネスを成功に導くためには、ターゲットユーザーを十分に理解した上で、ニーズに合致するものを適切に提供し、ユーザー満足度を高める必要があります。その戦略において、UXを理解しておくことはデザイナーだけではなく、マーケターにとっても重要な事項なのです。

この記事では、マーケターがUXを知るメリットや、UX向上のためのポイント、比較されることが多い「CX(カスタマーエクスペリエンス)」との違いについても解説します。

マーケターもUXを知っておくべき理由

まずは、マーケターにとってもUXを学ぶことがメリットである理由について紹介します。わかりやすいメリット3つを見ていきましょう。

ユーザー体験は競合との差別化要因である

昨今では、技術の発展により高品質な製品を生み出すことは容易化しており、もはや品質だけで競合との差別化を図ることは難しくなっています。

加えて、消費者のニーズは「モノ」から「サービス」に移り変わりつつあります。例えば、SaaS(Software as a Service)やMaaS(Mobility as a Service)はその代表でしょう。

所有が必要な「モノ」は一度購入するとすぐに買い換えることが困難ですが、「サービス」の場合はどうでしょうか。「思ったより使い勝手が悪い」「サポートが不親切」ということがあれば、比較的簡単に契約を中断して、他社サービスに乗り換えてしまうことができますよね。

このように「モノ」より「サービス」が求められる現代においては、優れたUXを提供することが、ユーザーを引き付け、サービスを継続的に利用してもらうための重要なファクターなのです。

優れたUXがブランドへのエンゲージメントを強くする

よりよいユーザー体験を提供することで、ユーザーの満足度を高めることに成功すると、そのユーザーは次にどのような行動をとるでしょうか。

ユーザーはその体験を周囲の人々に「共有」してくれることが予想できます。マーケティングに携わる方であれば、SNSなどにおけるいわゆる口コミの重要性は詳しく説明されずともご存じでしょう。

製品やサービスに関する優れた体験の情報交換がなされ、プロダクトを通して得た感動がユーザー間で共有されることは、ユーザーのエンゲージメントを一層高めることにつながります。

短期的なKPI達成と長期的な顧客満足度向上のバランスを取れる

マーケターが陥りがちな落とし穴の1つが、目先のKPIを達成することに囚われすぎて、本質を見失ってしまうことです。

例えば、広告のクリック率やコンバージョン率は確かにマーケティングにおいて重要な指標です。しかし、指標を達成することそのものが、売上を最大化し、ビジネスを成功に導くといえるのでしょうか。

指標はあくまで指標にすぎません。「クリックだけ」「資料請求だけ」「1回の購入だけ」の回数を稼ぐことのみにこだわりすぎると、長期的な利益を見失う危険性があります。前述のとおり、「モノ」と異なり「サービス」からの離脱は容易であることを忘れないようにしましょう。

UXを考慮し、バランスの取れたマーケティング戦略を立案することが、長い目で見て売れる製品・サービスを成長させるために必要なのです。

UXを向上させるためのポイントとは?

優れたユーザー体験を提供することの重要性についてご理解いただけたでしょうか。

ここで「では、よりよいUXを提供するには具体的にどうすればいいの?」とお考えの方へ、考え方のポイント4つを解説します。

ユーザーへの「共感」が重要

満足度の高いUXを提供するためには、何よりユーザーへの共感から始める必要があります。ここでいう「共感」とは、製品やサービスを利用するときのユーザーの気持ちや考えを、限りなくユーザー自身と同じように理解することを指します。

そして、正しく共感するためには、実際のユーザーを知る必要があります。売り手側の想像ではなく、実際のユーザーが何を感じ、何を求めているかをまず把握しましょう。そのための手段としては、ユーザーリサーチやインタビューを行うことが有効です。

ユーザーの視点、問題点、ニーズを正しく理解することが、優れたユーザー体験を生み出すための第一歩なのです。

「誰の」体験を向上させるのか、ターゲットを明確にする

あらゆる層をターゲットとして作られた製品やサービスは、結局のところ誰にも求められないものになりがちです。

メインターゲットとするユーザー像を最初に明確化する必要があります。実際のユーザーの情報を得たあと、その情報を元にメインターゲットのユーザーを代表する「ペルソナ」を作りましょう。

更に「共感マップ」という手法を用いて、ペルソナの視点で感情や思考、行動を整理することで、メインターゲットとなるユーザーを理解しやすくなります。マッピングは、どういったユーザーを対象にUXを検討しているのか、プロジェクトのメンバー間で共通認識を持つことにも役立ちます。

ユーザーは「いつ」「どんな」体験を求めているのか考える

ユーザーの体験にはフェーズが存在します。例えば「フードデリバリーアプリを利用する」場合。まずはアプリをインストールした後、会員情報を登録してから、たくさんのお店や料理から注文内容を決め、最後には決済を完了する……といったような形です。

フェーズごとにユーザーがどんな行動をし、何を考えているのかを整理するためには「ユーザージャーニーマップ」が有効です。各フェーズにおいてどんな課題があるかを見つけやすくなります。

ユーザーテストと改善のサイクルを繰り返す

よいUXを提供し、一度ユーザー満足度を高めることに成功しても安心してはいけません。

ユーザーの課題やニーズは、環境に左右されたり、製品やサービスを利用する中で変わってきたりすることがありえます。必ずユーザーからのフィードバックを収集し、必要に応じて常にUXを改善していくことが大切です。

UXとCX(カスタマーエクスペリエンス)の違いとは?

UXに似た用語として「CX(カスタマーエクスペリエンス)」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

CXは、製品・サービスの購入前〜購入時〜購入後のプロセス全体の経験を指します。また、「ユーザー」=「利用者」と「カスタマー」=「顧客」が異なる場合もあります。

ただし、UXもCXもそれらを向上させるための基本的な考え方は同じです。ユーザー・カスタマーに共感し、利用者や顧客を中心に考えることがポイントです。

まとめ

この記事では、マーケターも知っておくべきUX(ユーザーエクスペリエンス)について解説しましたが、いかがでしたか?

UXやCXは、昨今のマーケティング戦略において切り離せない概念です。マーケターもUXデザイナーと協働し、ユーザーに受け入れられる製品・サービスづくりを行っていくことの重要性が高まっています。

UXを理解することで、マーケターとしてビジネスをより良い成果に導きましょう。

Biz人 編集部

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