
まずは、マーケターにとってもUXを学ぶことがメリットである理由について紹介します。わかりやすいメリット3つを見ていきましょう。
ユーザー体験は競合との差別化要因である
昨今では、技術の発展により高品質な製品を生み出すことは容易化しており、もはや品質だけで競合との差別化を図ることは難しくなっています。
加えて、消費者のニーズは「モノ」から「サービス」に移り変わりつつあります。例えば、SaaS(Software as a Service)やMaaS(Mobility as a Service)はその代表でしょう。
所有が必要な「モノ」は一度購入するとすぐに買い換えることが困難ですが、「サービス」の場合はどうでしょうか。「思ったより使い勝手が悪い」「サポートが不親切」ということがあれば、比較的簡単に契約を中断して、他社サービスに乗り換えてしまうことができますよね。
このように「モノ」より「サービス」が求められる現代においては、優れたUXを提供することが、ユーザーを引き付け、サービスを継続的に利用してもらうための重要なファクターなのです。
優れたUXがブランドへのエンゲージメントを強くする
よりよいユーザー体験を提供することで、ユーザーの満足度を高めることに成功すると、そのユーザーは次にどのような行動をとるでしょうか。
ユーザーはその体験を周囲の人々に「共有」してくれることが予想できます。マーケティングに携わる方であれば、SNSなどにおけるいわゆる口コミの重要性は詳しく説明されずともご存じでしょう。
製品やサービスに関する優れた体験の情報交換がなされ、プロダクトを通して得た感動がユーザー間で共有されることは、ユーザーのエンゲージメントを一層高めることにつながります。
短期的なKPI達成と長期的な顧客満足度向上のバランスを取れる
マーケターが陥りがちな落とし穴の1つが、目先のKPIを達成することに囚われすぎて、本質を見失ってしまうことです。
例えば、広告のクリック率やコンバージョン率は確かにマーケティングにおいて重要な指標です。しかし、指標を達成することそのものが、売上を最大化し、ビジネスを成功に導くといえるのでしょうか。
指標はあくまで指標にすぎません。「クリックだけ」「資料請求だけ」「1回の購入だけ」の回数を稼ぐことのみにこだわりすぎると、長期的な利益を見失う危険性があります。前述のとおり、「モノ」と異なり「サービス」からの離脱は容易であることを忘れないようにしましょう。
UXを考慮し、バランスの取れたマーケティング戦略を立案することが、長い目で見て売れる製品・サービスを成長させるために必要なのです。