マーケティングとは、買ってもらうための仕組みづくりのことですが、その手法や考え方は、時代にあわせて変化しています。
企業にとって欠かすことのできないマーケティングですが、実際どんなものなのかわからないという人も多いことでしょう。
本記事では、マーケティングの変遷をコトラーの提唱する「マーケティング1.0」から「マーケティング4.0」に沿って説明するとともに、新たな考え方「マーケティング5.0」とはどういうものか解説していきます。
マーケティングとは、買ってもらうための仕組みづくりのことですが、その手法や考え方は、時代にあわせて変化しています。
企業にとって欠かすことのできないマーケティングですが、実際どんなものなのかわからないという人も多いことでしょう。
本記事では、マーケティングの変遷をコトラーの提唱する「マーケティング1.0」から「マーケティング4.0」に沿って説明するとともに、新たな考え方「マーケティング5.0」とはどういうものか解説していきます。
【目次】
「マーケティング」と一言で言っても、実際どういうものなのか簡潔に解説します。
ピーター・ドラッカーは「マーケティングの目的は、販売を不必要にすることだ。マーケティングの目的は、顧客について十分に理解し、顧客に合った製品やサービスが自然に売れるようにすることなのだ」と説明しています。フィリップ・コトラーはマーケティングの定義を「ニーズに応えて利益を上げること」と説明しています。
ドラッカーにとってマーケティングとは「自動で売れる仕組み」を作ること、コトラーにとってマーケティングはニーズに応えるもの、顧客主体で利益を上げることなのです。
この2人に共通しているのは、顧客を理解し、ニーズに応えた製品やサービスをつかって利益を生み出すことにあります。しかし、長きにわたってマーケティングはその手法を変え、現在においても進化し続けています。
マーケティングがどのように変遷し、どのような手法や理論が生み出されてきたかを、コトラーのマーケティング1.0〜4.0に沿って解説していきます。
コトラーによるマーケティングの変遷は、マーケティング1.0から始まり、現在マーケティング4.0まで発表されています。
およそ200年前から始まったとされるマーケティングの考え方ですが、実際に理論や手法として販売のマーケティングが始まったのは1900年頃といわれています。
ここで、マーケティングの変遷を時系列に見ていきましょう。
1900年から始まり1950〜1960年代頃にかけて確立したマーケティングの概念をフィリップ・コトラーは「マーケティング1.0」としました。第二次産業革命によって大量生産が可能となり、コストを抑えて大量に販売することがマーケティング目的となっていました。
供給が需要を上回っていたことで、この時代は作れば作るほど売れる時代といわれることも珍しくありません。製品中心のマーケティングであることから、1960年代には様々な手法を組み合わせたフレームワークであるマーケティングの基本中の基本「4P分析」が誕生しました。
製品中心のこの時代は、何よりも製品(Product)と価格(Price)が最重要項目とされていました。
1970年代〜1980年代のマーケティングのことを、「マーケティング2.0」といいます。
「マーケティング1.0」の時代と比べ、社会全体が豊かとなり需要と供給のバランスが変化しました。ありとあらゆるものが市場に溢れ、買い手が商品を選ぶ買い手市場となったことから、「顧客志向」が重要視されるようになりました。そのため企業のマーケティングは、いかに顧客に選ばれる商品を作り、ニーズを満たせるか分析する必要がありました。そこで登場したフレームワークが「STP分析」です。
企業は市場をニーズによって分け、ターゲットを指定しそのターゲットに対して優位性を獲得できる商品を開発することが求められました。企業の競争が激化し差別化が必要となったことも、この時代の特徴です。
1990年〜2000年代のマーケティングを、「マーケティング3.0」といいます。
「マーケティング2.0」の時代からさらに市場に商品が増え、企業の競争が激化する中、新しい技術としてインターネットが普及し始めました。第三次産業革命ともいわれるインターネットの登場で、顧客がソーシャルメディアを中心に様々な情報を取り入れることが可能となりました。これにより情報の普及の速度が格段に変化し、どんな情報も一瞬で世に広まる時代となりました。
これにより、製品の性能や品質は最低条件として、その製品にどんなストーリー性があるか、作っている企業はどんなビジョンを持っているかが重要視される価値主導のマーケティングが必要となりました。企業は製品だけでなく企業内部や企業自体の価値を顧客に知ってもらう必要が出てきたのです。そこで登場したフレームワークが、「3iモデル」です。
顧客との距離がインターネットによって縮まったことで、企業は顧客の共感を得られるような社会的活動も必要となったのです。
2010年以降のマーケティングを、「マーケティング4.0」といいます。
2010年代以降は、機能や品質よりも価値観を共有することが顧客が求めるものとなり、「自己実現のマーケティング」といわれています。モノや情報があふれ、人々は自分の好きなものを追求し、精神的価値を求めることとなりました。顧客と企業の結びつきが「マーケティング3.0」の時代よりも強くなったことで、企業のブランドや顧客のファン化が重要視されるようになりました。そこで登場したフレームワークが、「5A理論」です。
このフレームワークは、ただモノを売るだけであった「4P分析」では足りない、顧客に対する認知(Aware)、訴求(Appeal)、調査(Ask)、行動(Act)、奨励(Advocate)という5つの段階を示したものです。
企業がモノを売るだけではなく、顧客が買いたい、リピートしたいと思わせるような仕組みを作り、顧客される時代となったのです。
新たなテクノロジーが次々と登場することで、マーケティングもその形を変化させてきましたが昨今、コトラーは新たなマーケティング体系である「マーケティング5.0」を提唱しました。
「マーケティング5.0」とは、デジタル化の発展に伴う新テクノロジーへの対応が取り入れられた考え方です。
コロナウイルスの影響で、今までLINEやTwitter、InstagramなどのソーシャルメディアやYouTubeなどの動画サイトなどにとどまっていたインターネットテクノロジーが、zoomやteamsによるオンラインの関係が増加し、市場全体でテクノロジーの普及が加速しました。
さらに、ブロックチェーンによるメタバースなどの仮想空間が登場し、人々は外に出なくても仮想空間の中で買い物や生活ができるという技術が注目されています。テクノロジーと共存する中で、企業に必要なマーケティングも変化することとなったのです。