経理/簿記試験

IFRSと日本基準のB/S、P/L、C/Fの違いを徹底解説

テーマ
日本基準/IFRS/米国基準
執筆
公認会計士



財務報告を読み解く際に重要な要素となるのが、会計基準です。

国際的にはIFRS(International Financial Reporting Standards)が、日本では日本の会計基準が用いられています。

両者はそれぞれ、利益計算、財務状況、キャッシュフローの評価基準や表示方法に違いを持っています。

今回は、それぞれの基準における貸借対照表(B/S: Balance Sheet)、損益計算書(P/L: Profit and Loss statement)、キャッシュフロー計算書(C/F: Cash Flow statement)の違いを詳しく解説します。

貸借対照表(B/S:Balance Sheet)

貸借対照表は企業の財務状況を一定の時点で表したもので、資産、負債、純資産の3つの要素から成り立ちます。

これらの構成要素とその配置には、日本基準とIFRSとで違いが見られます。

構成要素の違い

日本基準

資産は流動資産と固定資産に、負債は流動負債と固定負債に、それぞれ分類されます。

純資産は資本金、資本剰余金、利益剰余金などから構成され、さらに自己株式を控除した形で表示されます。

IFRS

資産と負債は、それぞれ現時点から1年以内に回収・支払う予定の「流動」、それを超える期間に回収・支払う予定の「非流動」に分類されます。

純資産は「資本と準備」と「利益」に分けられ、さらに資本は発行済み資本、保有自己株式、その他の包括利益等に分けられます。

表示順序の違い

日本基準

資産は流動資産が先に、負債は流動負債が先に、それぞれ表示されます。

純資産は最後に表示されます。

IFRS

流動・非流動の区分に基づき、資産、負債、純資産がそれぞれ表示されます。

資産と負債は、まず非流動が先に表示され、次に流動が表示されます。

純資産は最後に表示されます。

 

以上のような違いは、各基準が重視する視点の違いから来ています。

日本基準は安全性を重視し、流動性の高い項目を先に表示します。

一方、IFRSは企業価値の評価を重視し、長期的な視点を強調します。

 




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損益計算書(P/L:Profit and Loss)

損益計算書は、企業が一定期間内に得た収益と費用を対比し、最終的な利益または損失を計算するものです。

IFRSと日本基準では、その表示形式や計算方法、表示順序に違いがあります。

表示形式の違い

日本基準

一般には単純な形式が使用され、収益と費用が列挙され、最終的に税引き後利益に至ります。

IFRS

「機能別」または「性質別」のどちらかの形式で表示します。

機能別では、売上原価、販売費及び一般管理費等の項目が必要とされ、性質別では、人件費、減価償却費、利息費用等の項目が必要とされます。

計算方法の違い

日本基準

通常は売上高から直接的な費用を差し引いて粗利益を求め、一般管理費や営業外収支を計算に加えて税引き後利益を求めます。

IFRS

営業利益を明示することが求められます。

営業利益は、売上高から売上原価や販売費及び一般管理費を差し引いたものです。

その後、金融費用、株式による支払い、投資関連の利益・損失等を計算に含めて税引き後利益を求めます。

表示順序の違い

日本基準

売上高から順に費用を引き、最終的に税引き後利益を表示します。

IFRS

営業利益を先に表示し、その後で金融費用等を差し引いて税引き後利益を表示します。

 

このような違いは、それぞれの基準がどの情報を重視するかによるものです。

日本基準では一般的な企業活動の流れを示し、IFRSでは企業活動の各部門のパフォーマンスを評価するための情報を提供します。

キャッシュ・フロー計算書(C/F:Cash Flow)

キャッシュフロー計算書は、企業が一定期間内に生み出す現金の流れを明らかにするものです。

日本基準とIFRSでのキャッシュフロー計算書の主な違いは以下の通りです。

営業活動キャッシュフローの算出方法

日本基準

直接法と間接法のどちらを使用してもよいですが、多くの企業は間接法を使用しています。

IFRS

日本基準と同様、直接法と間接法のどちらを使用してもよいですが、多くの企業は間接法を使用しています。

利息と配当に関する取り扱い

日本基準

受取利息や受取配当を営業活動、支払利息や支払配当を財務活動として分類します。

IFRS

受取利息、受取配当、支払利息は営業活動または投資活動として分類することができ、支払配当は営業活動または財務活動として分類することができます。

有価証券の取得・売却に関する取り扱い

日本基準

有価証券の取得や売却は投資活動として扱います。

IFRS

企業の通常の事業活動の一部とみなされる場合には、有価証券の取得や売却は営業活動として扱われることもあります。

 

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財務報告のユーザビリティ

IFRSと日本基準の違いを理解するためには、それぞれの基準が目指す財務報告のユーザビリティについても考慮することが重要です。

ユーザーの視点

日本基準

主に企業の内部管理や日本国内のステークホルダーを重視しています。

したがって、細部までの明確な指導やルールによる一貫性と比較可能性が求められます。

IFRS

グローバルな視点から企業のパフォーマンスを評価するための情報を提供します。

それにより、投資家やその他のユーザーが企業間の比較分析を容易に行えるよう、より一般的な原則に基づいた指導を行います。

情報の透明性と信頼性

日本基準

安全側に倒した保守的な規定が多く、確実性と信頼性を重視しています。

IFRS

企業の真実の経済状態を反映することを重視し、情報の透明性と比較可能性を追求します。



IFRSと日本基準への対応

IFRSと日本基準の間には違いが存在しますが、これらを理解し、適切に対応することで、グローバルな視点での企業分析や投資判断が可能となります。

企業の国際的な活動や投資家の投資判断においては、以下の視点が重要となります。

国際的な比較分析

IFRSは、その一貫性と比較可能性により、異なる国や地域の企業間での比較分析を可能にします。

投資家は、IFRSに基づく財務報告を用いて、企業の業績や財務状態を評価することができます。

情報開示の増加

IFRSは、企業の経済状態をより詳細に反映するための情報開示を求めます。

これにより、投資家やその他のユーザーは、企業の業績やリスクをより深く理解することができます。

まとめ

IFRSと日本基準の間には、財務報告の形式、内容、目的に関して多くの違いが存在します。

これらの違いを理解することは、企業の財務情報を正確に解釈し、効果的な投資判断を行うために必要不可欠です。

どちらの基準もその価値と役割を持っており、適切に利用することで、企業の経済状態をより深く理解し、有意義な投資判断を下すことが可能となります。

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