物を作るときは、いろいろな条件のもとで行っています。時間も人員も材料もすべて有限です。そういった制約条件をすべて踏まえた上で、どれだけ効率よく、そしてどれだけ利益を産めるように生産できるかが大切です。今回は、簿記検定でも出題されている「最適セールスミックス」という方法で、より良い生産管理を学んでいきましょう。
最適セールスミックスでかんたん生産管理!問題と解答解説で理解を深める!
- テーマ
- セールスミックス
- 監修
- 簿記マスター
【目次】
最適セールスミックスとは?

では、まずは前提条件として、工場での会計について学びましょう。
工場での会計では、主な要素として以下のものが挙げられます。
- 材料費
- 労務費(人件費)
- 市場状況
- 生産できる数量
- その他費用
今回学んでいく最適セールスミックスでは、「生産できる数量」を主軸としてみていきます。
最適セールスミックスとは、時間・人員・生産できる数量・市場状況・材料などの条件下で、最も高い利益を出せる生産数量を計算する方法です。その計算には、主にリニアー・プログラミング、線形計画法というグラフを作成して行う方法を採用しています。グラフとは言っても、中学生レベルの関数ですのでどうぞご安心ください。
最適セールスミックスの制約条件
では次に、実際に問題で用いられている制約条件の例を見ていきましょう。
次に、最適セールスミックスの制約条件についてです。最適セールスミックスの制約条件は、その作るモノによって変わりますが、多くの問題では以下のものが出題されています。
- 製造する機械装置の稼働可能時間
- 材料の在庫量
- 人員
その中でも、「製造する機械装置の稼働可能時間」はよく出題されています。それに付随して、機械装置の設備投資を検討したり、または機械装置の不良といった条件も追加されるケースがあります。では、稼働可能時間をピックアップして、実際の問題の形式を見てみましょう。
例題①
AZ製造株式会社では、主力製品としてプリンと焼きプリンを生産・販売している。各製品の製造ラインは共通しており、第1製造ラインと第2製造ラインを経て生産されている。各製品の一個あたりの所要生産時間は以下のようになっている。
- 第1製造ライン:プリン2時間・焼きプリン2時間
- 第2製造ライン:プリン2時間・焼きプリン3時間
また、各製造ラインの稼働可能時間は以下の通りである。
- 第1製造ライン:5,000時間
- 第2製造ライン:6,000時間
以上の条件を踏まえて、以下の問いに答えなさい。
①プリンを1,700個生産する場合、焼きプリンは何個生産できるか。
②プリンと焼きプリンを同じ個数だけ生産する場合、それぞれ何個生産できるか。
解答・解説
①(800)個
②(1,200)個
では、解説に移ります。
まず①ですが、プリンを1,700個生産した場合、それぞれのラインの稼働可能時間をどれだけ消費するかを計算しましょう。
【第1製造ライン】
5,000−(1,700×2)=1600
【第2製造ライン】
6,000−(1,700×2)=2600
次に、残った稼働可能時間で焼きプリンを何個生産できるかを計算しましょう。
【第1製造ライン】
1,600÷2=800
【第2製造ライン】
2,600÷3=866(端数切り捨て)
第1製造ラインと第2製造ラインを比較して、少ない数字の方に合わせます。ですので、解答は800個となります。
次に、②です。同じ個数を作りたいので、各製品を一緒に計算します。
【第1製造ライン】
5,000÷(2+2)=1250
【第2製造ライン】
6,000÷(2+3)=1,200
これも、数字が少ない方に合わせます。ですので、解答は1,200個となります。
いかがでしょうか。コツとしては、何を主軸として計算するかという考え方が重要です。今回は稼働可能時間でしたね。問題に惑わされないようにしましょう。また、この例題は稼働可能時間のみでしたね。最適セールスミックスの試験問題上では、これに踏まえてCVP分析が絡んできます。CVP分析とは、コスト・販売量・利益の観点から利益を最大化する会計手法です。では最後に、それらを踏まえたすこし難しい問題にチャレンジしてみましょう。グラフを作成するので、初めての方はまずは解説を読みながら一緒に解いてみましょう。
最適セールスミックスを解いてみよう
例題②
では、問題を解いてみましょう。
N製菓株式会社は、主力製品である2種類のチーズケーキ(レアチーズケーキ・ベイクドチーズケーキ)の製造・販売を行っている。市場状況を踏まえ、最も利益の出る生産計画を考えなさい。
また、各製品についての用法は以下の通りである。
| 項目 | レアチーズケーキ | ベイクドチーズケーキ |
| 第1製造工程所要時間 | 1個当たり2時間 | 1個当たり4時間 |
| 第2製造工程所要時間 | 1個当たり4時間 | 1個当たり3時間 |
| 販売単価 | 1個4,000円 | 1個7,000円 |
| 材料費単価 | 1個当たり500円 | 1個当たり800円 |
| 労務費単価 | 1個当たり600円 | 1個当たり1,200円 |
| 第1製造工程にかかる変動費単価 | 1時間300円 | 1時間300円 |
| 第2製造工程にかかる変動費単価 | 1時間500円 | 1時間500円 |
| 共通固定費 | 1,000,000円 | 1,000,000円 |
| 最大販売可能数量 | 1,750個 | 2,250個 |
| 第1製造工程の作業時間上限 | 5,000時間 | 5,000時間 |
| 第2製造工程の作業時間上限 | 6,000時間 | 6,000時間 |
解答欄
レアチーズケーキを(1,750)個、ベイクドチーズケーキを(375)個生産すると、営業利益が(3,537,500)円と制約条件の中では最も高くなる。
解答・解説
では、解説に移ります。まずは、各製品の貢献利益(単価)を計算してみましょう。
売上単価-材料費-労務費-第1製造工程費×所要時間-第2製造工程費×所要時間=貢献利益
【レアチーズケーキ】
5,800-500-600-300×2-500×4=2,100
【ベイクドチーズケーキ】
7,000-800-1,200-300×4-500×3=2,300
貢献利益の計算ができましたので、次は今回の制約条件を整理しましょう。
レアチーズケーキをA、ベイクドチーズケーキをBとします。
まずは、最大販売可能数量です。
A≦1,750
B≦2,250
次に、第1製造工程の作業時間上限です。
A≦2,500
B≦1,500
最後に、第2製造工程の作業時間上限です。
A≦1,500
B≦2,000
ではこれらを、グラフで表してみましょう。

この、線が交わっており、★ついているところが成約条件下で可能な生産個数です。今回は2つありますね。数字については方程式を解きましょう。
ではこの数字を使って、営業利益を計算してみましょう。
①
(A 900個×A 貢献利益2,100+B 800個×B 2,300)-共通固定費1,000,000
=2,730,000
②
(A 1,750個×A 貢献利益2,100+B 375個×B 375)-共通固定費1,000,000
=3,537,500
このようになりました。
いかがでしたでしょうか。グラフの作り方と、考え方さえマスターすれば簡単に解くことができます。是非、頑張って下さい。


