「消費税の計算って、わかりにくい!」「消費税の会計処理って複雑!」と思ったことはありませんか?
複雑な消費税の計算をわかりやすくしてくれるのが、消費税の会計処理の4つの要素です。
消費税の仕訳や会計処理で迷っている人、計算方法がわからない人はぜひご覧ください!
「消費税の計算って、わかりにくい!」「消費税の会計処理って複雑!」と思ったことはありませんか?
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消費税の会計処理がわからなくて困った。そんな経験をしたことはありませんか?
私も初めて経理として仕訳を切ったときには消費税の会計処理についてわからないことがたくさんありました。
しかし過去に消費税法を学んでいたので消費税の基本的な考え方を理解していました。そのため実務上の消費税の会計処理も比較的容易に対応できました。
消費税の会計処理について自信がない方は今回紹介する消費税の基本的な考え方を理解しておくと正確な仕訳を切る手助けになります。
はじめに、経理担当者なら普段から耳にする課税と非課税についてです。
実務では消費税が課される場合の取引は課税、課されない場合の取引は非課税と考えている経理担当者が少なくありません。しかし厳密に言うと消費税が課されない取引の中には非課税のほかに対象外と呼ばれる取引があります。
非課税及び対象外の取引は結果として消費税が課されないという意味では同じように見えますが、区分をすべきです。
特に売上側の消費税の取引については、この区分を間違えると、課税売上割合という仕入税額控除に乗じる割合の算出に影響がでます。
国への納税額が多くなったり、少なくなったりすることもあるので、課税、非課税、対象外の消費税区分3つについて間違えないようにしましょう。
まず、課税取引と非課税取引は4つの要件を満たしている必要があります。
消費税の会計処理において、
① 国内において
② 事業者が事業として
③ 対価を得て行う
④ 資産の譲渡、貸付け及び役務の提供
に該当すると、課税取引として、消費税が課されます。
逆に言えば、この要件を満たさない場合は消費税区分においては対象外に分類されます。
例えば、あなたが髪を美容院で切ると消費税がかかります。これは、美容院がお金をもらってカットを行う取引は課税対象取引に該当するからです。
なぜ課税対象になるかというと、この4つの要件を満たしているためです。
① 日本で(国内において)
② 美容院を営む事業者が(事業者が事業として)
③ カットの料金をもらって(対価を得て行う)
④ カットを行う(資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供)
もし、あなたが旅行先の海外で美容院にいったり、日本国内において無償でカットをしてもらったりする場合、課税対象外取引となります。
次は非課税取引です。
非課税取引は、課税取引と同じく4要件を満たします。しかし、消費の性格になじまないものや社会政策的配慮されるような取引は、非課税取引として処理されます。
消費の性格になじまないものは、例えば商品券や図書券など金券です。
Aさんが本を購入したとします。①図書券を購入する、②その図書券を使って本を購入する、この取引は実際に行われた消費に関わる取引は②の本の購入のみです。①にまで課税してしまうと、ひとつの消費に対して二重に課税してしまうことになってしまいます。そのため①のような金券に係る取引は消費税法上、非課税として取り扱われます。
社会政策的に配慮される取引は、埋葬料や火葬料、身体障害者用物品の譲渡などがあります。これらの取引は消費の性格はあります。しかし社会的に消費税をかけるべきではないという配慮がされ、非課税とされています。
実務上よく使う非課税取引をご紹介します。
・印紙
・預貯金の利子
・配当金
が、あります。
さらに詳しく知りたい方は国税庁HPに非課税取引のリストがありますので、こちらをご覧ください。
課税取引、非課税取引、対象外取引についてまとめると
・課税取引…4要件を満たす取引
・非課税取引…4要件を満たす取引のうち、非課税とされるもの
・対象外取引…4要件を満たさない取引
となります。
以上を踏まえて、下記の取引例から課税、非課税、対象外のどの取引に該当するかを確認しておきましょう。経理の実務でよくある例です。
課税取引の仕訳の例
経理担当者は会社の経費精算の仕訳を切ります。社員のAさんが購入した会社の備品330円です。この場合消費税の判断はどうなるでしょう。
答えは、
(消耗品費 課税仕入)330(未払金 対象外)330
となります。
この場合は、①国内において②事業者が事業として➂対価を得て行っている④資産の譲渡という4要件を満たしているため課税取引です。
この取引が課税取引であるのであれば対価の額は税抜価格300円、消費税30円ということがわかります。
非課税取引の仕訳の例
経理担当者は会社の口座から300円の印紙の支払いを確認しました。調べてみたら総務が印紙の支払の手配を行っていたことがわかりました。この場合の仕訳と消費税の判断はどうなるでしょうか
答えは、
(租税公課 非課税仕入)300(普通預金 対象外)300
となります。
この場合は、①国内において②事業者が事業として➂対価を得て行っている④資産の譲渡という4要件を満たしていますが、印紙の譲渡は非課税と定められているため、この場合は非課税取引です。
この取引が非課税取引であるのであれば対価の額は300円のみで消費税は課されていないということがわかります。
対象外取引の例
経理担当者は社長秘書の支払依頼で同業団体の年会費100,000円の支払いを確認した。この場合の仕訳と消費税の判断はどうなるでしょうか。
答えは、
(諸会費 対象外仕入)100,000円 (未払金 対象外)300
となります
同業団体への会費はセミナーや講座など具体的な役務の提供がない場合、対価性がないとみなされます。
そのため、①国内において②事業者が事業として、までは4要件にあてはまりますが、➂対価を得て行っている④役務の提供には該当しないので、対象外取引として処理をされます。
この取引が対象外取引であるのであれば対価の額100,000円は消費税が課されていないということがわかります。
上記の3つの取引は会社の経理上はよくある取引ですが、何故消費税が課税、非課税、対象外の3つの区分に分けられるのか、そのロジックをしっかりと理解しておくことで、正確に仕訳を切ることが可能になります。 副ザルに思われがちな消費税の会計処理ですが、これら3つの区分を意識して乗り越えましょう。
▼外注費、交際費、諸会費など、具体的な経費の課税対象について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください