経理/簿記試験

「外貨建取引」が発生した場合の勘定科目と仕訳方法について

テーマ
外貨建取引
監修
経理部長補佐


海外企業との商品売買などの取引が日常の取引となっていますが、日本国内での取引とは違い為替レートが絡んでくるので、その処理方法は複雑化します。為替レートは刻々と変わり、どの時点でのレートを使って計算するのかにより仕訳や報告書に表示される金額も変わります。この記事では、基本的な外貨建ての商品売買の仕訳方法や決算時の処理を確認します。

 

輸入に関わる処理

商品代金の前払い

5月1日 A社は米国のB社と商品50,000ドルを購入する契約を交わし、商品代金の一部10,000ドルを内金として当座預金口座から振り込んだ。なお当日の為替レートは1ドルあたり99円であった。

借方科目 金額 貸方科目 金額
前払金 990,000 当座預金 990,000

商品代金50,000ドルは商品売買の契約をしただけなので仕訳は行いません。手付金の支払いをしたので、その仕訳のみ行います。A社は商品代金の一部を内金として支払っているので「前払金」勘定、で処理をします。金額は10,000ドル×99円=990,000円となります。取引日当日の為替レートで計算します。

商品到着(輸入)時

5月10日 A社はB社に契約注文してた商品50,000ドルを受け取った。代金は内金として支払った10,000ドル(為替レート1ドル99円)を除き、残額は掛けとした。なお、商品到着時の為替レートは1ドルあたり100円である。

借方科目 金額 貸方科目 金額
③仕入 4,990,000 ①前払金 990,000
②買掛金 4,000,000

※〇数字は仕訳で記入する順番です。

①10,000ドル×99円=990,000円

前払金は内金として代金を支払ったときのレートで計算します。

②(50,000ドル-10,000ドル)×100円=4,000,000円

まずはドルベースで買掛金を40,000ドルと求めます。この40,000ドルが発生した日のレートで日本円に換算するので、商品到着時のレート100円を使って買掛金を算出します。

③990,000円+4,000,000円=4,990,000円

仕入の金額は最後に前払金と買掛金の合計額として求めます。商品代金50,000ドルに為替レートを直に掛けて算出するのではありません。前払金と買掛金、それぞれの金額が確定した時期が異なるのでレートも異なります。したがって、その合計である仕入も2つの為替レートにより計算されたものであることに注意が必要です。

買掛金決済

5月31日 買掛代金40,000ドルを普通預金より支払った。なお、買掛金発生時の為替レートは1ドル100円、決済日の為替レートは1ドルあたり102円であった。

借方科目 金額 貸方科目 金額
①買掛金 4,000,000 ②普通預金 4,080,000
③為替差損 80,000

※〇数字は仕訳で記入する順番です。

①40,000ドル×100円=4,000,000円

買掛金は発生したときのレートで計上されていますので、1ドル100円で計算します。

②40,000ドル×102円=4,080,000円

普通預金で代金を支払った日のレート、つまり決済日のレート102円で計算します。

③最後に貸借差額で為替差損が求められます。

上記1~3では輸入に関わる処理のみ解説をしましたが、仕訳の手順や使用するレートといったポイントを理解できれば輸出に関わる処理にも代用できます。

決算時の外貨建て処理

決算時に外貨建ての資産や負債を所有している場合、「貨幣項目」と呼ばれるものは決算時の為替レート(CR:カレント・レート)で換算替えします。「貨幣項目」に該当するものは主に次のものです。

資産 現金・普通預金・当座預金・受取手形・売掛金・貸付金など
負債 支払手形・買掛金・借入金など

なお、「非貨幣項目」は取得時または発生時のレート(HR:ヒストリカル・レート)で計上されており、決算時のレートに換算替えはしません。「非貨幣項目」には、商品や製品などの棚卸資産、建物や備品などの固定資産、前払金や前受金などが該当します。

決算時の処理(1)

買掛金の期末残高には外貨建てのものが200ドル含まれており発生時の為替レート(1ドル100円)で計上されている。決算につき決算時の為替レート(1ドル98円)に換算替えする。

借方科目 金額 貸方科目 金額
買掛金 400 為替差益 400

計算過程 200ドル×(100円-98円)=400円

買掛金が発生したときには買掛金20,000円(200ドル×1ドル100円)で計上されています。決算時に為替レートが1ドル98円に変動したことにより、後に支払う代金が400円減ったことになります。そのため、買掛金が減少する、つまり、(借方)買掛金となります。同時に為替レートが変動したことによる為替差益(収益)が発生します。

決算時の処理(2)

期末に所有している受取手形30,000円はすべて商品を輸出した時に受け取ったものであり、取得時の為替レート1ドルあたり100円で計上したものである。決算にあたり決算時の為替レート(1ドル98円)に換算替えする。

借方科目 金額 貸方科目 金額
為替差損 600 受取手形 600

計算過程 30,000円÷100円=300ドル 300ドル×(100円-98円)=600円

受取手形のような資産は為替レートが円高に変動することで後に受け取ることのできる代金が減少してしまいます。取得時には受取手形30,000円として計上したものが、決算時には29,400円(300ドル×98円)とレートの変動により債権額が減少するため、(貸方)受取手形となります。同時に為替レートの変動のよる為替差損(費用)が計上されるのです。

決算時のレートへ換算替えした資産や負債の決済

前期に取得した外貨建ての売掛金500ドルが決済され、代金が当座預金へ振り込まれた。なお、取得時のレートは1ドル100円、決算時のレートは1ドル102円、決済時のレートは1ドル105円であった。

借方科目 金額 貸方科目 金額
②当座預金 52,500 ①売掛金 51,000
③為替差益 1,500

①500ドル×102円=51,000円

売掛金は貨幣項目なので、決算時のレートに換算替えされているので1ドル102円を用いて計算します。

②500ドル×105円=52,500円

決済日のレートで当座預金へ振り込みが実行されるので、1ドル105円を用いて計算します。

③52,500円-51,000円=1,500円

貸借差額により為替差益を計上します。51,000円の売掛金に対し、52,500円の代金が振り込まれたので差額分が為替レートの変動による収益、つまり「為替差益」が発生したと考えられます。

問題文中にはいくつもの為替レートが提示されており、しかも計算には使用しないレートが含まれていることもあります。惑わされずに、いつ発生した(取得した)資産や負債なのかを冷静に問題文から読み取り、正しく計算をしましょう。

Biz人 編集部 経理応援隊/簿記応援隊

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