企業における未収金とは、未回収の売掛金のことです。
未収金を回収できないまま放置していると、企業にとって大きな損失になる可能性があります。
そこで今回は、未収金が膨らむことのデメリットとともに、回収の流れやステップごとの督促方法などを解説します。
未収金放置は危険!回収の流れとステップごとの督促方法
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- 未収金回収の流れとステップ
- 監修
- 経理部長補佐
【目次】
未収金が多くなることのデメリット

未収金が多くなると発生する最も大きなデメリットは、キャッシュフローが不安定になることです。
会社が事業を展開するためにはまとまった現金が必要です。
事業を行う過程で、オフィス賃貸料・人件費・通信費・光熱水費・備品消耗品費・原材料費・旅費など、さまざまな経費が発生し、その都度支払っていかなければならないからです。
それではこの現金はどこから捻出されるのかというと、元々の資本金と事業の収入、つまり売上です。
しかし、売上があってもそれが売掛なら、実際に現金として手元に入ってくるまで一定の期間が発生します。この売掛金の未回収分が増えるにつれて、手元のキャッシュはどんどん少なくなります。
「黒字倒産」という言葉がありますが、これは売上としては黒字なのに使用できるキャッシュが不足し、経営が立ち行かなくなって会社が潰れてしまうというものです。
未収金が膨らむと、黒字倒産のように、企業に重大なリスクをもたらすことになりかねないのです。
未収金回収の流れと督促方法
それでは、未収金はどのように回収を行えば良いのでしょうか。
回収の流れと、ステップごとの具体的な督促方法などを解説します。
請求書の支払期限を超過している案件をチェック
まずは請求書に記載している支払期限を超過している案件をチェックします。
支払期限を過ぎると、そのままずるずると未払い状態になってしまう可能性があるので、リスクの高い案件と言えます。漏れなく押さえておきましょう。
督促を行う
支払期限を過ぎた案件に対し督促を行います。
督促方法は文書の送付、電話、メール送信、直接訪問などがあります。いつ請求した何の件に対する督促か、未払い金額はいくらか、いつまでに納付して欲しいのかなどを具体的に伝えましょう。
内容証明を送る
督促を行っても支払いがなかったり、また督促に対し何のリアクションもなかったりした場合は、次のステップとして内容証明の送付に進みます。
内容証明とは、郵便局が中身の文書内容を証明してくれる郵便のことです。決められた様式に則り、郵送用・郵便局保管用・自社保管用を作成し、郵便局に持参し内容確認してもらいます。これにより、「確かに相手にこのような内容の郵送物を送った」という証明になり、それが送達されている限り相手は「督促を受けていない」という言い逃れができなくなります。自社がしっかり未払いに関するアプローチを行っていたという根拠になるので、忘れず行いましょう。
なお、内容証明は自社の顧問弁護士などに依頼し、代理で行ってもらうことも可能です。
法的手続きを開始する
内容証明を送っても支払いがない、または音沙汰がない場合は、法的手続きを開始します。
自社の顧問弁護士などに相談し、未払いの裁判を起こす準備を進めます。訴訟を起こしても相手が全く応じなかったり、また訴訟が始まる前に相手が支払いをする意思を見せたり、さまざまな展開も考えられます。
弁護士と細かくやり取りしながら、適宜進めていきましょう。
未収金回収のポイント
未収金に関する業務を少しでも上手に回すためにはコツを押さえることが大切です。
最後に、未収金回収において意識しておきたいポイントを紹介します。
放置しない
未収金回収の最も重要なポイントは放置しないことです。
未収金管理は事務担当部署が行うことも多いですが、ほかの業務とやや毛色が異なるため、どのように手をつけていいかわからずそのまま寝かせてしまうパターンも見られます。
また、未払いの督促などにおいて、取引先から攻撃的な態度をとられるのではないかという不安もあるかもしれません。
しかし、未収金は放置しているとどんどん回収しにくくなります。さらには放置しているうちに取引先の業績が悪化して倒産、などと回収不能になってしまうリスクも。
なお、未収金には時効があります。未払いのまま2年が経過すると時効が成立するため、相手が時効を主張した場合はもう回収できなくなってしまいます。
未収金回収は段取りとスピードが命です。わからないことや不安なことは、調べたり周りに相談したりしながら、時間を置かずに処理していきましょう。
費用対効果を考える
未収金回収も法的手続きにまで進めばより大きなコストがかかります。
具体的に高額になるのは弁護士費用です。
依頼をスタートする着手金、代理で調停に出席する際の日当、作業時間に沿ったタイムチャージ、依頼内容が成功した場合の報酬金など、未収金に関する弁護士費用には細かい内訳があります。
訴訟がこじれたり長引いたりすると、必然的に弁護士費用も高くなっていきます。それでも未収金が回収できればお釣が来ると思うかもしれませんが、調停でこちらが勝ったからと言って相手が素直にお金を支払ってくれるとは限りません。裁判の結果も無視して相手が逃げてしまえば、結局裁判・弁護士費用だけ投入し、未収金は回収できずコストばかりがかかったという結末に終わる可能性もあります。
回収の可能性が低い、あるいは回収にかけるコストの費用対効果が低いという場合は、債権の売却などほかの方法も視野に入れながら未収金に対応していきましょう。


