経理/簿記試験

経理担当者なら取得したい!日商簿記2級でよくでる仕訳_利益処分を例題と一緒に解説

テーマ
利益処分
監修
簿記マスター


日商簿記2級の仕訳で難易度の高い「利益処分」の問題を解説します。第2問の個別問題で株主資本等変動計算書の作成としての出題も想定されるため重要な分野であるといえます。

株式会社は、その会社が発行している株を持っている人、つまり「株主」のものであるとされています。そのため、株式会社が所有する利益についても会社が勝手に処分を決めることはできません。株主総会でどのように利益を処分するのか話し合われ決定します。

この記事では、利益処分が決定したときの仕訳を見ていきます。利益処分とは関係のなさそうな準備金の積立について悩んでいるかたにぜひ一読してほしいと思います。

問題と解説

問題①

【問題】

AA株式会社は×2年6月20日の定時株主総会において、次のように繰越利益剰余金を処分することを決定した。なお、前期末時点での繰越利益剰余金の残高は4,760,000円であった。

配当金 1株あたり20円(発行済株式総数150,000株)

別途積立金560,000円

利益準備金 「会社法」の定める金額

前期末時点での資本金・資本準備金・利益準備金の残高はそれぞれ50,000,000円・6,500,000円・5,000,000円であった。

 

【解答】

借方 金額 貸方 金額
④繰越利益剰余金 3,860,000 ①未払配当金 3,000,000
②別途積立金 560,000
③利益準備金 300,000

上記解答の勘定科目の番号は確定していく順番になります。順を追って解説を進めていきます。

未払配当金

問題文では「配当金」と記載されていますが、この株主総会で配当の金額が決まった段階ではまだ配当金の支払いをしていません。そのため、「未払配当金」(負債の増加)として処理します。配当金の総額は、1株あたり20円×150,000株=3,000,000円 となります。

別途積立金

問題文の指示通りです。本問では「別途積立金」でしたが、ほかに新築積立金や配当平均積立金などもあります。指定勘定科目をチェックのうえ、出題されたとおりに○○積立金として仕訳をしましょう。

利益準備金

会社法で「剰余金の配当をする場合には配当金の10分の1を資本準備金または利益準備金として積み立てなければならない。ただし、資本準備金と利益準備金の合計が資本金の4分の1に達するまで積み立てること」と規定されています。

では、本問の数字を使ってこの規定にあてはめていきましょう。

A. 配当金の10分の1を計算しましょう。配当金は①より3,000,000円ですので、その10分の1つまり「300,000円」となります。

B. 問題文より「資本金の4分の1に達するまで」準備金を積み立てるとしています。資本金50,000,000円×1/4=12,500,000円 12,500,000円になるまで準備金を積み立てる(増やす)ということです。

C. 現在の準備金の合計額を確認します。資本準備金6,500,000円+利益準備金5,000,000円=11,500,000円 合計額は11,500,000円です。

D. BとCをまとめます。12,500,000円(Bより)になるまで準備金を積み立てるわけですが、すでに11,500,000円(Cより)が準備金として積立てられています。つまり、12,500,000円-11,500,000円=1,000,000円 あと1,000,000円を積み立てられます。

次に利益準備金の金額を300,000円としてよいかどうかの検証をします。

A「300,000円」はD「1,000,000円」よりも少ない。これは300,000円を利益準備金として積み立てて増やしても問題がないということを指しています。

この検証により、利益準備金の額は300,000円と確定します。

本問ではA<Dのパターンでしたが当然A>Dの場合もありえます。そちらは問題例2を参照ください。

繰越利益剰余金

繰越利益剰余金は通常、純資産の部「貸方」に計上されています。これを財源として配当等の処分を行ったので、繰越利益剰余金は減少します。そのため、(借方)繰越利益剰余金となります。

金額は、貸方の処分されることが確定した額の合計です。

3,000,000円+560,000円+300,000円=3,860,000円

ちなみに、問題文中に「繰越利益剰余金の前期末残高4,760,000円」とありますが、この4,760,000円は仕訳には使用しません。剰余金が4,760,000円あり、その中の3,860,000円を使って配当や積立を行ったという確認に使用するのみです。金額が問題文中に与えられているとどこかで使わなくてはいけないのでは?と不安になりますが、理解がともなっていれば無視してよいと割り切れるはずです。

では、もう1つの利益準備金の計算パターンを見てみましょう。

 

問題②

【問題】

AA株式会社は×2年6月20日の定時株主総会において、次のように繰越利益剰余金を処分することを決定した。なお、前期末時点での繰越利益剰余金の残高は4,760,000円であった。

配当金 1株あたり20円(発行済株式総数150,000株)

別途積立金560,000円

利益準備金 「会社法」の定める金額

前期末時点での資本金・資本準備金・利益準備金の残高はそれぞれ50,000,000円・7,000,000円・5,280,000円であった。

 

【解説】

借方 金額 貸方 金額
④繰越利益剰余金 3,780,000 ①未払配当金 3,000,000
②別途積立金 560,000
③利益準備金 220,000

①・②・④の解説は問題例1と同じですので省略します。③利益準備金の計算過程を見ていきましょう。具体的な説明は問題例1と同じですので割愛し、計算過程を記します。

③利益準備金

A. 配当金3,000,000円×1/10=300,000円

B. 資本金50,000,000円×1/4=12,500,000円

C. 資本準備金7,000,000円+利益準備金5,280,000円=12,280,000円

D. BとCをまとめます。12,500,000円(Bより)になるまで準備金を積み立てるわけですが、すでに12,280,000円(Cより)が準備金として積立てられています。つまり、12,500,000円-12,280,000円=220,000円 あと220,000円を積み立てられます。

A配当金の1/10「300,000円」を利益準備金としたいけれど、積み立てられる残額はD「220,000円」だけ。つまり、利益準備金は220,000円と確定します。

本問はA>Dのパターンでした。過去の出題傾向よりどちらのパターンも出題確率としては同等といえます。

まとめ

利益処分の問題で難しいのが、この利益準備金の捉え方です。社外へ剰余金の配当として現金を支出するばかりではなく、今後何か起きたときのために社内にもお金を残しておこう(内部留保)という考えから、資本金の1/4になるまで準備金を積み立てる(増やしていく)とされています。

公式だけで覚えようとすると抜けが出てきますので、なぜ利益準備金を積み立てるのかを理解して仕訳に取り組んでみるとよいでしょう。

Biz人 編集部 経理応援隊/簿記応援隊Biz人 編集部 経理応援隊/簿記応援隊

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