経理/簿記試験

コロナ禍で広がるネットビジネスに関する税金・税務の手続き

テーマ
広がるネットビジネスに関する税金・税務
監修
フィナンシャルプランナー

コロナ禍の長期化により、これまで実店舗のみでの営業だった企業もネットビジネスに舵を切り始めました。そこで現役ファイナンシャルプランナーが、ネットビジネスの税務手続きの概要について分かりやすく解説します。

広がるネットビジネスに関する税務の手続き

新型コロナの影響でまん延防止措置や緊急事態宣言が発出される事態となりました。今回の宣言による政府の要請は、飲食店のみに限らず幅広い業界に多大なダメージを与えることでしょう。しかし、毎月の家賃が発生し、従業員への給与など固定費は必ず発生します。

そこで多くの業種がネットビジネスへの参入を進めています。ネットビジネス業界は、ECサイトやYouTuberなど参入障壁が決して高くないため、本業の売上減少補填と本業との相乗効果が期待できる業界です。

蔓延防止等予防措置下においては、時短営業や店舗での物理的なコロナ感染症対策が求められたため「テイクアウト商品」の開発にも力が入れられましたが、商売をできる範囲が限られているため、ネットを使ってより広い客層にアピールをすることは、それなりに意義のあることと考えられます。

ECサイト運営会社に登録した際の「共通ポイント」の処理

まずは「共通ポイント」の定義を確認したいと思います。共通ポイントとは、自社でのみ使えるポイント制度とは異なる、いわゆるTポイントや楽天ポイントなどのことを指します。共通ポイントのメリットは、買い手が多数の事業者間での決済手段として使えるため、顧客の販売意欲亢進や顧客層の拡大・拡張が望めます。

会計処理については国税庁の以下のページが詳しいので参考にしてみて下さい。

【参考:国税庁「共通ポイント制度を利用する事業者及びポイント会員の処理例】

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/0019012-152.pdf

各種の営業許可を取得する必要性

ネット販売を行うといっても、実店舗と同様に販売する商品によっては営業許可が必要な場合があります。

・食品の販売…食品衛生管理者と食品衛生法による営業許可

・総菜類の販売…惣菜製造業

・肉類の加工品…食肉製品製造業

など、挙げればキリがありません。

各種の営業許可については、都道府県ごとに異なる扱いがあったりもするため、行政書士などの専門家に依頼する方がスムーズに手続きを進めることができるでしょう。もちろん、営業許可の取得に直接要する費用や行政書士費用などは、必要経費に算入できることとなっています。

青色申告個人事業者に認められる貸倒引当金計上の必要性

商取引で生じた売掛金や未収入金などのうち、個別評価貸金等(貸倒損失の見込まれる金銭債権)以外の金銭債権(債券を除く。)は、一括評価貸金等と呼ばれます。一括評価貸金等の貸倒損失見込額として貸倒引当金に繰り入れた金額については、繰入限度額に達するまでの金額は必要経費になります。

・繰入限度額の計算例

(イ)金融業者以外の事業者…1,000分の55

(ロ)金融業者      …1,000分の33

【参考:国税庁タックスアンサー】

No.5500 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の対象となる金銭債権の範囲|国税庁 (nta.go.jp)

 

ネット取引では、様々なオンライン上の決済手段や、収納代行会社を使った後払い決済も準備されていることが多いものです。特に後払い決済は、商品を実際に確認した後に決済すればよいため、注文者が未達や商品の破損による支払い義務を免れることができるため人気があります。その上、クレジットカードやスマートフォンなどのオンライン決済を持っていない購買層も取り込みが可能になります。

そこで注意したいのは、収納代行会社を用いずに自社で払込票等を作成し、商品到着後にコンビニエンスストアや銀行振込による後払い決済を行っている場合です。このような場合には、消費者との間で債権の取り立てを行ってくれる存在がないため、代金未回収のリスクをはらんでいます。

そのため、青色申告を行っている個人事業者は代金未回収のリスクに備えるために、貸倒引当金を計上することができます。

申告において簡便なのは、一括評価による貸倒引当金の計上なので、上記の「国税庁タックスアンサー」を確認していただきたく思います。

ネットビジネスが事業に該当するかの判定に係る留意点

ネット販売をビジネスとして行っている場合は、もちろん事業に当たるといえますが、個人事業者において個人間取引(C2C取引)で事業という認識があるかないかで、結論が変わってくる場合があります。

事業性の有無について事業であると判定された場合には、所得区分は事業所得ということになり課税されるケースが考えられるからです。

原則として、一般的な家具や衣類について、生活に通常必要な動産の売買については課税されることはありません(例外は、貴金属や骨董品に当たるもので評価された金額が30万円超の場合は譲渡所得として課税されます。)

しかし、上記のようなものであってもヤフオクなどのネットオークションや、フリマアプリなどで、営利性を求め、有償性や反復継続して行われている場合には、事業性が認定される可能性がありますので注意が必要です。特に、不用品であってもネットオークションで複数年にわたって大量に一定規模以上の売上があると事業として課税される可能性があり、所得税で事業認定されると消費税でも事業と判断されるため、基準期間の課税売上高が1,000万円超の場合は税理士に税務を任せるのか賢明と考えます。

まとめ

今回の記事ではネット販売を始める際の注意点(各種許認可や行政書士報酬の経費性)などに触れた上で、個人事業者の税務について述べました。

国税は調査権を持っているため、ネットオークションサイトでの売上を除外したり、一部しか申告しない、またIDを削除して新しいIDを作り別人を装うなどの手口も捕捉しだしています。申告漏れの調査はアフターコロナにおいて厳しくなると予測されるため、厳に自分を律して経理、税務処理を行う考えが肝要と考えます。

Biz人 編集部 経理応援隊/簿記応援隊

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