経理/簿記試験

連結決算がわかりやすくなる 子会社の定義とは?

テーマ
日商簿記3級,日商簿記2級
監修
公認会計士

皆さんは、親会社・子会社という言葉を聞いたことはありますか?おそらく聞いたことのない方の方が少ないとは思います。これらの会社は、一部の会社を除いて、まとめて帳簿を作る必要があります。これを連結決算といいますが、連結決算はとても複雑で難易度が高いのです。業務でも難しいので嫌悪感を覚える人も多いでしょう。ですが、基本的な構造さえ覚えてしまえば難しいものではありません。今回は、連結決算の基本を学びましょう。

連結決算とは?

連結決算とは? 含めるべき子会社の定義とは?

ではまず、連結決算の理論から学んでいきましょう。連結会計を学ぶ上で重要なのはそこに含む子会社をどのように判別するかです。まず、子会社とは何でしょうか。単語だけはなんとなくイメージがつくと思いますが、この子会社になるには定義が3種類あります。

 

①議決権を過半数所有
②議決権を40%~50%所有+意思決定機関を支配
③議決権を~40%所有+意思決定機関を支配+関係者の所有議決権を合わせると過半数

 

これらのいずれかの条件を満たしたうえで、子会社かどうか判断されます。簿記検定上では、殆どの問題では判断までは行いません。基本的には議決権が過半数、と覚えておきましょう。

ところで、なぜしつこく議決権と言うのか疑問に思われたかもしれません。実は、株式には議決権のあるものと無いものがあります。経営を支配するためには議決権は欠かせません。ということで議決権が非常に重要なものなのです。

 

 

連結決算はなぜ必要なのか? 簿記2級を学ぶ前に知っておきたいこと

ではなぜ連結決算を行う必要があるのでしょうか。会社を人間だととらえて考えてみましょう。多くの親子は一つ屋根の下で暮らしています。ちょっと想像してみて下さい。子供が親の財布から現金を抜き取って子供の財布に仕舞ったとします。親の立場・子供の立場だけで考えると、親は現金のマイナス、子供は現金のプラスです。しかし、全体的な「家」として考えてみるとどうでしょうか。家として考えると、現金が親の財布から子供の財布に移っただけです。ただそれだけです。では話を会社に戻しますが、親会社と子会社間のやり取りはとても多いです。それらを消さないとたくさんの取引が計上されてしまい、あたかも取引が活発に行われているよい会社だと見られてしまう場合があります。ですので、そういった取引を消す連結決算が必要とされているのです。

 

 

実際には、連結決算を行わない子会社もあります。それは、

①一時的な支配と認められている場合
②連結決算を行うことにより、利害関係者の理解を著しく妨げるおそれがある場合

 

ちなみに利害関係者とは、投資家・株主・債権者などを指します。簿記検定上ではこのような会社が出題されることは多くありませんので、こういうのもあるのだと頭の片隅に置いておきましょう。

連結決算と「のれん」

連結決算の手順をわかりやすく理解しよう

連結決算を行うタイミングとしては、以下のものが挙げられます。

①支配を開始するとき
②支配が無くなったとき
③期末

 基本的には以上のものです。今回はまず、会社を買収するところまでをやってみましょう。では、早速ですが仕訳の問題を見ていきましょう。初めての方も、想像でももしかしたら解けるかもしれません。ぜひチャレンジしてみて下さい。

 

連結決算で出題される「のれん」とは?

連結決算について学ぶ上で、忘れては行けないのが「のれん」の存在です。見えない価値が表現されるのが「のれん」です。

ここでは、のれんに関する問題をときながら、のれんとはなにかを理解しましょう。

 

 

例題 「のれん」の問題

当社は2021年4月1日にSSS株式会社の議決権の過半数を取得し、子会社とした。その際の対価2,500,000円は当座預金から支払っている。また、2021年4月1日現在のSSS株式会社の貸借対照表は以下のようになっている。支配取得時の仕訳を行いなさい。

※表1

 

 

〈解答欄〉単位:円

借方科目 金額 貸方科目 金額

 

解答・解説

単位:円

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 500,000 支払手形 600,000
受取手形 450,000 買掛金 550,000
売掛金 800,000 借入金 700,000
商品 200,000 当座預金 2,500,000
建物 1,000,000
土地 1,200,000
のれん 200,000

 

では解説に移ります。ここで謎の勘定科目「のれん」が登場していますね。一体これは何なのでしょうか。のれん分け、という言葉は聞いたことがあるでしょうか。ラーメン屋などでよく聞かれるかもしれません。この「のれん」は、要するにブランドのことです。企業の価値は金額だけでは測ることができません。先ほどの解答を見てみましょう。貸借対照表の実質的な価値は2,300,000円ですが、実際に購入に掛かった金額は2,500,000円です。差額200,000円がのれん、ブランドです。例えばですが、ものすごく有名人の親が経営している会社と、同じくらいの貸借対照表のその辺の知名度が低い会社。皆さんでしたらどちらを買収しますか?おそらく前者を選ぶと思います。そういった点で買収には高い値がつけられ、支払った金額と貸借対照表の金額に差が出るのです。

そしてこののれんは、貸借対照表の資産の部、無形固定資産に該当します。そしてさらに、こののれんは毎年償却をしていきます。その償却は販売費および一般管理費の区分にのれん償却として計上をします。さらに償却年数は最長20年までと決められています。20年という数字はときどき理論として出題されることもあるので、覚えておきましょう。

 

ここまで、のれんというものはプラスのイメージのものでしたが、実はマイナスののれんもあります。先ほどの逆で、購入した金額が実質的な価値を下回っている場合に発生します。つまり、お買い得だったという場合です。買われた企業にマイナスイメージがついていたりする場合もありますが…その場合は、差額は「負ののれん発生益」という特別利益の区分の勘定科目で計上します。いかにもマイナスな名前ですが、特別利益として計上する点に注意しましょう。

負ののれんは償却も行いません。特別利益として損益計算書に計上するのみで、それ以外の処理は行いません。検定としてもあまり出ないですが、覚えておきましょう。

 

いかがでしたでしょうか。連結決算、まずは買収する際の処理について学びました。まずは基礎から固めていきましょう。ぜひ、頑張って下さい。

Biz人 編集部 経理応援隊/簿記応援隊Biz人 編集部 経理応援隊/簿記応援隊

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