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貸倒引当金とは?例題を交えてわかりやすく解説

テーマ
貸倒引当金とは?
監修
簿記マスター

貸倒引当金ときいて、皆さんは何を思い浮かべますか?簿記を勉強したことのない人は、おそらく普段の生活では耳にしない言葉でしょう。簿記のすべての級で出題されている貸倒引当金は、実はただ単にパーセントを掛けて計算するものじゃないものもあります。今回は、ちょっと難易度が高く、奥が深い貸倒引当金を一緒に見ていきましょう。

貸倒引当金とは?

では、まずは貸倒引当金について説明しましょう。

貸倒引当金とは、すでに保有している金銭債権が、もしかしたら貸倒れてしまうかもしれない、その可能性を考慮してあらかじめ金額を見積もっておく、というようなものです。貸倒れ、というのは返ってこない、ということです。相手によっては貸したお金は必ず帰ってくるとは言えません。

この貸倒引当金の金額は、あくまでも過去の実績などによる見積りですので、必ずしも見積りの通りになるとは限りません。

では次に、貸倒引当金の計算方法について見ていきましょう。

貸倒引当金の計算方法

次は、貸倒引当金の計算についてです。

計算方法は、それぞれの金銭債権によって異なります。まずは、金銭債権を分類してみましょう。

①一般債権……………貸倒実績率法

②貸倒懸念債権………財務内容評価法もしくはキャッシュ・フロー見積法

③破産更生債権………財務内容評価法

それぞれ見ていきましょう。

一般債権とは、ごく普通の、あまり貸し倒れるような危険性のないような債権です。経営に重大な問題がない会社のものです。そして用いるのは貸倒実績率法、合理的な基準によって計算します。例えば、貸し倒れの実積率などを用います。簿記3級ではこの計算のみ出題されています。

貸倒懸念債権とは、会社の経営が破綻するほどにはなっていないが、貸し倒れる可能性が非常に高い会社に対する債権です。そして用いるのは財務内容評価法もしくはキャッシュ・フロー見積法です。財務内容評価法とは、債権が生じた際などに得た担保や、相手会社の経営状態などを考慮したうえで見積もる方法です。キャッシュ・フロー見積法とは、債権の元本と、返済までの利息(ない場合もあります)の割引計算をし、割り引いた金額と、当初の帳簿価額を比較して、差額を貸倒引当金とする方法です。これに関しては、キャッシュ・フロー見積法の計算の方が少し複雑になってきます。

最後に、破産更生債権です。読んで字のごとく、もう経営破綻もしくは実質的に経営破綻に陥っている会社に対する債権です。これに関しては、もう少額でも返ってきたらラッキーくらいの債権ですので、貸倒引当金は非常に高額になります。これに関しては、財務内容評価法のみで見積を行います。

財務内容評価法とキャッシュ・フロー見積法は、検定試験では1級で出題されています。非常に難易度は高い…と思われるかもしれませんが、計算方法さえ覚えてしまえば簡単です。

また、それに加えて貸倒引当金の計上の方法も2種類あります。それは、毎期計上している貸倒引当金繰入に関係しています。この貸倒引当金は、金銭債権から計算していますよね。毎期、金銭債権の金額は一定ではありませんので、毎期計算しなおしています。その際に、毎期首でゼロにする→期末で引き当てる→期首でゼロにするという計算方法をするのが洗い替え法、毎期に引き当てる金額の差額のみを繰り入れるor取り崩すといった方法が差額補充法です。

では最後に、問題を解いて身に着けていきましょう。

いろいろな貸倒引当金を計算してみよう

では、最後に貸倒引当金を実際に計算してみましょう。

まずは、貸倒実績率法です。

例題1

過去3年間の貸倒実績率を算定し、2021年度、貸借対照表上に計上する貸倒引当金の金額を解答しなさい。なお、金銭債権の平均回収期間は3年間である。端数が出た場合は最終的な数値を四捨五入すること。

解答・解説

解答:131円

解説に移ります。貸倒実績率法だからと言って、ただ単に掛け算をする問題ばかりではありません。

まず、今回のキーポイントは3年間、という点です。債権の平均回収期間です。3年間の平均貸倒実績率を計算していくのですが、2021年度末時点で3年間以上経過している数字しか使えません。ですので、この段階で使用できる年度は2015,2016,2017年度のみですね。それらの貸倒実績の金額÷元本で、各年度の貸倒実績率を計算しましょう。

2015年度 30÷3,000=1%

2016年度 40÷5,000=0.8%

2017年度 54÷6,000=0.9%

そして、これらの平均を計算し、ようやく貸倒実績率が計算できました。

(1%+0.8%+0.9%)÷3=0.9%

そして、現在の期末金銭債権残高に掛けて四捨五入をして完了です。

では次に、財務内容評価法です。

例題2

かねてより取引のあったCC株式会社の業績があまり芳しくないことがわかったので、CC株式会社に対する金銭債権につき、財務内容評価法を用いて貸倒引当金の見積計上を行う。その見積計上額を計算しなさい。

債権金額:5,000,000円

担保処分見込額:1,000,000円

貸倒引当金の設定率:60%

解答・解説

解答:2,400,000円

解説に移ります。計算はとても簡単です。

(5,000,000-1,000,000)×60%=2,400,000

では最後に、キャッシュ・フロー見積法です。

すこし計算が難しいので、初めての方や自信のない方は解説を見ながら一緒に解いてみましょう。

例題3

2020年3月31日(期末)に取引先BBB株式会社に対する長期貸付金2,000,000円に対して、BBB株式会社より当初の年利5%から2%に引き下げるよう交渉が入った。利息の受け取り日は年に1回、3月31日である。当社はそれに応じ、加えて当該債権を貸倒引当金と認定した。当期末までの利息は正常に受取済みである。当該債権の返済予定は2023年3月31日(期末)である。キャッシュ・フロー見積法を用いて、2020年3月31日に計上すべき貸倒引当金を計算しなさい。端数が出た場合は、その都度四捨五入すること。

解答・解説

解答:163,395円

では、解説に移ります。

まず、利率引き下げ後の受取スケジュールを見ていきましょう。

利息 元本
2021年3月31日 40,000 0
2022年3月31日 40,000 0
2023年3月31日 40,000 2,000,000

こうなっていますね。では、これらの数字を割り引いていきましょう。使用する割引率は、以前の利率の5%です。割引後の数字は以下の通りです。計算式は、各数字を1.05で割り、1年先になるほど1.05をさらに割ります。

2021年 40,000÷1.05

2022年 40,000÷1.05÷1.05

2023年 40,000÷1.05÷1.05÷1.05

2,000,000÷1.05÷1.05÷1.05

利息 元本
2021年3月31日 38,095 0
2022年3月31日 36,281 0
2023年3月31日 34,554 1,727,675

この割り引いた数字をすべて足し、もともとの帳簿価額と比較しましょう。

2,000,000-(38,095+36,281+34,554+1,727,675)=163,395

これで完了です。

 

いかがでしたでしょうか。すこし難しいものもありましたが、いまから慣れておけば勉強が進んだ後も安心です。貸倒引当金はどの級でも頻出科目です。ぜひ、頑張って下さい。

Biz人 編集部 経理応援隊/簿記応援隊Biz人 編集部 経理応援隊/簿記応援隊

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