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証書貸付とは?証書貸付についてわかりやすく解説!

テーマ
証書貸付とは?
監修
経営コンサルタント

証書貸付とは、金融機関融資の1つで「金銭消費貸借契約書」という借用証書で、一般的に3年~10年といった長い期間にわたり貸付けるものです。貸付期間が長いので、毎月決まった日に少しずつ返済し、設備資金などに利用されることが多いです。また個人の住宅ローンも証書貸付に含まれます。

金融機関の融資には、証書貸付の他に、当座貸越や手形貸付などの種類があります。なぜこのような種類があるのかというと、資金使途や借入期間によって最もリスクが少なく適したやり方が決まっているためです。

金融機関の見方

融資を申し込む際、まず気になるのは「いくらまで貸してもらえるのか」といったところでしょう。その他に、「月々の返済額」や「金利」なども重要な要素として少しでも有利になるよう金融機関と交渉します。しかし金融機関が気にしていることは「この会社はなぜお金を借りるのか」という申込みに至る背景です。お金を貸した会社が途中で倒産し返済してもらえなくなることは、あってはならないことです。「お金を貸しても大丈夫か」「最後まで返してもらえか」というリスクの見極めが最も重要になります。この見極めのもとになるのが資金使途と貸出期間です。

資金使途

営業をしていると会社にお金が足りなくなるケースがあります。お金が足りないケースは2つあります。1つは工場の建築、生産設備の購入、自動車など設備を投資するとき、また運転資金が不足した時などです。これらのケースは、今、確かに会社にお金は無いのですが、借入をすることで事業がより良く回っていき、利益が増え、問題なく返済できることが見込まれ、実際に金融機関もリスクが高いとは考えていません。注意が必要なのは、もう1つのケースで、赤字が続いている時です。このような会社は仮に融資をしたとしても、利益が出ない間は返済ができないので、改善の見込みがないと融資ができません。何故、お金を借りるのかという資金使途が大切なのです。

短期か長期か

資金使途を踏まえ、短期で貸したほうかいいのか、長期で貸したほうが良いのか検討します。会計の世界では、1年までの借入を「短期借入(流動負債)」、1年より長い借入を「長期借入(固定負債)」と言います。短期か長期かは、会社の財務内容や借り手の希望によって決まるのではなく、融資が何に使われるかによって決まると言うことがポイントです。短期・長期の違いは金額や金利と同じくらい重要で、この見極めを誤ってしまうとリスクを大きく増加させることになります。

短期の例

卸売業や、アパレル・スーパーなど仕入が多い業界は、利益を稼ぎながら人件費や経費など固定費を払っています。忙しい会社ほどお金の出入りが頻繁に起こり、一時的にお金の入金が間に合わないときがあります。そのような時に借入するのが運転資金です。建設業は、建物が完成するまで売上が入らないので、それまで運転資金を借入して仕入や人件費を支払います(お金がはいってくるため借入でつなぐということで、「つなぎ資金」とも言います)。

このような入金が遅れるタイミングは日常的に行っている取引から発生するもので、長くても2~3ヶ月です。すなわち1年以内の短期資金として借入し、お金が入ってきたタイミングで全て返済してしまうことが原則です。

長期の例

工場の建築、生産設備の購入、自動車などといった設備投資を行うとき、金額が大きくなるので借入をします。設備投資というものは直ぐに利益があがるものではありません。設備を入れてから少しずつ効果がでてきて毎年利益が増えてくるものです。このような場合、1年以内の短期借入では返済が大変です。

税法では設備購入の費用が発生したとき、原則、その年だけで費用全額を計上することはできません。会社からすると100の設備代で全額支払ったのですから、その年の利益から100を引いた利益に税金がかかるべきと考えるのですが、実際は100の費用を何年かに分少しずつ差引き、差し引けない分は資産として計上しておく決まりがあります。これを減価償却といいます。これは設備の利益は1年でなく、何年かに分けて回収するものなので、それに合わせて費用も何年かに分けて計上していくという考えがもとになっています。

この「何年かに分ける」というのは設備の種類によって異なり、機械なら3~7年、建物なら10年以上が一般的で、それと借入期間を合わせることが原則であり、長期資金として検討されます。儲かっている会社などは自己資金があるので短期で返済してしまいたい思いもあるでしょうが、そのような返済は設備とは関係の無い利益とごちゃ混ぜにした丼勘定であり、あまり好ましくありません。あくまで設備の利益で返済することが原則です。

当座貸越・手形貸付・証書貸付

金融機関は資金使途と借入期間を踏まえて、適切な貸付に当てはめます。

種類 期間 資金使途 特徴 メリット デメリット
当座貸越 短期1年まで 運転 借入額を決めてその中で自由に借入・返済ができる。主に卸・アパレル・スーパーなど仕入が多い業界が利用。
  • 機動的な利用ができる
  • 金利は高め
  • 業種が限られる
  • 審査が厳しい
手形貸付 借手が手形を振出し、返済期限に一括返済する。主に建設業が多い。
  • 印紙代が安い
  • 一括の返済義務
  • 返済できる証拠が必要(工事の契約書など)
証書貸付 長期1年超 設備(運転) 「金銭消費貸借契約書」という借用証書で借りる。業種を問わず主に設備資金に使われる。金融機関の売込に使われることもある。
  • 年利が安い
  • 月々の返済で負担少
  • 総返済額が多い
  • 印紙代が高い

3つを比較すると、一見、当座貸越が便利に見えるかもしれません。しかし金融機関にとって自由に使えるというのは非常にリスクが高いです。考え方によっては投機的なものや、赤字補填など事業に関係ないものに流用される恐れもあるわけです。よって審査では決算書でしっかり資金使途や決算を確認し、間違いなく事業に使われることが確認できる時のみ契約できます。

証書貸付の特徴・メリット・デメリット

証書貸付とは、このように資金使途などから長期で融資すべきと金融機関が判断したとき利用されます。設備資金などは融資したお金が機械など見に見える形で残り、決算書にもしっかり記載されます。健全性が高くリスクも少ないので金利は比較的安めです。

時々、設備資金以外にも突発的な出来事やイベントなどが発生し費用を何年かかけて回収する必要があるときは、運転資金として証書貸付が使われる場合もあり、長期運転資金と呼ばれます。例えば、一時的に売り上げが落ち込み近いうちに回復が確実な場合の補填資金や、従業員の退職金、万一に備えて手元の現金を確保しておきたい時などです。これらは形に残るものはないので、金融機関にとってリスクが高く、金利が高くなる可能性があります。また、優良会社などで金融機関が融資の売込みを行う際にも使われます。

証書貸付の一番のメリットは、長期間で月々にいくらずつといった決まった額で返済できるということでしょう。資金繰りに忙しくても決まった額で返済できるのは資金計画を立てやすく経営が楽になります。また当初想定していたより設備投資の効果があり、利益が蓄積されたときは繰り上げ返済も可能です。もっとも金融機関にとっては繰り上げ返済は将来の利息収入がなくなることになるので、最近の低金利を背景に違約金を徴収することが多くなっています。契約の時にしっかり確認しておきましょう。

デメリットとしては、総返済額が多くなると言う事が挙げられます。一般に証書貸付は他と比べて金利が安いのですが、金利は年利で表示されるので注意して下さい。金融機関は「お金とともに時間を貸す」と言われます。金融機関は融資をして企業が利益を得るまで返済を抑えてくれています。それまで金利で儲けているわけです。いくら金利が安くとも、借入期間が長ければ長いほど利息と元金を合わせた総返済額は膨れ上がります。企業は、設備の代金だけでなく銀行に払った金利を合わせた以上の利益を生む投資効果が求められます。

Biz人 編集部Biz人 編集部

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