仕事における数値化には、会計や統計学などの難しい知識は基本的に不要です。
本書では、実際に「仕事ができる人」=「数値化の鬼」になるための具体的な方法について、以下の5つのステップで説明しています。
ステップ1:「行動量」を増やす
ステップ2:「確率」のワナに気をつける
ステップ3:「変数」を見つける
ステップ4:「真の変数」に絞る
ステップ5:「長い期間」から逆算する
それではそれぞれのステップについて順番にご紹介していきます。
「行動量」を増やす
仕事では結果を出すことが何よりも大切ですが、そのために必要なことは「行動量」を増やすことです。
若い人に多くみられるのが、「計画」を立ててから「行動」するまでのタイムロスです。
「行動量」とは「何回やったのか」「1日に何時間できたのか」という量を表しますが、何をどのくらいやればいいのかが漠然としていると動けません。
そこで威力を発揮するのが「数値化」です。
大きな目標を達成するために行動すべきことを細かく分解し、分解した行動ごとの目標(目標のための目標=KPI)を数値化することで、迷わずに動くことができるようになります。
本書では「行動量」を増やすための考え方が数多く紹介されています。
「確率」のワナに気をつける
仕事ができる人になるにあたって、大きな障害となるのが「伸び悩み」です。
最初は行動量を意識していた人も、仕事に慣れてくると徐々に達成率や成功率といった「%(率)」にこだわるようになります。
失敗しないことを重視して、成功の「確率」だけで物事の良し悪しを考え出すと、チャレンジしなくなり、成長が止まってしまいます。その先に待っているのは「評論家のようなプレーヤー」や「働かないおじさん」です。
あくまで大切なのは行動量です。成果を出し続けるためには「量」をキープしたまま「率」を上げていくことが大切です。
「変数」を見つける
仕事の成果に直結するのが「変数」です。「変数」は本書で最も重要な概念です。
仕事で成果を出すためには、「仕事のどこを変えればいいのか」を見極めることが大切です。
例えばプレゼン資料の作成時間を1時間から2時間に増やしても結果が変わらなかったのに、プレゼンでの話し方の練習に時間をかけてみたら結果が良くなったとします。
この場合、「資料の完成度が変数だったのではなく、話し方が変数だった」のです。
隠れた「変数」を見つけるためには、仕事の工程を「行動レベル」に細かく分けて、数値化して考える必要があります。
「変数」を意識するだけで、いつでも成果を出せる「仕事ができる人」になれるのです。
「真の変数」に絞る
「変数」はとても重要ですが、放っておくと増えすぎてしまうのが注意点です。
「変数」が増えると重要なことが増え、時間がなくなり、パフォーマンスが落ちます。
そこでポイントになるのが「変数を減らす」という考え方です。
自分自身で「他に変数がないかを考え前例を手放す」ことや、リーダーが「それは変数ではない」と指示することなどが有効なアプローチです。
間違った努力をしてしまっていることについて、「それは変数ではない」と認知できるかどうかがポイントです。
過去の成功を疑い、新しく仮説を立てる。この繰り返しこそが「仕事ができる人」になる秘訣です。
「長い期間」から逆算する
これまでの4つのステップは、「行動量」を増やし、「変数」を見つけ、短期間でスピーディに成長するための方法でした。
しかし、短期的な視点だけでは十分ではありません。今の世の中は「目先の短期的な利益」を重視しすぎているからです。
そこで最後のステップとして必要なのが、長期的な視点から逆算するというプロセスです。
時間軸とセットでシミュレーションする、つまり「5年後、10年後はどうなっていくだろう」という視点を持つことが重要です。
「5年後の姿」と「今日の行動の目標(KPI)」が数値として一本の線でつながると、短期的な利益だけに目を奪われず、長期的な利益を選択できるようになります。
この長期的な視点は、マネージャーや経営者のように、役割がより上のポジションの人にとって大切なスキルになってきます。
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