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コンサルタントでなくても作成可能!経営戦略の作成フローをわかりやすく解説!

テーマ
経営戦略の作成フロー
監修
戦略コンサルタント

企業の経営戦略というと、上場企業の経営者や、専門のコンサルタントなど、特殊な人しか作れないものと思われがちですが、実は理論づけられた、フローやステップが存在します。つまり、一定の手順を踏めば、多くの人が妥当な経営戦略を策定できるわけです。

今回は、その経営戦略を策定していく過程をご紹介しましょう。

経営戦略フローの考え方

経営戦略とは、企業の方向性を決めていくことです。そのため、先ず、大きなところから決めていきます。そのための大きな流れは、以下の4つになります。

  • 理念、目標レベル:どんな企業でありたい?
  • 環境分析レベル:うちの会社の中や外はどうなっている?
  • 戦略レベル:どんな戦い方がある?
  • 実行レベル:具体的に誰が、いつ、どんなことする?

経営戦略フローの全体像

まず、経営戦略フローの考え方を理解すると、後はそのステップに従って決定していけば、経営戦略が立案出来ます。もし、疑問や訂正がある場合は、それ以前のステップに戻って検討すれば、さらに精度の高い、戦略が決定できるでしょう。

そういった意味でも、経営戦略のフローは、いつでも前のステップに戻ることが出来る、柔軟性を持っています。

経営戦略は、主に以下の7つのステップから構成されています。

【図1.経営戦略のベーシックフロー】

経営理念・経営目標

経営戦略立案の出発点が「経営理念」の策定です。経営理念とは、分かりやすく言うと、社長の想いです。具体的には、どんな会社にしたいかということです。すでに実在する企業においても、環境の変化に伴って、変えていく場合もあります。特に、老舗企業であるほど、環境の変化に伴って、変革すべきは変革するという勇気も必要です。

さらに、経営者の想いに沿った経営目標を決めます。目標内容は、売上高や市場シェアなど、数値化出来るものと、環境保護や地域への貢献など、メッセージ性の高いものとがあります。

環境分析

目標が決まったら、自社の置かれた環境を分析します。

「SWOT分析」「3C分析」「PEST分析」「ファイブフォース分析」など多様な手法が開発されています。

最も利用されているSWOT分析手法を例にとると、先ずは自社の置かれた環境を、大きく「内部環境」と「外部環境」に分けて分析します。

SWOT分析による環境分析

  • 内部環境

人材、商品、設備、技術力、マーケティング力、情報力など企業の内部の要素

  • 外部環境

政治、経済、法律、地理・気候、競合企業、消費者など企業を取り巻く外部要素。

これらの要素が、自社の経営にどう影響を及ぼしているのかを分析して、分類します。分類の方法としては、以下の4つの要素に分けていきます。

強み・弱み・機会・脅威に分類

  • 内部環境の「強み」と「弱み」の分析
  • 外部環境の「機会」と「脅威」の分析

ここで言う「機会」とは、いわゆるビジネス上のチャンスのことです。例えば、法律や規制が緩和されて新たなビジネスの参入が可能になったり、自社にとって有利な為替相場になったり、ライバル企業の業績悪化やスキャンダルなどです。

逆に「脅威」とは、出来れば避けたい外部環境要素のことです。例えば、法律や規制の強化や、自社に不利な為替相場の変動、ライバル企業のシェアアップや新製品の投入などが考えられます。

企業は俗に「環境対応業」であると言われます。特に外部環境は基本的に変えることが出来ないので、その変化に対応しなくてはなりません。大切なことは、現実を正確に掴んでいくことです。

戦略ドメインの決定

環境分析が終わると、自社のドメイン(生存領域)を定めていきます。企業は生き物と同じなので、最も生き延びやすい場所を見つけていくわけです。

SWOT分析を活用した戦略ドメインの方向性は、以下の通りです。ポイントは、基本的に自社の「強み」を活かし、「脅威」に立ち向かわないということです。特に、経営資源の乏しい中小企業は決して脅威に立ち向かおうとしないことが重要です。

また、有効な戦略方向が見つけられない場合は、勇気ある「撤退」も立派な経営戦略の一つです。

【図2.戦略ドメインの方向性】

  1. 自社の「強み」を外部環境の「機会」に活かす。
  2. 自社の「弱み」を補完し、外部環境の「機会」に活かす。
  3. 自社の「強み」を活かして、外部環境の「脅威」を回避する。
  4. 撤退戦略

次に、戦略ドメインをさらに具体的に文章にしていきます。誰にも分かるようにするためです。

戦略ドメインを具体化する3要素

  • 誰に(ターゲット顧客)
  • 何を(どんな顧客ニーズに応えるか)
  • どのように(提供方法)

例えば、「地域の高齢者に対して、より買い物のし易さを提供するため、宅配や移動販売を駆使した御用聞き的スーパーマッケート」などとなります。

戦略ドメインは、経営戦略の要諦です。ここを間違えると、企業の方向性に大きな狂いを生じます。多くの議論を経て、決定していきたいところです。

この部分は、大企業でも改定が必要なところです。例えば、自動車の世界的企業でも、戦略ドメインは常に迷っています。2022年時点ですが、世界の自動車産業は、環境問題を重視し、自社の方向性は電気自動車にすべきか、ハイブリット車中心にすべきか、はたまた究極に環境に優しい燃料電池車にすべきか、動揺しています。

それだけ、自社の生存領域を規定する戦略ドメインとは重要なものなのです。

経営戦略決定

社の進むべき方向が決まると、ここで初めて「自社の取るべき戦略」が決まります。

戦略とは、自社の経営資源をどのように外部環境にぶつけて勝利していくかを検討することです。

ここで大切なことは、自社の環境を分析したり、その結果の生存領域も決めないうちに戦略を考えたりすると、実行不可能な戦略になる可能性が高くなるということです。

戦略は、製品・顧客を軸にして、数多くのフレームワークがあります。自社の戦略が明確になりやすいものを活用してみましょう。

戦略決定のフレームワーク例

  • レベル別の戦略立案:全体戦略、事業別戦略、機能別戦略
  • アンゾフの成長ベクトル:製品と市場の関係を元に戦略を導き出す手法
  • 市場地位別の戦略:市場シェア別の地位に応じた戦略手法
  • プロダクトポートフォリオマネジメント:複数の製品事業分野のバランスを取る戦略
  • ポーターの競争戦略:価格競争、差別化、集中化など、競争に対応する戦略

組織編成・PDCA

方向性や戦略が決まった後は、先ず、戦略に合った実行組織を決めます。その後、具体的な実行計画に移っていきます。具体的に戦略を実行するためには、環境分析の中の内部環境で調べた、「ヒト、モノ、カネ」を実行計画に割り当てていく必要があります。

つまり、誰が何をいつまでに、どのくらい(目標)やっていくかという目標を立てるわけです。

そして、その計画はスケジュール化し、進捗状況をモニタリングします。

まとめ

今回、経営戦略を策定するための、ベーシックな手法についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?経営戦略というと、つい、「SNSを利用しよう!」とか、「価格を下げよう!」などと、戦術的な行動に走りがちですが、それは非常に危ない行動です。企業の考え方や競争環境などが考慮されていない可能性があるからです。

それぞれのステップの意味や順序の意味は、経営戦略に妥当性があるかどうかもチェックしてくれているわけです。

Biz人 編集部Biz人 編集部

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