経理/簿記試験

簿記で必須!前払,前受,未払,未収の決算処理と仕訳の覚え方

テーマ
日商簿記3級,日商簿記2級
執筆
日商簿記2級合格者

簿記3級を合格するために必須で覚えないといけないのが、前払費用・前受収益・未払費用・未収収益の仕訳と、決算処理です。

決算処理の問題で点数を獲得できるかどうかに大きく影響するのがこれらの決算仕訳を覚えているかどうかです。

この記事では、これらの決算処理を覚えるための構造や考え方を説明します。一緒に、決算処理をマスターしましょう。

経過勘定とは?

「前払費用・前受収益・未払費用・未収収益」が簿記3級で出る経過勘定

簿記3級受験者にとって、避けては通れない壁のひとつに「経過勘定」があります。経過勘定は、決してやさしい論点とはいえません。決算整理仕訳ができることはもとより、期首再振替仕訳の意味を理解する必要があります。ややこしい経過勘定を理解することで、資産・負債の感覚が磨かれます。飛躍的に決算問題を解く力は進化するでしょう。この記事では、簿記の学習をはじめたばかりでも理解していただけるよう、シンプルに解説いたします。

 

▼経過勘定の他に決算処理をする際に覚えなければ行けない処理は、別の記事にまとめました

 

前払費用・前受収益・未払費用・未収収益は、資産?負債?

経過勘定とは「前払費用・前受収益・未払費用・未収収益」の4つです。この勘定科目をつかって、費用収益の見越または繰延をおこないます。理由はシンプルに「来年の費用・収益を今期の損益計算書に入れてはいけない」ことです。まずは、このことを頭に入れて、学習を進めると良いです。

 

以下の2つが、経過勘定の存在する理由です。

 

・実際に現金預金を支払った日と、簿記上の費用発生日のズレを修正するため

・実際に現金預金を受取った日と、簿記上の収益発生日のズレを修正するため

 

多くの3級受験者は「払い過ぎているのか」「もらい過ぎているのか」を、瞬時に判断できていません。逆に、この判断ができるようになれば、経過勘定は制覇できます。まず、経過勘定を理解するためのファーストステップは、権利か義務かをイメージすることです。

 

・現金預金を受取る権利→資産

・現金預金を支払う義務→負債

・サービスを受ける権利→資産

・サービスを提供する義務→負債

 

 

支払家賃・現金預金の仕訳とは?

 

具体例として、カフェ経営者が「借主」、店舗オーナーが「貸主」とします。

 

支払家賃|借主の視点(決算日は3月31日)

「期中の10月に、カフェ営業用テナント料1年分12円支払った」

(借)支払家賃 12円 ←費用
(貸)現金預金 12円 ←資産の減少

・10月1日~翌9月30日の12か月、カフェを営む場所を確保!

・10月1日~3月31日までの6か月分6円は、当期の費用(支払家賃)です。

・4月1日~9月30日までの6か月分6円は、翌期の費用にしなければなりません。また、翌期この店舗で営業をする権利があるので、貸借対照表の資産の部に前払家賃として記載します。

(借)前払家賃 6円 ←資産の増加
(貸)支払家賃 6円 ←当期費用から除外

 

受取家賃|貸主の視点(決算日は3月31日)

「期中の10月に、テナント料1年分12円受取った」

(借)現金預金 12円 ←資産の増加
(貸)受取家賃 12円 ←収益

・10月1日~翌9月30日の12か月、カフェ経営者に場所を提供する義務が発生!

・10月1日~3月31日までの6か月分6円は、当期の収益(受取家賃)です。

・4月1日~9月30日までの6か月分6円は、翌期の収益にしなければなりません。また、翌期にテナントを提供する義務があるので、貸借対照表の負債の部に前受家賃として記載します。

(借)受取家賃 6円 ←当期収益から除外
(貸)前受家賃 6円 ←負債の増加

 

 

 

簿記3級で出る!「前払」の決算処理

これまでみてきたように、場面を細分化すればわかりやすいのですが、簿記3級試験では主に決算問題で出題されるので、ハードルは上がります。

 

決算問題では、資料として『決算整理前残高試算表』と『決算整理事項』が示されますが、その中で見越繰延の理解が試されます。たとえば、以下のようなフレーズが定番です。

 

「保険料12円を7月1日に、1年分支払ったもので、前払分を月割で計上する」

→翌期の費用になるべき4月,5月,6月の3か月分3円を、貸借対象表の資産項目である前払保険料に載せる必要があります。

 

仕訳は、

(借)前払保険料 3円←資産の増加
(貸)支払保険料 3円←当期費用から除外

となります。多く払い過ぎた費用を権利(資産)として貸借対照表に反映。これが「繰り延べる」という意味です。

 

なお、この仕訳は決算日の翌日4月1日に、再振替仕訳が行われます。

(借)支払保険料 3円←当期費用
(貸)前払保険料 3円←資産の減少

前期末日である3月31日に、保険を受ける権利(資産)として繰り延べた分は、4月1日期首時点からは”当期の費用”です。そのことを帳簿に反映するための仕訳です。

 

(期末の決算問題の資料『決算整理前残高試算表』に前払保険料という勘定科目が書かれていないのは、期首に「支払保険料」に振り替えているからです。)

 

決算整理仕訳を正確に行うポイント

以下の3つを押さえれば、どんな問題文でも迷子になりません。

・「払い過ぎている」or「もらい過ぎている」をしっかり考えて解く習慣をつける
・次は、それをしっかり損益計算書と貸借対照表に反映する
・翌期4月1日に、再振替仕訳をすることをイメージする

 

なかには「なぜ、すでに支払った額を決算でいじらなければならないのか?」という疑問を持つ場合もあるでしょう。以下の理由を知っておけば大丈夫です。

 

・決算整理仕訳の大きな目的は、損益計算書と貸借対照表に正しい数値を載せること

・正しい数値とは“今期の収益と費用(経営成績)“と“期末日時点の資産と負債、純資産の残高(財政状態)“を表す数値のこと

 

 

知るだけで迷わなくなる!用語の意味とまとめ

「繰延(前払費用・前受収益) お金の出入りは済んでいる

~当期の損益計算には入れられないので、貸借対照表に反映するための会計処理が必要~

 

前払費用(資産) 当期支払った額のうち、来期分を資産として繰り延べる

→例:支払家賃など、1年分を先払いしている場合

 

・前受収益(負債) 当期受取った額のうち、来期分を負債として繰り延べる

→例:受取手数料など、サービス提供開始時に1年分を受取っている場合

 

 

「見越」 (未払費用・未収収益)お金の出入りは済んでいない

~当期の損益計算に入れつつ、貸借対照表に反映するための会計処理が必要~

 

未払費用(負債) 当期分の費用のうち、未払分を負債として見越す

→例:借入金の支払利息など、支払日が後払いの場合

 

未収収益(資産) 

→例:受取利息など、翌期に受取日が到来する場合

 

“前払金、前受金、未払金、未収金”|似ている勘定科目名に注意!

“前払金、前受金、未払金、未収金”の4勘定科目は語句が似ていますが、意味合いは別物です。これらは、時間の経過になんら関係のないサービスの提供または受領が完了しているものです。混乱しやすいので、あえて併せて覚えておくとベターです。

 

見越繰延は簿記3級のみならず、1級受験者も苦手とする人が多い論点です。理解度が深いほど簿記力に差がつくことでしょう。3級学習のうちに、繰り返し問題を解くことで感覚を身につけていきたい論点です。

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