出産を控え産前産後休業を取得する時、おめでたいムードに包まれる一方、トラブルが起きやすいタイミングでもあります。
「手当金や給付金の支給についてよくわからない」
「休業に入る時期や復帰の日程について、希望者と人事との間に認識のズレがある…」
など頭を抱えることも多くあります。
今回は、産休育休にまつわる揉めやすいポイントを紹介しながら、対応方法について解説します。
人事担当者はもちろん、これから育休産休に入る方も人事の対応を知るために必見です。
出産を控え産前産後休業を取得する時、おめでたいムードに包まれる一方、トラブルが起きやすいタイミングでもあります。
「手当金や給付金の支給についてよくわからない」
「休業に入る時期や復帰の日程について、希望者と人事との間に認識のズレがある…」
など頭を抱えることも多くあります。
今回は、産休育休にまつわる揉めやすいポイントを紹介しながら、対応方法について解説します。
人事担当者はもちろん、これから育休産休に入る方も人事の対応を知るために必見です。
出産手当金は健康保険組合に書類が届いてから約2週間、育児休業給付金はハローワークに書類が届いてから約10日で支給されます。給料のように毎月決められた日付に入金されるわけではありません。
従業員にとっては「いつお金が入ってくるのか分からない」という状態になり、生活費するうえで不安を抱くことになるでしょう。
実際の手続きには、医師からの出産証明や賃金登録・タイムカードなどが必要であり、思っていた以上に時間がかかります。
結果として人事担当者へは、
「いつ入金されるんですか!?」
「本社の対応が遅すぎる!」
という内部クレームが行くこともあります。人事担当者はいつも追われるように手続きをする…ということになりかねません。
あらかじめ産休育休に備え引継ぎの準備をしていたとしても、予期せぬことが起き、休業の時期がズレるトラブルです。
例えば、重いつわりや切迫早産のリスクがあり医師から安静を言い渡された場合や、子どもの預け先である保育園が決まらなかった場合が想定できます。
「体調が悪いから1日でも早く産休に入りたい!」
「保育園に落ちてしまったのだから物理的に仕事ができない!」
と産休・育休を希望する人は、主張したくなりますが、これにより仕事に穴が開いてしまいます。
人事にとっても非常に悩ましい問題で、代わりの人材を他の部署から用意するか、新たに採用するか、方策を巡って苦心しています。
産休や育休から復帰する際は、休業前のポジションに戻るのが原則です。しかし、休業中に社内情勢が変わっていることを考えると、異動や仕事内容の変更がやむを得ないこともあります。
一方で、
「異動があるなんて聞いていない!不利益変更では!?」
「前と同じ仕事をさせてもらえないなんて、イクハラだ!」
とクレームをする/される場合があり、どこまでがOKで、どこまでがNGなのか、人事担当者はいつも判断に悩まされます。労働基準監督署やハラスメント窓口に相談されることもあり、希望者と人事で思った以上に大きなトラブルに発展する場合があります。
では実際に、どのような対策を打てば問題を解決しやすいのでしょうか。具体的な方法を解説します。
休業から復帰に至るまでのカレンダーを作成しましょう。人事担当者がカンタンなフォーマットを持っていることもあります。
あなたが人事担当者なら、人事担当者は簡単なフォーマットを用意し、日付の部分だけブランクしておけば、別の従業員が産休育休を取得する際にも活用できます。
その際、最低限記載しておきたい項目は以下の通りです。
・産休に入る日
・出産予定日
・医師からの出産証明の提出期限日
・産休手当金の支給予定日(金額の概算含む)
・育休に入る日
・育休給付金の支給予定日(金額の概算含む)
・育休の満了日
いつ何をする必要があるのか、いつ頃に約いくら手に入るのか、あらかじめ示しておくことでお互い必要以上に焦ることなく手続きできます。
あなたが人事担当者なら、通帳のコピーや母子手帳のコピーなどは休業前に提出してもらい、育休給付金申請の際に毎回本人にサインを求めなくて済むよう、人事担当者としては「(リンク)記載内容に関する確認書・申請等に関する同意書」を回収しておくなどの対策も有効です。
場合によっては今いる人員を異動させたり、派遣やアルバイトで乗り切ったりすることも考えなくてはいけません。上司や同僚が穴をカバーするために残業時間を増えた場合は、残業代申請が上がってくることも予測しておきましょう。
現場とのコミュニケーションを密に行い、いつどれだけのパフォーマンスを発揮できる人材が必要なのかヒアリングしながら進めます。
復帰後の労働条件に関するトラブルを防ぎ、会社を守る最も効果的な方法は、就業規則の見直しを行うことです。
産休育休に限らず、介護休業や私傷病休暇なども含め、「復職時は原則元の配属先に戻ることとする。ただし、異動や職務内容の変更を伴う場合もある」と記載しておくことで、異動にNOと言わせない環境を作れます。
もちろん、無理に従わせて不満を抱えてしまうことがないよう、休職に入る前や復帰の前に個別面談を行い、異動の可能性がゼロでないことをあらためて伝えておく必要があるでしょう。
正社員をパートやアルバイトに変更させたり、課長から主任に降格させたり、基本給を下げたりする(※時短勤務取得者を除く)ことは育児・介護休業法に抵触するため注意が必要ですが、会社員であれば異動や職務内容の変更が伴うことも当然です。人事戦略の1つとして納得してもらえるよう、リスクマネジメントしておきましょう。
まとめ
産休育休を取得する従業員は、手当金の金額や支給タイミング・自身や子どもの体調・生活リズムの変化・今後のキャリアプランなど、さまざまな不安や心配を抱えています。共感の姿勢を見せながら安定したサポートを行うことができれば、会社への帰属意識を高め、復帰後より精力的に働いてくれるようになるでしょう。
反対に、雑な対応や行き当たりばったりな姿勢を見せてしまうと不信感に繋がり、会社全体を信用できなくなってしまうものです。
事前に対策できるポイントをしっかり抑え、「トラブルが起きない会社」を目指しましょう。