経理/簿記試験

繰延資産の簡単な覚え方は?理論から覚える方法をくわしく解説

テーマ
繰延資産の簡単な覚え方
監修
経理部長補佐


皆さんは、繰延資産という言葉を耳にしたことはありますか?おそらく、ほとんど実生活で聞くことはないと思われます。すでに簿記検定の1級以上を勉強している人にとってはおなじみですね。この繰延資産は、非常に高度な簿記1級検定で出題されていますが、実は考え方さえ理解できれば簡単です。企業にとっても大切なものなので、まだ繰延資産を勉強していない方も、いま頑張っている人も、一緒に繰延資産の考え方を身に着けていきましょう。

また、本記事は簿記の3級以上の考え方が身についている方の閲覧を推奨しています。

繰延資産とは?

ではまず、繰延資産とはについて解説します。繰延資産は貸借対照表上の繰延資産の部に計上する資産の科目です。ではまず、繰延資産の種類、というより勘定科目をご覧下さい。

  1. 創立費
  2. 開業費
  3. 開発費
  4. 株式交付費
  5. 社債発行費等

この以上の5つのみです。勘のいい方は、この5種類が○○費、つまり費用しかないじゃないかと気づかれたかもしれません。費用が資産になるというケースを考えたら、どういった状況になっているか思いつきますか?

そうです、前払費用ですね。前払費用と繰延資産は若干似ていますが、ちゃんと相違点があります。繰延資産は、「将来の期間に影響する特定の費用として、すでに代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用をいう。」(企業会計原則より抜粋)というものです。

しかし前払費用は、対価を早く払っただけで、まだその用益を得ていないですよね。たとえ12か月分の水道料金を前払いしたとしても、いま12か月分の水を使うわけではない、ということです。すでに対価を払い、その役務を得て、その役務の効果が将来にわたって発現していくものが繰延資産です。

次に、繰延資産の種類について詳しく見ていきましょう。

繰延資産の種類

では次に、先ほどは名前だけ紹介した繰延資産の各勘定科目について解説します。

1.創立費

創立費とは、会社を設立する前までにかかった費用のことを指します。厳密にいうと、設立の当期をするまでに掛かった費用です。例えば定款の作成のための費用や、その間の社員の給料も含まれています。

2.開業費

開業費とは、会社設立の後、開業をするまでにかかった費用のことを指します。順番としては、創立費→開業費となります。会社のホームページの作成費や、事務所などの備品購入費もこれに含まれています。

3.開発費

開発費とは、新しい技術の開発や、新しい組織形態の開発、さらなる生産環境向上のための機械装置などの大幅な配置換え、新規市場開拓など…とにかく多岐にわたります。

開発費、と聞くとすでに高度な簿記の勉強をしている人は、ある勘定科目が頭に浮かんだかもしれません。研究開発費ですね。開発費と研究開発費は違いがちゃんとあります。開発費の方が、研究開発費よりも広範囲のものに対して割り振られている勘定科目です。また、研究開発費はすべて発生時に費用として計上するのが原則ですね。こういった違いがあります。

4.株式交付費

株式交付費とは、株式募集のための広告費などを含む、株式を発行するためにかかる費用のことを指します。金融機関に支払う手数料なども該当しています。株式の発行のために直接支出した費用は株式交付費となります。

5.株式交付費

社債発行費等とは、いわば株式交付費の社債バージョンです。広告費、手数料、印刷費や登録税など、発行にかかる直接的な費用を指します。

そして、等、とついていますね。この場合、新株予約権の発行にかかる費用もこの感情で処理することができます。

なお、新株予約権付き社債を一括法にて処理する場合は、社債発行費として処理します。

そして、これらの繰延資産は、本来は原則として、費用として計上します。繰延資産には「計上はできる」ということです。状況により、その支出に実態によって適切な区分に計上しています。そして、費用として計上した場合は、以下の様な区分として計上します。

また、繰延資産として計上した場合は、合理的な期間で償却していきます。その期間も定められています。

以下のようになっています。

項目名 損益計算書上の区分 償却期間 償却方法
創立費 営業外費用 5年以内 定額法のみ
開業費 営業外費用または

販売費及び一般管理費

5年以内 定額法のみ
開発費 売上原価または

販売費及び一般管理費

5年以内 定額法その他合理的な方法
株式交付費 営業外費用 3年以内 定額法のみ
社債発行費等※ 営業外費用 社債償還期間内 利息法

継続適用を条件として定額法も可

※新株予約権の発行に関する費用は、償却期間は3年となる。

まとめ

試験問題では、繰延資産が単体として問題になることは少なく、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表の作成過程で出題されていることが多いです。その際にキーとなるのは償却期間です。その償却期間の覚え方は、

勘定科目が3文字→5年以内

勘定科目が5文字以上→3年or償還期間

となります。次に覚える必要があるのは、費用処理をした場合の損益計算書上の分類です。少し覚えづらいですが、創立費・株式交付費・社債発行費等は営業外費用のみ、それ以外は2種に分かれている、ということだけでもまずは覚えるとよいです。

仕訳上、計算上では特に難しいものはありません。この分類だけでも覚えれば役に立ちますので、試験までよく見ておきましょう。

いかがでしたでしょうか。繰延資産は、計算は簡単ですが、理論と考え方はとても重要です。ぜひ、頑張って下さい。

Biz人 編集部 経理応援隊/簿記応援隊Biz人 編集部 経理応援隊/簿記応援隊

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