経理担当者が間違えやすい勘定科目に「売掛金」と「未収金」があります。どちらもお金を受け取る権利があるが、まだ未入金の状態のときに使用する勘定科目です。
ところが、二つの科目は似て非なるものであり、きちんと科目の内容を理解していないと、誤った会計処理をしてしまうでしょう。
この記事では売掛金と未収金についてくわしく解説していきます。最後まで読めば確実に理解できますので、正しい判断ができるようにしていきましょう。
経理担当者が間違えやすい勘定科目に「売掛金」と「未収金」があります。どちらもお金を受け取る権利があるが、まだ未入金の状態のときに使用する勘定科目です。
ところが、二つの科目は似て非なるものであり、きちんと科目の内容を理解していないと、誤った会計処理をしてしまうでしょう。
この記事では売掛金と未収金についてくわしく解説していきます。最後まで読めば確実に理解できますので、正しい判断ができるようにしていきましょう。
はじめに、売掛金と未収金の共通する点と異なる点を下の表で確認してみましょう。
売掛金 | 未収金 | |
共通する点 |
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異なる点 |
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つまり、未回収金が「営業活動による取引か営業活動以外の取引か」によって区別されます。つぎから、それぞれの科目の内容をくわしく解説していきます。
売掛金は営業活動による取引から生まれた金銭債権です。例えば、自社商品の販売によって得られた売上金を後から回収する場合などがあります。
実際の取引としては下のようなケースが当てはまるでしょう。
売掛金が発生する取引は、万が一お金が回収できないリスクもゼロではありません。そのため、お互いの信用で成り立っている取引であることから、信用取引と呼ばれています。
未収金は営業活動以外による取引から生まれた金銭債権です。例えば、会社の土地や備品などの売却代金を後から回収する場合などがあります。
取引が発生してから、お金が回収されるまでに1年以上かかるケースは「長期未収入金」という勘定科目を使用します。
売掛金・未収金と似ている科目に「未収収益」と「前受金」があります。混同しないように未収収益と前受金についても解説していきましょう。
未収収益も未回収の金銭債権に変わりはありません。売掛金・未収金・未収収益の3つを正しく区別するには次の順番で判断していくと分かりやすいでしょう。
未収収益とは「一定の契約による継続的な取引かどうか」で判断されます。例えば、建物を所有して賃貸しているときの賃料は、賃貸借契約による継続的な取引と言えるでしょう。この賃料が、まだ支払われていないもの状態が未収収益になります。
ここまでのおさらいで、売掛金・未収金・未収収益の違いを確認してみましょう。
取引内容 | 継続性の有無 | 事例 | |
売掛金 | 営業活動で生まれた取引 | 非継続(単発)取引 | 商品販売代金 |
未収金 | 営業活動以外で生まれた取引 | 備品売却代金 | |
未収収益 | 継続取引 | 地代家賃 |
前受金は、商品を販売する前に売上金の全部または一部を受け取る場合に使用する科目です。つまり商品を販売する前にすでにもらったお金は前受金、商品を販売した後にまだもらっていないお金は売掛金になります。
例えば土地の売買など高額な取引前に、手付金として代金の一部を受け取るケースが前受金です。
ここからは売掛金と未収金の仕訳方法を、具体的な例示をもとにくわしく解説していきましょう。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
売掛金 | 300,000円 | 売上高 | 300,000円 |
※売上高に計上する基準は、商品が出荷された時点とする出荷基準、商品の検収が終わった時点とする検収基準など企業によって異なります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
普通預金 | 300,000円 | 売掛金 | 300,000円 |
※販売代金が入金になると、売掛金の請求額と入金額を照合して売掛金を消し込みます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未収金 | 8,000,000円 | 土地 | 7,500,000円 |
固定資産売却益 | 500,000円 |
※土地などの固定資産を売却したときの貸方は資産科目になります。帳簿価額よりも高く売却した場合は、その差額を「固定資産売却益」として特別利益に計上します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
普通預金 | 8,000,000円 | 未収金 | 8,000,000円 |
※売却代金が入金になると、未収金の請求額と入金額を照合して未収金を消し込みます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未収金 | 30,000円 | 雑収入 | 30,000円 |
※不要となった電子機器が資産に計上されていない場合は、貸方科目が雑収入になります。
売掛金と未収金をきちんと区別して正しい仕訳を起こすことは、大変重要な意味を持ちます。例えば、銀行から資金を借り入れるときなどは財務状況を審査されます。
売上高が計上され利益が出ているにもかかわらず、売掛金の回収が進まず資金ショートを起こしてしまい黒字倒産となるケースもあります。黒字倒産とならないようにするためには、売掛金を確実に回収することが求められるでしょう。
正確な財務情報を開示し適切な経営判断を行うためにも、経理担当者が行う会計処理は非常に重要な意味ともつことがお分かりいただけたでしょうか。