元不動産会社営業員が語るワンルームマンション投資で失敗しない方法とは?
不動産投資というのは、売り手が強く情報の格差を利用して素人に損する投資を促すシーンばかりです。不動産投資の経験が浅い素人は、結果的に損をしてしまう案件を不動産会社から勧められ、購入させられがちです。
一方で、不動産会社で営業員をやっていた人はそのような不動産投資の落とし穴に精通しています。今回は、不動産投資ので損をしないためのポイントを、元不動産会社営業員の観点から説明します。
ポイント1:不動産投資の広告はよく見るが・・・大手だから安心だと思わないこと
多くの方は、大手の不動産会社だから、上場企業だからという理由で、騙されることはないと思って安心して購入されていると思いますが、ワンルームマンションで有名なデベロッパーには注意が必要です。
デベロッパーというのは、自社で新築マンションや戸建てを建てて、販売している会社の事で、こういったところから買う場合、ほとんどのケースで自社の在庫にあるブランドマンションを勧めてきます。
もちろん、それが必ずしも悪いというわけではありませんが、大手業者の言われるがままに、新築のブランドマンションのワンルームを購入してしまった場合、ほとんどの購入者は損してしまいます。
ポイント2:「投資で儲かる」「家賃が高くとれる」という誘い文句は要注意
これは、良く使われるセールストークですが、「新築だから家賃が高く取れます」、「もし、不安ならサブリース契約(不動産会社が部屋を借りて、他の人に貸す契約のこと)をして家賃保証をつけます」などと、購入者のメリットや安心を強調する言い方をしてきます。
しかし、実際は、新築は買った瞬間に中古になりますので、3割ほど価格が落ちますので、まず出口戦略の面で不利になるうえ、家賃が高く取れるのは最初の方だけです。
また、2,3年ほどで周辺の中古マンションの相場まで家賃を下げないと空き室になりますので、資金計画にも狂いが出てきます。
ポイント3:「家賃保証があるから安心」とはならない。サブリース契約の条件の落とし穴
不動産会社とサブリース契約を結んでも、2,3年ほどで家賃の値下げ交渉か解約を迫られます。
念のため、お話しますが、裁判例でも不動産会社は一般の消費者と全く変わらない扱いなので、借地借家法が適用されますので、大家側は不動産会社の要求を突っぱねるということはできませんし、大家側から一方的に解約もできません。
つまり、一度サブリース契約を結んだ場合、大家側からは、よほどの理由がない限り、契約解除ができないようになっています。
不動産会社は、新築で高い家賃が取れなくなったら、周辺相場以下まで家賃を下げるように交渉してきます。
基本的に、不動産会社の主張は合法的な主張なので、大家が応じないとなった場合でも、不動産会社が算出して値下げした家賃しか払われません。
いくら解除したいといっても、文句を言っても、借地借家法は賃借人が圧倒的に強いので、不動産会社は聞き入れませんし、裁判に持ち込んでも勝つことは、ほぼ不可能です。
ですので、不動産会社と家賃保証につられて、サブリース契約をする場合には、かなり注意が必要となります。
ポイント4:大手はなかなか値引きに応じてくれない
基本、大手の販売するワンルームマンションは、値引きに応じてくれません。
仮に、値引きに応じてくれるケースでも、大幅な値引きではなくて、諸費用程度しか応じてくれないことが大半です。
理由としては、昔に比べて金融機関が増えて、フルローンや諸費用ローンなどのローンの種類も増えたことが大きいです。
また、現在は、かぼちゃの馬車を始めとする不動産投資に関する事件が起こったりして、金融機関も一棟アパートの投資ローンには慎重になっています。
おそらく、初心者投資家では、どこの金融機関も一棟アパートの不動産投資ローンはなかなか通りづらいという現状があります。
一棟アパートのローンへのハードルが、現在は非常に高くなっているのに対して、少ない資金で比較的、審査も通りやすいワンルームマンション投資を選ぶ方が多くなっています。
大手の不動産業者の場合、多くのお客様が来店されて、ワンルームマンションを購入されていくので、わざわざ売るための値引きをする必要性がないのです。
ポイント5:値引きをするなら中小企業が成功確率は高い
大手と違い、中小企業の場合は、ブランド力も営業力も大手ほど強くありません。
また、大手のように、お金がなければ金融機関が、無担保低金利で貸してくれるということもなく、資金力も違うため、中小のデベロッパー会社が新築ワンルームマンションの在庫を多く抱えてしまった場合には、経営上、資金繰りの悪化が致命傷になりかねません。
そういった面でも、可能性として大幅な値引きに応じてくれるのは、中小企業のデベロッパーです。
ポイント6:中小企業からワンルームマンションを買う時の注意点
中小企業で買う場合に、その提携金融機関に注意してみておくと良いと思います。
たとえば、オリックスやソニー、イオン、ジャックス辺りの金融機関は、低金利で年収から算出する融資の限度額も比較的広いので、提携金融機関は、必ず確認をするようにしましょう。
提携している金融機関によっては、非常に高い金利でローンを組まされる可能性もあります。
もちろん、自分で金融機関を探してローン審査をすることもできますので、その際には、自分の信用情報に関する資料を用意したり、情報をネットで調べるなどしてみても良いと思います。
ポイント7:基本的にワンルームマンション投資はなかなか儲からない
ワンルームマンション投資は、中古でも新築でも利益を出すのが、かなり難しいといえます。
なぜなら、空き室になってしまった場合には、その間の収入は全くのゼロになってしまい、空き室が埋まらない状態が続けば、マンションの管理費や修繕積立金を家賃収入から払うことができなくなってしまうからです。
一棟アパートであれば、多少の空室があっても、ほとんどの場合、家賃収入がある程度は入ってきますし、修繕積立金も管理費用も自分で管理すれば、引かれることはないので、資金計画が比較的立てやすく、毎月のローン返済ができなくなるというリスクはあまりありませんが、ワンルームマンションの場合は、毎月必ず出ていくお金があるので、空室が続くと金銭的に苦しくなる場面が多くなります。
また、現状では残念ながら、管理会社による共有財産の着服や横領は、毎年のように起きており、被害額も数千万円から数億円規模で行われています。
さらに、マンション管理会社と提携している施工会社とが、技術指導料などの名目でキックバックを得ていたり、マンション管理組合の理事、つまり同じマンションの所有者でも、内部統制の不備をついて着服や横領をしているケースも全国的に見受けられます。
実際、国土交通省のHPではそういった不正が発覚して、監督処分をした業者があった場合、その日から2年間にわたり、不正を行ったそのマンション管理会社の名前と被害額を載せていますが、誰もが知る大手企業傘下の管理会社が多数載せられています。
ワンルームマンション投資用に作られたマンションは、ほとんどの場合、区分所有者の集まりである管理組合が機能していることはないので、管理会社に全てゆだねられている状態になります。
横領・不正を働こうと思えば、いくらでもできる状態となっているのが事実です。
そういった観点からも、ワンルームマンション投資は、なかなか儲かりづらいといえます。
最後に
結論として、ワンルームマンション投資は、なかなか儲かりづらいことになります。
ワンルームマンション投資でも儲かることはありますが、それには、人一倍、慎重に物件選びと業者選びをしていかないといけません。
加えて、より空き室リスクなどの費用は、かなりシビアな目線が必要になると思います。
ここでの記事をお読み頂ければ、ワンルームマンション投資における物件選び、業者選びで、大きなリスクを取るようなことは避けられるかと思います。
今後、ワンルームマンション投資をする際の、参考にして頂ければと思います。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。