他社に商品を販売する場合、または他社から商品を仕入れる場合等、ビジネスにおいて売買契約書を取り交わすことは多いのではないでしょうか。
実務上、継続的取引を行うためのおおもととなる基本契約書を作成し、個別契約書(発注書等)で金額や数量や商品の種類等を定めることが多いと思います。自社によってより有利な条件で取引するにあたり、基本契約書の内容は非常に重要となります。
この記事では、売買契約書を作成する際の5つの重要な条項とポイントをお伝えします。
他社に商品を販売する場合、または他社から商品を仕入れる場合等、ビジネスにおいて売買契約書を取り交わすことは多いのではないでしょうか。
実務上、継続的取引を行うためのおおもととなる基本契約書を作成し、個別契約書(発注書等)で金額や数量や商品の種類等を定めることが多いと思います。自社によってより有利な条件で取引するにあたり、基本契約書の内容は非常に重要となります。
この記事では、売買契約書を作成する際の5つの重要な条項とポイントをお伝えします。
商法に、買主は商品受領後遅滞なく検査しなければならないという規定があります。
そして検査で契約不適合品を発見したら、売主側に通知し、買主は追完・代金減額・契約解除・損害賠償の請求を行うことができます。
検査条項では、売主側と買主側いずれの立場でも「納入から●日以内に通知する」等のように具体的な検査の期限日を定める事が重要です。
「速やかに通知する」等の曖昧な表現だと、何日までに通知すれば良いのか不明確で、認識の違いによるトラブルが発生する恐れがあります。
また、期間を「●日以内」ではなく「●営業日以内」と表記すると、検査期間から休日が除かれるので、買主側にとっては有利になります。
検査方法については、売主側であれば「売主指定の方法で行う」、買主側であれば「合理的な方法で行う」と定めると良いです。売主側からすれば検査方法を定めたいところですが、買主側は指定されてしまうと、余計なコストや時間がかかる恐れあります。
売主側であれば、不合格品を返品するまでの保管規定を定めておくと良いです。
不合格品は買主にとっては不要なものですが、売主にとっては大切な商品です。売主側であれば「善管注意義務をもって保管する」、買主側であれば「自己の財産に対するのと同一の義務をもって保管する」と定めましょう。
買主側であれば「返還に要する費用は売主負担である」、「売主が返品商品を引き取らない場合は売主負担で買主が任意に処分できる」の2点を定めておくと安全です。
実務上、これらの移転時期は「商品納入時」、「検査合格時」、「代金支払時」のいずれかのタイミングかと思います。
そして、売主側であれば所有権移転時期は遅く、危険負担移転時期は早く、買主側であれば所有権移転時期は早く、危険負担移転時期は遅く設定します。危険負担移転時期を「商品納入時」と早い時期に設定した場合、納入した時点で危険は買主に移転します。万が一、商品の検査時や不合格品の返品時に何かしらの不可抗力により商品が滅失・毀損した場合、その責任を負うのは買主となります。
実務上は所有権と危険負担の移転時期を同一にする事が多く、全体的に「検査合格時」と設定することが多い気がします。何にせよ、自社の立場を考慮して時期を定めるべきかと思います。
解除事由(契約違反等)に該当した場合の解除規定については「売主は買主に対し解除できる」と、どちらかが一方的に解除権を行使できるよう定めるのではなく、「売主または買主は相手方に対し解除できる」等のように、両者が対等に行使できるよう定めます。
両者が対等な外観をつくり、相手方がやり得る、もしくは起こり得る解除事由を列挙するのがポイントかと思います。(例として、「本契約第●条に違反した場合」等。)
解除事由には該当しないが、相手方に対して漠然とした不安が生じた場合や、自社に何かしらの都合ができた場合には、自社都合で解除できるよう、任意解除条項を設けておくこと良いです。
この場合は、必ず解約の予告期間(万が一、自社が相手方から行使されて困らない期間)を設定する事、もし解除権の行使を制限するのであれば、相当事由を求める旨を定めるのがポイントです。
損害賠償条項は、どうしても曖昧になりがちです。
例えば、「売主または買主の故意または重過失により、相手方に損害を与えた時は、その通常の損害を賠償するものとするものとし、特別損害については賠償義務を負わない」と定めたとします。上記は良く使われる損害賠償条項の例ですが、結局どこからが重過失なのか、通常損害と特別損害はどう判断するのか、損害賠償額の上限は無いのか等、どうしても議論すべき点が多くなります。
しかし、あらかじめ損害賠償条項を具体的に定めるのは難しいので、賠償額の上限を明確に設定しておくことをオススメします。損害が発生して、色んな議論が生じたとしても、とりあえず「売主が買主から受領済みの額を上限とする」等、賠償額の上限を定めておけばお互い安全かと思います。
もし、上限を定めず「一切の損害を賠償する事とする」と定められていた場合、多額の賠償金を請求される恐れがあるので要注意です。
「●●地方裁判所」のように、地域が指定されている場合、紛争発生時はそこまで行かなければなりませんし、余計なコストがかかります。外部の弁護士に依頼するとなると猶更です。
もし、遠方の裁判所が指定されていた場合は「被告の本社所在地を管轄する裁判所」等の内容に修正依頼をします。
今回、売買契約書についてお話しましたが、基本的なポイントを押さえると、請負契約であったり賃貸借契約であったり、色んな契約書に応用できると思います。
契約関係の業務を行うなかで、少しでもお役に立てば幸いです。