経理担当者が間違えやすい勘定科目に「仮払金」と「立替金」があります。どちらも一時的に出金したときに使用する勘定科目で、あとから正しい科目に仕訳を起こしなおす点でも共通しています。
ところが、二つの科目は似て非なるものであり、きちんと科目の内容を理解していないと、誤った会計処理をしてしまうでしょう。
この記事では仮払金と立替金についてくわしく解説していきます。最後まで読めば確実に理解できますので、正しい判断ができるようにしていきましょう。
経理担当者が間違えやすい勘定科目に「仮払金」と「立替金」があります。どちらも一時的に出金したときに使用する勘定科目で、あとから正しい科目に仕訳を起こしなおす点でも共通しています。
ところが、二つの科目は似て非なるものであり、きちんと科目の内容を理解していないと、誤った会計処理をしてしまうでしょう。
この記事では仮払金と立替金についてくわしく解説していきます。最後まで読めば確実に理解できますので、正しい判断ができるようにしていきましょう。
【目次】
仮払金と立替金には、共通する点と異なる点があります。はじめに下の表で確認してみましょう。
仮払金 | 立替金 | |
共通する点 |
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異なる点 |
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つぎからは、それぞれの科目の内容をくわしく解説していきます。
上記の表のとおり、仮払金は会社の経費として支払うときに、支払金額や使い道がまだ確定していないときに使用する勘定科目です。
例えば、つぎのような例のときに使用します。
仮払金は、会社の経費を従業員が立て替えるには負担が大きくなるため、会社が仮に支払うものです。
上記の例が終わったあとは支払金額が確定するため、つぎの仕訳を起こしなおします。
立替金は、会社の経費にはならない出金を会社が一時的に立て替えるときに使用する勘定科目です。
例えば、つぎのような例のときに使用します。
立替金は、会社が一時的に出金したものであり、将来的に必ず回収しなければなりません。
上記の例が終わったあとは出金額が回収されるため、つぎの仕訳を起こしなおします。
ここからは仮払金と立替金の仕訳方法を、具体的な例示をもとにくわしく解説していきましょう。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仮払金 | 70,000円 | 現金 | 70,000円 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
旅費交通費 | 40,000円 | 仮払金 | 70,000円 |
宿泊費 | 20,000円 | 現金 | 10,000円 |
会議費 | 20,000円 |
※総額8万円の出張旅費に対し、事前に受け取った仮払金7万円では1万円足りなかったので、貸方に1万円の現金勘定を計上。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
旅費交通費 | 30,000円 | 仮払金 | 70,000円 |
宿泊費 | 10,000円 | ||
会議費 | 20,000円 | ||
現金 | 10,000円 |
※総額6万円の出張旅費に対し、事前に受け取った仮払金7万円では1万円余ったので、借方に1万円の現金勘定を計上。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
法定福利費 | 80,000円 | 現金預金 | 120,000円 |
立替金 | 40,000円 |
※会社が雇用保険料総額12万円を一時的に支払うため12万円を貸方の現金預金勘定に計上。会社負担分は借方の法定福利費勘定に8万円、従業員負担分は借方の立替金勘定に4万円計上。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
給与 | 400,000円 | 現金預金 | 360,000円 |
立替金 | 40,000円 |
※従業員の手取り分36万円を貸方の現金預金勘定に計上。従業員負担分の雇用保険料4万円を貸方の立替金勘定に計上。
仮払金と立替金は意味が全く異なるため、仕訳方法も違うことがお分かりいただけたでしょうか。二つの科目については、決算時において留意するべき点があるので確認しておきましょう。
仮払金は文字通り仮の勘定科目なので、決算時において多額の残高があるのは好ましくありません。もし多額の残高が計上されていると、決算書を開示する銀行や税務署に説明が必要になってきます。
銀行や税務署は、仮払金残高をどのように見るのかポイントを整理してみました。
銀行の見方 |
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税務署の見方 |
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立替金は、立て替えた相手先から戻ってくるべきお金です。仮払金と同様に決算時において残高があるのは好ましくありません。
立替金が発生するときには、以下のような台帳を作成して管理しておくことが必要です。
日付 | 摘要 | 立替金 | 返済額 | 立替残高 |
R4/8/1 | 〇〇商店 郵送代 (▲▲氏) | 500 | 0 | 500 |
相手先担当者、所在地、金額、摘要を確実に把握しておきましょう。場合によっては、文書を取り交わすことも必要になってきます。