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マーケティング戦略に役立つフレームワークの基礎|初心者が知っておきたいフレーム3選

テーマ
フレームワーク
監修
Big4社員

マーケティング戦略を検討する際、「そもそも何から検討すればよいか分からない」「各メンバーによって考えていることがバラバラで、議論が進まない」といった経験はありませんか?そんな時に使えるのが、フレームワークです。
フレームワークとは、物事を整理したり、分析したりする際に使える「思考の枠組み」です。パターン化された共通の枠組みであるフレームワークを活用することにより、マーケティング戦略において着目すべきポイントを効率的に導き、意思決定をしやすくすることができます。
この記事では、マーケティング初心者の方向けに、フレームワークの活用シーンや、基礎的なフレームワーク3選、活用時に陥りがちな落とし穴について紹介します。


フレームワークがマーケティング戦略に役立つ理由

まずは、マーケティング戦略において、フレームワークを用いる4つのメリットについて見ていきましょう。

状況や課題の全体像がつかみやすくなる

マーケティングの分野に限らず、ビジネスにおいては、それに影響を及ぼす様々なファクターを考慮する必要があります。

しかし、そのすべてを網羅的に洗い出し、一つ一つ検討するには膨大な時間がかかり、現実的ではありません。それどころか、かえって「木を見て森を見ず」の状態に陥り、本質を見落としてしまいかねません。それでは本末転倒です。

そんなとき、フレームワークに当てはめて状況を整理することで、物事の大枠をまず把握することができます。

大枠が把握できると、その中で特にどのポイントを詳細に分析・考察していくべきか、次に取るべきアクションの優先順位付けも行っていけるようになります。このように、フレームワークはマーケティング戦略立案のスタートを助けてくれるのです。

自分では気づかなかった重要なポイントや見落としに気づくことができる

人間は完璧ではない生き物です。いかに思慮深くチェックを行ったとしても、必ず見落としは起こり得ます。抜け漏れをなくすために、複数人での議論はもちろん有効ですが、それでも限界はあるものです。

こんなときもフレームワークの力を借りてみましょう。フレームワークで定められた観点と照らし合わせることで、「この観点での考察は足りていないかもしれない」「別の視点で考えてみると、実はこんな課題が隠れていそうだ」といったことに気づけるかもしれません。自分の思考バイアスに影響されないチェックシートとしても、フレームワークは有効なのです。

共通の枠組みを用いて物事を整理することで、ビジネスに関わるメンバーが共通理解を得ることができる

同じサービス・同じ市場を議題にしているはずなのに、メンバーによってその解釈が異なったり、課題の重要度の認識が違ったりするために、いつまでたっても議論が着地しない。時間だけが過ぎ、メンバーは疲弊してゆくばかり……こんなケースは、複数人でマーケティング戦略を検討する際のよくある失敗パターンではないでしょうか。

このような失敗を避けるために、最初にフレームワークを用いて議題となる物事を整理してから、議論を行うことをおすすめします。前提の認識をあわせておくことが、スムーズにディスカッションを進めるためのコツです。加えて、整理した内容を共有しながら話を進めることで、今はどのポイントについて話しているのかが明確になり、議論の脱線を防ぐことにもつながります。

先人の優れた成功事例を体系的に理解することができる

ヒットした他社の製品やサービスが何故売れたのかを考察することは、実際の戦略立案においても、マーケティングの知識を深めるためにおいても有効な方法です。しかし、ただ漫然と事例を見ているだけでは、様々な要素の中でどれが成功のキーとなったのかを理解することは困難です。

そこで、成功事例をフレームワークにあてはめて考えてみましょう。ケースが体系的に整理されると、どういった課題があり、それに対してどんな要素が、なぜ有効に機能したのかを見出しやすくなります。そこには、自社の戦略に活かせるエッセンスがあるかもしれません。

フレームワークの基礎3選

いよいよここからは、実際のフレームワークをご紹介します。フレームワークには様々な種類がありますが、まずはマーケティングにおける基本中の基本である3つを抑えておきましょう。

STP分析

Segmentation(市場の細分化)・Targeting(ターゲットとする市場の決定)・Positioning(自社の立ち位置の明確化)の3つの観点で、「誰に・どんな価値を届けるべきか」を整理するためのフレームワークです。
S・T・Pの順番で考えることがポイントです。最初に市場のニーズを確認し、次にその中でも特にどんな顧客をターゲットとするのがベストかを選定します。最後に、その顧客層に対して自社がどのような独自の価値を提供できるかを明確化します。

4P分析

STP分析でターゲットと提供すべき価値を整理した後、それを実現するための手段を考えるために有効なのが4P分析です。4P分析は、商品(Product)・価格(Price)・販促(Promotion)・販売チャネル(Place)の4つの観点で、売り手側の目線から分析するフレームワークです。
4要素の最適な組み合わせを考えることがマーケティングの戦略立案において重要であり、マーケティング・ミックスとも呼ばれます。

4C分析

顧客価値(Customer value)・顧客のコスト(Cost)・顧客とのコミュニケーション(Communication)・顧客にとっての利便性(Convenience)の4つの観点で、買い手側の目線から分析するフレームワークです。

4C分析の観点は、1つ目の4P分析の観点と対応しています。自社視点と顧客視点のいずれかだけではなく、両方の視点で分析を行うことが有効な戦略立案においては重要です。

フレームワークを活用したい!陥りがちな落とし穴

ここまでで紹介したフレームワークを実際に使うとき、気をつけてほしい点についても解説します。フレームワークは便利なツールですが、万能ではありません。更にうまく使いこなすために、以下の2点を意識してみてください。

目的や分析したい題材によって、適したフレームワークは異なる

前述のとおり、フレームワークには様々な種類があります。まずは何をしたいのか明らかにした上で、適したフレームワークを選択するようにしましょう。

フレームワークはあくまで問題解決の「手段」にすぎない

物事をフレームワークに当てはめることだけにこだわると、本質を見失ってしまうことがあります。あくまでフレームワークを使って何をしたいのかが重要です。分析に行き詰まったときは、目的に立ち返るようにしましょう。

まとめ

この記事では、マーケティングに使えるフレームワークの基礎について解説しましたが、いかがでしたか?有効なフレームワークは他にも多数あります。まずは基本の3選「STP分析」「4P分析」「4C分析」を抑えつつ、色々な種類のものにチャレンジすることをおすすめします。


Biz人 編集部

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