儲けのカラクリ

マンション購入時に足元を見られない交渉術

テーマ
マンション購入交渉術
執筆
大手デベロッパー社員
  • 私は、東証一部上場の大手不動産会社のデベロッパー、東証一部上場のマンション管理会社、中小の賃貸管理会社などで勤務しておりました。マンションを購入する際、営業マンとの交渉により、当初提示された金額から20%ほど減額されるというケースもあります。本当に簡単な言い回しだけで金額が大きく変動するケースもあります。今回はその交渉術についてお伝えします。

資産があり不動産を買えることを伝える

基本、不動産営業マンにとってマンション購入だけでなく、住宅を買えそうにないように見える方はモチベーションが上がらず、適当にしか相手にされないことがあります。

こうなると物件探しにも支障が出てきますので、できれば「退職金が1000万円ほどあるのと、貯金や資産運用で他にもいくらかある」や「夫が公務員をやっていて、属性がいい」などのアピールをすると足元を見られなくなることは少ないと思います。

実際、住宅を買いそうにない、もしくは買えそうになさそうな方には、不動産営業マンも真面目に価格交渉をすることはあまりありません。

ネット利回りもしくは実質利回りを重要視する

多くの不動産サイトでは、投資用不動産を売りに出す時にできるだけ高利回りに見せたいので、表面利回りを表示させています。

この表面利回りは満室時の1年間の賃料収入と物件価格を単純に割って算出したものなので、毎月の保険料や管理費用・修繕積立金などの諸経費が差し引かれていません。また、物件価格も事務手数料や保証料、各種税金を考慮したものではないので実質利回りはもっと下がります。

これらの諸経費だけでなく、実際は空室リスクも考慮した金額や利益を算出しなければいけないので、自身が電卓で計算するでもなく、表面利回りが高いだけで購入を考えているようだと、不動産営業マンからは「あまり知識がない人」だとみなされて、交渉も上手くいかないことがありますので注意しましょう。

交渉に応じないなら他の不動産会社を検討する

わざわざ不動産営業マンに伝える必要はないですが、もし営業マンがあまり価格交渉に乗り気でない場合は、他の不動産会社にいくことをお伝えしてもいいと思います。実際、多くの方は不動産HPサイトで載っている問い合わせ先からしか不動産を買えない、と思うことが多いのですが、どこからでも買えます。

ですので、営業マンに仲介手数料の値引きを交渉したり、物件価格を指値で交渉したりするときに、応じないという強気の姿勢が見えたときは、他の不動産会社で探すことを伝えるといいでしょう。

基本的に、営業マンは素人にはどのような物件でも、会社と自分の利益最大化を図るために強気にでます。営業マンからすれば、表面利回りしか見ない、問い合わせ先の自分の会社からしか買えないと思っている副業サラリーマンは格好のカモです。

相見積していることを伝える

これは、多くの不動産会社と既に取引の最終段階に入っていることを示唆します。ですから、物件価格や諸経費の交渉を行うときに、費用の見積もりを既に何社かに実際に算出して貰う必要があります。

おそらく、このことを話すだけでも自分の本気度が伝わるかと思います。実際に、不動産投資でも、不動産会社を何社か回って、諸経費や物件価格の相見積もりを取ることは珍しいことではありません。

不動産投資は利益が出なければ意味がないので、減価償却費や諸経費で、わざと赤字にして所得税や住民税を下げるといったケース以外では、買った瞬間に利益を出す気持ちで交渉に臨むようにしましょう。また、この方法はやる気のない、もしくは素人しか相手にしてない知識や経験の浅い営業マンのスクリーニング機能もあります。そういった営業マンからすれば、自分では手に負えなさそうな相手よりも、もっと簡単なお客様を相手にした方が、時間効率がいいことになります。

ですので、相見積もりを2,3社から取っていることを伝えるのは、足元を見られないためのトークとしては、手軽で非常に有効な方法です。

宅建を持っている

これは、そもそも宅建に合格してないと成立しませんが、合格されている方であれば不動産営業マンも下手なことは言わなくなります。不動産業界では持っているのが当たり前の資格ですが、賃貸専門の会社だけでなく、他の不動産会社の営業マンでも取得されていない方がいたりします。

私は、東証一部上場の大手不動産会社のデベロッパー、東証一部上場のマンション管理会社、中小の賃貸管理会社などで勤務しておりましたが、宅建を持っている方は思ったよりも少なかった印象です。マンション管理会社の場合は、宅建に当たる資格がマンション管理業務主任者になり、こちらはだいたい社員は持っていることの方が多いですが、私が所属していた大手不動産会社では若手がかなり多く、2人に1人も所有していなかった印象です。

実際の私の体験ですが、仕事で得意先に行くときに、宅地建物取引士証がないと名刺に書いてはいけない決まりだったので、名刺に載せていなかったりした時はあまり反応が良くなく、物件もあまり紹介してもらえませんでした。現在、名刺には宅建を含めてマンション管理士、マンション管理業務主任者などの保有資格をある程度書いているので、不動産会社で仕事を聞かれたときに名刺を渡すとかなり驚かれ、対応も以前と異なり、丁寧になった印象です。

もし、合格されていない方は宅建の勉強をしているといってもアピールになると思いますので、ぜひお試しください。

専門用語を理解している

いくら宅建合格してたり、資産があったりしても、専門用語を理解してないとペーパードライバーのように見られることがあります。たとえば、三為業者とか両手取引、サブリース、指値(投資用語でもある)などの不動産の用語は多くありますので、これらの専門用語をある程度理解することは足元を見られないためにも必要だと思います。

特に、前述のような基本的な専門用語を知らないと、あまり不動産業界のことについては知らないな、とみなされます。ですが、知らないことは恥ではなく、また次に活かして勉強すればいいだけですので、そこまで気にする必要はありません。知らない用語が出てきたときは、適当に相槌をうって、後でこっそり調べればいいだけです。

交渉するつもりがなければ、直接聞いても問題ないでしょう。

まとめ

いかがでしょうか。

マンション購入時に足元を見られないためのトークを紹介させていただきました。営業マンと対等に交渉するためには、知識や資産・属性などが必要です。足元を見られないようにするためには、自分の社会的地位や資産・知識などのステータスを成長させることであり、十分にこれらが備わっていれば交渉も優位に進めることができます。

これはマンション購入時だけでなく、全ての物件購入に対しても共通します。この記事が、皆さんのお役に少しでも立てればと思います。

Biz人 編集部

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