経理/簿記試験

ソフトウェアの減価償却計算方法は?利用目的ごとにわかりやすく解説!

テーマ
ソフトウェアの減価償却計算方法
監修
簿記マスター

みなさんはソフトウェア、という言葉を聞いたことはあるでしょうか。おそらく、ほとんどの方が聞いたことがあると思います。では、ソフトウェアの計算をしたことがある人はいるでしょうか。すでに簿記の勉強がある程度進んでいる人はやったことがあるかもしれません。ですが、計算にはちょっと苦労しているかもしれません。複雑な問題もあります。やったことがない人も、ある人も、初めから見直してみましょう。



ソフトウェアとは

まずは、簿記においてのソフトウェアについてです。ソフトウェアは利用の目的によって、実は性質がかなり変わってきます。

  • 研究開発目的
  • 受注制作
  • 市場販売目的
  • 自社利用目的

簿記検定では3級では出題されません。2級以降から出題されますが、2級では自社利用目的のソフトウェアに関する問題のみ出題されます。1級はこれらすべて出題されます。

ではまず、わかりやすい自社利用目的のソフトウェアについてみていきましょう。

自社利用目的のソフトウェア

これは、会社が自社のために利用するソフトウェアです。パソコンにインストールをするものはイメージがつくかもしれません。そういったソフトウェアは、固定資産のなかでも無形固定資産に属します。さらに、ソフトウェアというものは年々新しい製品が出ていますので、それに見合った価値の低落があります。ということは、減価償却をしなければなりません。

簡単な仕訳をやってみましょう。

例題①

AA株式会社は、2021年4月1日(期首)に自社利用目的で300,000円のソフトウェアを購入し、同日より利用を開始した。代金は小切手を振り出して支払った。このソフトウェアの利用可能期間は6年である。

2021年4月1日と、2022年3月31日(期末)の仕訳を行いなさい。また、以下の勘定科目を用いること。

【勘定科目一覧】

当座預金 ソフトウェア ソフトウェア償却

解答・解説

借方科目 金額 貸方科目 金額
2021年4月1日 ソフトウェア 300,000 当座預金 300,000
2022年3月31日 ソフトウェア償却 50,000 ソフトウェア 50,000

計算自体はすごく簡単でしたね。普段の減価償却のように計算するだけです。

では次に、もっと複雑なソフトウェアの計算に挑戦してみましょう。

市場販売目的のソフトウェア

次に、市場販売目的のソフトウェアについてです。このソフトウェアは、自分の会社で製作し、販売するものです。ソフトウェアですので、販売するものはひとつひとつ手作り、というわけではありません。製品マスターとよばれる完成品をコピーしたものを販売しています。貸借対照表上の分類は、先ほどの自社利用目的のソフトウェアと同じく、無形固定資産にあたります。

先ほどもありましたが、ソフトウェアというものは劣化していきます。価値がどんどん無くなっていきます。では、販売しているソフトウェアの価値の低下はどのように計算をしたらよいと思いますか?定額法でしょうか。もっと実態に合った計算方法があります。

価値の低下、ということは売れなくなる、ということです。時代遅れのソフトウェアをいまさら導入する人はいないでしょう。

ということで、ソフトウェアの減価償却には販売状況に応じた計算方法があります。これは2種類あります。

  • 見込販売数量に基づいて計算する方法
  • 見込販売収益に基づいて計算する方法

複雑ですので、実際に問題を解いて身に着けていきましょう。

初めての方は、まずは解説を見て一緒に解きましょう。

例題

次の資料を読み、各年度の期末の減価償却の仕訳を行いなさい。また、端数が出た場合はその都度四捨五入すること。ソフトウェアは期首に完成し、同日より販売を開始している。

  • 無形固定資産として計上したソフトウェアの制作費 180,000円
  • 当該ソフトウェアの有効利用期間 3年
  • 見積は以下のようになっている。

解答・解説

見込販売数量に基づく会計処理(単位:千円)

借方科目 金額 貸方科目 金額
1年目 ソフトウェア償却 86,400 ソフトウェア 86,400
2年目 ソフトウェア償却 60,000 ソフトウェア 60,000
3年目 ソフトウェア償却 33,600 ソフトウェア 33,600

見込販売収益に基づく会計処理(単位:千円)

借方科目 金額 貸方科目 金額
1年目 ソフトウェア償却 112,500 ソフトウェア 112,500
2年目 ソフトウェア償却 60,000 ソフトウェア 60,000
3年目 ソフトウェア償却 7,500 ソフトウェア 7,500

では、解説に移ります。

まずは、見込販売数量に基づく会計処理からです。

問題文の表には、左から2番目、3番目に販売数量の見積が出ています。この数字を使っていきます。まずは1年目です。計算は以下の通りになります。

180,000×1,200÷2,500=86,400千円

減価償却の数字が出ました。と、ここで後出しになりましたが、実はソフトウェアの償却の際に、もう一つ、ある数字を算出しなくてはなりません。それは、定額法で減価償却をした場合の減価償却費です。両方の数字を比較して、どちらか大きい数字の方を使います。

というわけで、2年目の計算です。

(180,000-86,400)×800÷1,300=57,600千円

では、定額法の計算をしてみましょう。

180,000÷3=60,000

60,000>57,600

というわけで、60,000千円の方を採用します。

最後は最終年度ですので、そのまま残額の数字、33,600千円です。

 

では次に、見込販売収益に基づく会計処理です。

計算方法は変わりません。

  • 1年目

180,000×125,000÷200,000=112,500千円

  • 2年目

(180,000-112,500)×65,000÷75,000=58,500千円

180,000÷3=60,000

60,000>58,500

  • 3年目

残額 7,500千円

これで完了です。

 

いかがでしたか?これよりももっと難しい問題もあります。コツさえつかめば試験ではかなり有利になる項目ですので、ぜひ頑張って下さい。

Biz人 編集部 経理応援隊/簿記応援隊

経理実務や簿記の試験対策に役立つ知識を提供します。

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