コアコンピタンスとは
コアコンピタンスとは、経営思想家であるプラハラードとハメルにより提唱された概念です。日本語で「中核能力」とも訳され、顧客に対し、他社が模倣できない独自の価値を提供するための技術やノウハウのことを指します。それらは、往々にして形成までに時間を要するものです。
そして、このコアコンピタンスを生み出して活用するという経営手法を「コンピタンス経営」といいます。平たく言えば、「自社固有の強みを生かして経営を行う」ということです。ごく単純なことに思えるかもしれませんが、このコアコンピタンス経営は「言うは易く行うは難し」の典型例です。
実際には、自社固有の強みを探求せずに、業界大手の製品を形だけ模倣して販売したり、単なる安売りを行ったりして利益を挙げている企業も数多く存在します。そして、これらの方法でも短期的には成功できてしまうのです。
しかし、10年やそれ以上の長期スパンで見ると、コアコンピタンスを持たない会社は淘汰されていきます。企業が競争を生き抜き経営を持続させるためには、コアコンピタンスは必須といえるでしょう。
さて、M&A実行を検討する企業にコアコンピタンスが存在するかどうかを把握するには、VRIO分析を行うのが効果的です。VRIO分析とは、
の4つの問いを順番に行い、企業が持つ強みに優先順位をつけるフレームワークです。詳しくは以下の記事をご覧ください。
「VRIO分析とは? 自社の強みを分析するフレームワークを詳しく解説」(記事を掲載次第リンク追加)
ケイパビリティとは
ケイパビリティとは、直訳で「能力」や「才能」を意味し、経営用語では「組織が得意とする能力」を指します。一見すると、コアコンピタンスと同じ概念に思えるかもしれません。
しかし、ケイパビリティはコアコンピタンスの典型例である「技術」や「資産」ではなく、「組織」に焦点を当てた概念となります。コンピタンスをごく単純に「モノ」とすると、ケイパビリティはそれを扱う「ヒト」の優れた能力ということです。
先ほどご紹介したVRIO分析に「O=組織」の問いが存在するように、いくら優れた技術やノウハウが存在していても、それを活用する仕組みがなければ宝の持ち腐れです。反対に、ケイパビリティによって経営資源を効率的に扱うことができれば、まだコアコンピタンスと呼べないような強み(単なる「コンピタンス」)も、その企業固有の強みとして成長させることができるでしょう。
M&Aにおいても考え方は同じです。M&Aで特許やブランドなどのコアコンピタンスを獲得しても、それらを活用する術を熟知した従業員を放出してしまうと、自社内でコアコンピタンスを十分に扱うことができず、価値が低減してしまいます。
▼「VRIO分析とは?自社の強みを分析するフレームワークを詳しく解説」はこちらの記事をご確認ください
2023.08.18
VRIO分析とは VRIO分析とは、以下から紹介する4つの問いを順番に行って強みの程度を見極め、優先…