ブックレビュー

【要約】クラスを活気に満ちた学びの場に変える!『学び合い』スタートブック

テーマ
学び合いスタートブック
監修
教師補佐

不登校、いじめ、モンスターペアレント、給特法・・・。学校教育には、解決しなければならない問題が数多くありますよね。全国的に、1クラス35人学級の整備が進みつつありますが、個性豊かな35人の子供たちを、一人の先生が面倒を見るなんて、ちょっと大変すぎでは?と思ってしまいます。

クラスに1割はいるとされる発達障がい児。学力が低すぎてどうにもならない子。誰彼構わず手を出してしまう問題児。どうにもならないよ・・・とあきらめてしまう気持ちも、出てくることでしょう。

今回ご紹介する本は、学校の先生にこそ読んでほしい、学級経営のコツが書かれています。

「どうにもならないよ、この子。あきらめよう。」「忙しすぎ。もう教師辞めたい。」と思っている先生こそ、実践すべき内容がたくさん詰まっています。

毎日が楽しい教室にあるために。子供たちが笑って毎日を過ごせるために。一度、チャレンジしてみませんか?

※今回紹介する本は、教師向けの本です。そのため、教師の皆さんに向けた書き方になっています。一般の方にもわかりやすく書いたつもりですが、小学生のお子様のいらっしゃる方は、気分を害する表現が出てくるかもしれません。ご了承ください。

 

【著書情報】

タイトル クラスが元気になる!『学び合い』スタートブック
著者名 西川 純
出版社 学陽書房
ページ数 144ページ
発売日 2010/9/24

【章立て】

第1章 『学び合い』でクラスが変わった!

第2章 やってみよう!『学び合い』

第3章 子供の納得感を引き出す語り

第4章 まず、やってみよう!

 

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クラスを変える!『学び合い』の効果とは

学び合いの実践がもたらすクラスの変化と効果について解説します。

さて、今回の「クラスが元気になる!『学び合い』スタートブック」には、『学び合い』という活動が出てきます。『学び合い』とは、「授業中に子供同士がお互いに教え合って、問題や課題をクリアしていく」というものです。

いやいや、きれいごと言わないでよ!と思った先生、大丈夫。『学び合い』をすることのメリットを、先にお伝えしておきます。

『学び合い』でクラスはこう変わる

教師という仕事は、大変ですよね。新任の先生もベテランの先生も、同じことをしなくてはいけない。子どもが言うことを聞かなくても、クレームが怖くて強く言えない。周りの先生たちに聞いても、具体的な対応策は見えてこない。でも、大丈夫。『学び合い』を実践すれば、必ず、クラスは変わります。

 

「忙しくて死にそうだ」

→「授業にゆとりが出て、落ち着いて仕事ができる」

「気になる子がクラスをかき回す」

→「いろいろな子を助けてくれて、大活躍」

「何人かは授業についていけていない」

→「クラスの最低点が80点以上」

「クラスでいじめが起こった」

→「学力・性格・性別に関係なく、みんな仲がいい」

「もう少しで学級崩壊しそうだ」

→「子どもが毎日楽しく学校で過ごしている」

「誰も見捨てない」が本質にある

『学び合い』の説明の前に、覚えておいてほしいことがあります。それは、「誰も見捨てない」という考え方が大前提であるということです。

子どもは学校で、多くの時間を学習に使います。休み時間でやっても、給食の時間にやってもよいのですが、もっとも効率的に成果を上げるために、授業中に取り入れているのです。じゃあ、どうやって「誰も見捨てない」を実践するか。そこで、『学び合い』が登場します。

子どもたちも教師たちも、口には出しませんが、心の中で子どもたちをランク付けしています。「こいつは頭が悪いから仕方ないな」「どうしようもないけど、自分には関係ないからいいや」といった感じです。無意識に見捨てているのです。『学び合い』は、誰も見捨てません。様々な場面で助け合い、教え合います。安心感のある学級を目指します。それが、『学び合い』の本質です。

『学び合い』は、何がいい?

では、従来型の教師が教える授業より、何がよいとされているのでしょうか?

多くの先生が困っているのは、「問題児の対応」「一部児童の学力不足」「教材研究の時間不足」あたりですよね。

教師が話をするスタイルだと、必ず途中で問題が起きます。誰かがしゃべったり、立ち上がったり、歩き始めたり・・・。教師の体は一つですから、対応できるわけありません。ならばいっそのこと、「しゃべっていい」「立ち上がってもいい」「歩き回ってもいい」にしてみてはどうでしょう。

そして、そのきっかけを「学習」にしてみたらどうでしょう。

それだけでも、「静かにしなさい」「すわりなさい」「話を聞きなさい」を言わなくてもよくなりますよね。

子どもたちにとっても、注意されなくて済むのに加え、仲の良い友達が「なんか教えてやろうか?」と言って近づいてくるわけです。気楽に、手軽に、質問できますよね。しかも、マンツーマンでわかるまで教えてくれる。「ありがとう!」という言葉が自然と出る。教えた方も、教えてもらった方も、笑顔で終わる。結構いいな、と思いませんか?

しかも、その時間先生は授業をしなくていいのです。だって、自分の代わりに教えて回っている子どもたち(ミニティーチャーと呼びます。)がたくさんいるわけですから。にこにこ笑って、「○○さんは教えるのが上手だね。」「おっ、○○さんの今の言い方、いいんじゃない?」と褒めてあげればいいのです。試してみない手は、ありませんよね。

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挑戦!『学び合い』の取り組み

『学び合い』を取り入れる方法とその効果を体験してみましょう。

今までの記事を読んで、「ちょっとやってみようかな」と思った先生たちは、ぜひ挑戦してみてください!うまくいかなかったら、元に戻せばいいんです。今まで通りのやり方では、今まで通りの結果しか出ません。今困っているなら、やってみるだけの価値は、ありますよ。

3つのルールを押さえよう

『学び合い』をするにあたって、教師の考え方として、3つのルールを知っておかなくてはいけません。

学校は、多くの仲間がいることを実感する場所である

「学校は小さな社会」と言われるように、一人では生きていけません。逆に言えば、みんなで生きていけばいい、ということ。一人で頑張りすぎたり、抱え込んだりしなくてもいいのです。困ったときに助けられ、困っている人を助ける。それが、学校なのです。

子供たちは、全員が有能である

少し前に書きましたが、教師も子供も、無意識で誰かを見捨てていることがあります。でも、本当にどうしようもない子はいません。全員の力を合わせて、ちょっとずつ協力し合えば、どんな問題でも解決できる。その素質が子どもたちにはあります。

教師の仕事は環境整備であり、学習は子供に任せるべき

どんな大人でも、困っている子どもがいたらついつい助けてしまうもの。でも、それは絶対にやってはいけません。教師の仕事は、課題を出したり、評価をつけたりすることです。先生が自ら誰かのそばに行ってしまっては、結局今までと同じ。学習は、子供に任せてしまいましょう。

「わかりません」は良いことだ

テストをすると、子供の学力が数値化され、目に見えるようになります。点数が低い子は、基本的に勉強が嫌いで、わからないことまみれの子です。そこで、教師から語ります。

「社会で生きていくときに必要な力って何だと思う?それは、『わからないことを人に聞く力』なんだよ。誰だって、初めてのことはわからないし、わからないまま進めて失敗するくらいなら、教えてもらってわかる方がいいよね。大人の世界でも、『教えてください』って、たくさん使っているよ。素直な気持ちで言える人は、『謙虚な人』って言うんだよ。」

初めて『学び合い』をする子供たちは、迷っています。本当にしゃべっていいの?本当に歩き回っていいの?と。今までと全く反対のことを言われるのですから、当然ですよね。そんな時は、「教えてもらう側」の子に語り掛けます。もともと困っているわけですから、助けてもらえるとわかったならすぐに動いてきます。

「わかりません」というのは、これから伸びていく、ということ。大人になっても困らない子供たちを育てたいですね。

 

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効果的な『学び合い』授業づくりのコツ

クラス内での『学び合い』実践に向けた効果的な授業づくりのヒントをご紹介します。

ここまで、『学び合い』の有効性についてお話してきました。しかしながら、どんなに有効な教育法も、子供たちが理解していなくてはいけません。よくわからないけど、先生に無理やりやらされている、となれば、クレームにつながってしまうこともあります。子供たちに説明する上で、重要なポイントを3つ、ご紹介します。

先生は多いほうがいい

当然ですが、一学級に教師は一人です。誰かが質問していれば自分は我慢しなくてはいけません。しかも、先生に聞いて理解できるかなんてわかりませんし、もしかしたら聞くほどのことでもないのかもしれません。

もし、友達が先生だったらどうでしょう?

先述しましたが、手軽に、気楽に質問できます。順番待ちの必要もありません。自分より学力が高い友達は、先生になれます。なぜなら、自分がわからないことをわかっているという意味では、教師と同じだからです。

先生より教えるのがうまい

大学時代を思い出してください。教授の言っていること、ちんぷんかんぷんだったこと、ありませんか?そんなとき、賢い友達に聞きましたよね。わかりやすく説明してくれたはずです。

『学び合い』も、これと同じです。子どもの方が、子供の性格をわかっています。その子にあった言葉遣いや、伝え方をしてくれる子が、一人はいるものです。そばで見ていても、「そういう教え方するのか!」「そういう例えで説明するのか!」と、ひざを打つことも少なくないはず。

勉強は教師が教えるもの、と気張らずに、子供に任せてみてはいかがでしょうか。

教えている子も学んでいる

今までの説明だと、教わる側の子供のための『学び合い』でした。しかし、実は教える側にとってもいいことがあります。

それは、「本当にわかっているかがわかる」こと。

なんとなくわかった気になっている子は、教えている間にうまく説明できなくなってきます。なぜなら、教わる側の子が質問するから。

「え?えっとぉ・・・あれ?なんでだろう?」となってしまったら、答えがあっていても、本当はわかっていないのです。

そこでもう一度学び直し、本当の「わかる」を身につける。これが、教えることの価値なのです。

 

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困ったときの対処法!『学び合い』Q&A

いかがでしたでしょうか。

今回は、「クラスが元気になる!『学び合い』スタートブック」を紹介しました。

教師の働き方の改善が叫ばれている昨今、国の対策よりも速いスピードで問題が深刻化しているように感じます。

よりよい働き方、よりよい授業の形を突き詰めた、この『学び合い』は、少しずつですが全国に広まっているようです。

『学び合い』は、完全無欠の教育法ではありません。しかし、「もうだめだ」と思っている先生こそ、取り入れることをお勧めします。いきなりは難しくても、「今よりはいくらかマシだ」となるはずです。

ほかの業種や業態でも、生かせる考え方が多くありました。お近くの書店で見かけたら、ぜひ手に取ってみてくださいね。ではまた、次回のブックレビューでお会いしましょう。

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Biz人 編集部

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